短編小説 ヒストフロンティア
適当にVRMMO物を書きたいなと思ったので書きました。
文章力は今練習中なので大目に見ていただけるとありがたいです。
短編小説 ヒストフロンティア
作 高田祐樹
VRは、とてつもない進化を遂げた。
ヘッドセットをつけ、コントローラーを持ち、自らの体を動かしていた時代から。
今はヘッドセットをつけるのは変わらずだが、コントローラーも、体を動かすこともなくなった。
ヘッドセットをつけて、ベッドに寝転がり、一言。
【ヒストフロンティア】起動。
千葉県立 小金高等学校
4時間目が終わり、昼休みの時間が来た。
「ヘイ三上よ、今日はヒストの大型アプデやぞ」
「よう、そうかい。何度も言ってるが、俺はヒストはやってないしやる気はないぞ。」
俺の名前は 三上瑠偉 この高校に通うごく普通の男子高校生。
こいつは 中村輝弥 ゲーム中毒者の男子高校生、俺の友人。
「なんでやらないんだよ~、楽しいぞ?ヒストフロンティア。」
「ゲームは好きだし、楽しいと思う。だけど体の自由が利かないって、危ないじゃねぇか!」
そう、VRは体を動かさなくてもアバターを動かせるようになった。
だが、体を動かす機関(主に脊髄)に干渉して、そこから得られる信号をアバターにのみ送る
。難しいことを言っているが、要するに、『ログイン中は一切体を動かすことはできない』ということだ。
「外でやるわけじゃあるまいし大丈夫だって!いざという時の緊急警報もあるんだし。」
「いやでもさぁ~...」と俺がどもっていると
「物は試し!VRは持ってたよな、買いに行くぞ!」と押し切られてしまった。
まぁ奢ってくれるらしいし、嫌だったら売ればいい。
そんなこんなでヒストフロンティアを買い、家に帰ってきた。
中村は、「ログインしてチュートリアル終わったら第2広場噴水前集合な!」とだけ言い残して帰っていった。
今頃ログインして待ち合わせ場所で待っているのだろう。
あまり気は進まないが、買ってもらった手前すっぽかすわけにはいかない、行くしかない。
「ヒストフロンティア...起動...!」
視界が白く染まり、別世界の景色が目の前に広がった。
「すっごいなぁ...」思わず声に出た。
まさにゲームというような世界が眼前に広がっていた。まぁゲームなんだけど。
さて、待ち合わせ場所の第2広場噴水前というのはいったい何処なのだろうか。まず此処は何処なのだろうか。
チュートリアルは全スキップするのが俺のサガなので、マップどころかメニューを開く方法すら俺は知らない。
こんなことならしっかりチュートリアルを受ければよかった。
適当に歩き回って迷い、中村を待たせるわけには行かないので誰かに聞くことにしよう。
適当にそこら辺を歩いている一般プレイヤーに
「すんません、メニューの開き方教えてもらっていいすか?」と聞いた。
多分俺は一生この質問をしないし、彼も一生この質問をされることはないだろう。
どうやら右手を下から上に振り上げればいいらしい。なんだ、簡単じゃないか。
メニューを開くと、マップという項目があった。
ノータイムでタップする。開かれたウィンドウには現在地と周辺にある場所の名前が書いてあった。
まさにゲームのマップといった感じだった。
さっさと待ち合わせ場所に行く。
「ヘイヘイ、おせーぞ」と中村が待っていた。
ユーザーネームはテル、本名からとすぐわかり、安直だなぁと思ったが、俺も俺で本名そのままルイだった。
「顔はそっくりなんだな」と俺
「顔も性別もリアルと変わんねぇよ」とテル
どうやらヘッドセットの赤外線認証で、顔の凹凸を記録してアバターに張り付けているらしい。
いろいろな犯罪対策だと思うが、ゲームの中でも自分やこいつの顔面を見るのかと思うと少し嫌気がさす。
ゲームくらい美男美女の顔面を拝んでいたいものだ。
「チュートリアルは受けてきたか?」
「全スキップしたからさっき通行人にメニューの開き方聞いた」
テルは大爆笑した、俺も「モン〇ターボールの投げ方わからない」と言われたら大爆笑するだろう。
俺たちは街から出て、フィールドでモンスターを狩ることにした。
もちろん、俺は初期装備なわけだから、テルが使っていない武器防具を拝借したりしてからフィールドに出た。
俺は片手剣を背負い、腰に短剣を刺し、軽めのチェストプレートやコートなどを装備した。
テルは弓と矢筒を背負って、腰には俺と似ている短剣、羽織っているコートの内ポケットに小さな小瓶を装備していた。
俺のコートは白黒、テルのコートは青白、デザインは多少似ているが、こっちのコートはこいつの感性には合わなかったようだ。
「そっちのほうが防御力が高いからお得だぞ」と言われた。ンなこと言うならこっち装備しろよと思ったが、気に入らないなら仕方ない。
俺が適当なモンスターで戦闘に慣れていると、テルは「やっぱダンジョンに行くのが手っ取り早いよな!」とか言い出した。アホなのか?こいつは。
結局ダンジョンに来た、押し切られた、クソが。
「ここって結構レベル高いダンジョンだろ?」
「そうでもないぞ?平均46だから普通くらいだ。」
俺の今のレベルがやっと12だから約4倍だ、ざけんじゃねぇ。
「おまえゲーマーだから何とかなるだろ」とか言い出した。ゲーマーはお前じゃねぇか。
まぁ相手のレベルが高ければこっちのレベルが上がりやすいからいいか、戦闘慣れもできる。
適当に戦闘しながらレベル上げして約30分、何回か死にかけたが無事生きて現在33レべル、結構上がったな。
「イヤアァァァァ!!!」叫び声が聞こえた。
「今のは?」俺は聞く。
「たまにある、死にたくないやつの叫びさ。」テルがそう言う。
死にたくないのはわかるけどあそこまで叫ぶものか?俺にはよくわからない
「大体レアアイテム持ってるやつが死にかけるときに叫ぶのさ、所持アイテムは全部ドロップだからな。」
なるほど、俺にもよくわかった。
「んじゃそのドロップアイテム目的で行こうぜ。」
我ながらゲスな提案をしてしまったと思う。
「おまえエグイこと考えるな、俺いつもしてるけど。」
してるんかい、俺に対するその言葉取り消せや。
俺たちは叫び声が聞こえたほうに歩き始めた。
結構入り組んだダンジョンのようで、どの方向から聞こえたのかいまいちわからなかったが、テルは迷いもなく進み続けた。やはりプロは違うな。
しばらく進んでいると、前から少女が飛び出てきた。
その少女はかなり焦っていて、何かから逃げているような気がした。
「ヘイどうした、さっきの叫び声は君か?」テルが聞く。お前いつもそんなテンションなのか。
「あなたたちはさっきの人たちとは違いますか...?」
変なことを聞かれた、『さっきの人たち』とは?
「さっきの人たちってなんだ?」俺が聞く。
その質問をすると、少女は少し安心したかのような表情を見せ、俺たちに説明してくれる。
「さっき、盗賊に襲われたんです。私がダンジョンで友達と狩りをしていると後ろから急に現れて...。友達は殺されて、アイテムは取られました。あなたたちもすぐに逃げてください!」
やはりどのゲームにもプレイヤー狩りはいるんだなぁと考えていると、例の盗賊らしき男たちが走ってきた。
「よぅねーちゃん、用心棒でも連れてきたか?にしてはレベル低いようだが?」笑いながらボス的な男が言う。
「なぁ、他人のレベルってどこ見ればいいんだ?」テルに聞く。
「名前左の数字だ、下のバーが右端まで行けば次レベルだ。」テルは答える。
つまり?相手の名前の左側の数字がレベルということは?相手のレベルは53レべということか、一番低くて44レべか、負けたな。
テルのレベルは67、走ってきた少女が46、俺が33、ギリ勝てるか勝てないかのレベル差って感じだな、俺以外。
俺はテルに「どうするよ、逃げるか?」と聞く。
テルは「いや、俺はレベル差がある。少女は低いけど渡り合えると思う。お前は武器差とセンスで何とかしろ。」とか言ってくる、逃げる気はないようだ。
後ろにいる少女は「何考えてるんですか!逃げましょうよ!!」と叫んでいる、ぜひそうしたい。
「戦えば勝てる可能性はあるし、勝ったら友達の装備とかも取り戻せる」とテルは言う、簡単に言ってくれるね。
「いやでも...。」と少女がどもっていると、お相手さんのボスっぽい人が「相談は終わりだ!」と叫んだ。
「お前ら、やれ!あいつらを殺せ!」と叫んだ瞬間、取り巻きたちが一斉に武器を取ってこっちに走り出した。
どうやら本当にあいつがボスだったみたいだ。
テルは背中の弓を取って構えた、俺も半分諦めながら片手剣を構えた。後ろの少女はまだ逃げるかどうか迷っているようだ、ぜひ逃げていいですよ。
突っ込んできた3人のうち2人の男はテルの弓に撃たれ止まり、俺は残り1人を相手する。
お互いに剣を振りかざす、お互いの剣は接触し、甲高い金属音が鳴り響き、そこで固定され筋量勝負となる。
やや俺が不利、剣は少しずつだが俺のほうに押し戻される、俺は一歩下がる。
「威勢がいい割には弱いじゃねぇか!えぇ!」威勢がいいのは俺の後ろにいる弓使いだけだ。
このまま筋力勝負は分が悪い。俺は思いきり右足を下げて、そのまま回り蹴りを繰り出す。
蹴りは相手の膝にヒットして体制が崩れる、そのままの勢いで相手の首を切断する。
相手のアバターは爆散し、アバターの中心部分だったであろう座標へ爆散したアバターが収縮していく。
モンスターを倒した時の演出とはまるで違う、モンスターの時は爆散して終わりだった。
「ヒュー。」と後ろでテルが口笛を鳴らす、うるせぇ、俺は剣を収める。
ドロップアイテムは俺のアイテムスロットに詰め込まれたようだ、空きが少ししかない。
「使えないやつらめ...。」相手のボスが言う。
そらレベル差がある俺に1人、見た目ただの弓使いに2人を倒されたらそんな反応するわ。
「しょうがねぇ...俺が相手してやる...かかってこい!」
かかってこいもなにも、かかってきたのはお前らだろ、ってツッコミは声に出さず飲み込んだ。
男は腰に携えた太刀を引き抜いて構えた。
「あれ...!」後ろの少女がつぶやいた。
「どうした。」俺が聞く。「友達のです...。」少女が言う。
「なら取り返さないとな!」テルが叫ぶ、うるさい。
「ハイ...!」と少女が言う、やる気だ、腰に携えてた短剣を抜いて構えている。
しょうがないので俺もさやに収めた片手剣を抜いて構える。
「いくぞガキども!」ボスが叫びながら走り出した。
テルが放った弓矢は3本とも避けられた、本人は「もう少しきわどいところ...。」って言ってたけど狙いはいいと思うんだけどな。
俺は男に走り出した、距離を詰めて大振りでもかましてやろうかと思ってたら先に右下から左上への切り上げを振られた。
とっさにバックステップでギリ避けたけど、そうだよな。
今立ってるやつらの中で一番リーチあるのはこいつだ、俺らが無理に距離を詰めようとしても適当な大振りされただけで近づけなくなる。
おまけにテルの弓は避けられると来た、どうすればい。
「私が行きます。」少女が前に出てきた。
「リーチ差どうすんだ、短剣じゃ話にならないだろ。」俺は聞く、片手剣ならともかく、短剣じゃどうにもならないと思っているからだ。
「壁も天井もあるので立体的な動きもできます、奇襲くらいなら...。」
...なるほど、それなら首取れそうだな。
「行きます...!」少女がつぶやくと同時に、隣から消えた。
消えたというと大げさに聞こえるかもしれないが、消えた。俺もテルもびっくりしてた。
一瞬身をかがめたかと思ったらもういないんだもん、忍者かよ。
「すごいな、あれポイント全部俊敏に振ってるだろ。」とテルが言う。
スキルポイントとかあるのかよ、どおりで筋力勝負勝てないと思ったわ、てか教えてくれよ。
少女は壁や天井などを蹴って、俺の目にはとらえられないほどの速度で飛び回る。
「飛び回ってないで向かってこいや!」ボスが叫ぶ。
するとボスの向いている真後ろに着地した少女が短剣を持って飛び込んだ。
その瞬間、ボスが振り向いて「甘ェ!」と叫び太刀を振り下ろす。
『今』俺は何かを感じて飛び出す。
ボスが振り下ろそうとしている太刀の刃は少女に向かって吸い込まれようとしている。
「こっちだ!!!」ボスはこちらを見るが手は止めない。
「クソ...!」とつぶやいていると後ろから弓矢が俺を抜かしてボスに当たる。
「完璧!」テルの弓矢だ。「クソガキどもが...!!」ボスが叫ぶ。
その瞬間、少女の短剣がボスの胸に、俺の片手剣が首を跳ね飛ばした。
ボスの首が飛び、俺と目が合う。声は出てなかったが「いつか殺す」と言われた気がした。
次の瞬間、ボスの体が爆散し、収縮して消えた。
俺と少女は息を切らして、立ち尽くしていた。
ラストアタックは俺だったのか、ボスが持っていたアイテムはすべて俺のアイテム欄に入っていた。
少女の友達が持っていた武器防具やアイテムなどはすべて少女に返し、ついでに使わなそうなアイテムや高価なアイテム、ポーションなども分けた。
少女は終始「ありがとうございます!ありがとうございます!」と言っていた。
少女はアカネというらしい、フレンド登録してダンジョン前で別れた、初めてのフレンドはテルではなくアカネになった。どっちでもいいけど。
数日後
俺はテル、アカネ、先日盗賊に襲われて殺されたアカネの友達であるリンとダンジョンに来ていた。
「ウワアァァァァァァァ!!!」洞窟の奥で叫び声が聞こえた。
「なんかデジャヴだな。」テルが言う。
「あぁ、どっかの誰かさんと似てるな。」俺は言う。
アカネとリンは顔を赤くしていた。
「んじゃま、前と同じく助けますか。」俺は言う。
「お前あの時ドロップアイテムもらおうとしてたくせに。」テルが余計なことを言う。
「あの時みたいなヘマはしません!」リンが意気込む。
「今回はラストアタックもらいますよ!」アカネが戦闘態勢になる。
通路から男が走ってくる。
「助けて!!!」と叫びながら近づいてくる。
直後向こうから盗賊が現れる、見たことある顔だ。
「てめぇら...あんときはよく邪魔してくれたな!」
「よぅ、あんときのボスじゃねぇか、懲りずに盗賊してんのか」テルが茶化したように言う。
「黙れガキが!てめぇら!やっちまえ!」というと取り巻きが走りこんできた。
「んじゃ、やりますか。」『おう!/ハイ!』
読んでいただきありがとうございました。
連載小説として【三浦カスミは信じたい。】という
異世界転生物を書いていますので是非読んでいただけると幸いです。
もっといい表現方法や、言葉を間違えて使っていたりしたら
指摘していただけるとありがたいです。
ではでは、いつかまたどこかでお会いしましょう。