八話までの登場人物
八話までのネタバレを含みます。
【ヴィンセント王国】
◆ ウル・ヴィンセント/第百代ヴィンセント国王
第一話では二十四歳、第八話終了時点で二十六歳。
父は第九十九代国王、母は北の国境付近一帯を治めるマーラント伯爵家出身。
初代国王がマイリの中身と結んだ契約により、時々首をガジガジされる。
苦労性。貴重なツッコミ要員。周りがボケばっかりでとっても疲れている。
十六歳でヒンメル王立学校を卒業後、幼馴染のロッツとともに諸国を旅して周っていたが、二十歳で祖国に呼び戻される。
父から国王の仕事の引き継ぎを受け、二十四歳で即位。戴冠式の夜、初めてマイリと出会う。
なんだかんだ言いつつ面倒見がいい。
冬眠明けの熊と素手で殴り合ったことがあるかもしれない。
◆ マイリ・ヴィンセント/第百代ヴィンセント王妃
第一話では三歳、第八話終了時点で五歳。
身体は死産となるはずだったフェルデン公爵家の孫娘、中身は人ならぬ存在。
この世の天守たる存在を父に持つ兄弟姉妹の末っ子。
一人称は「わらわ」。喋り方が年寄りくさいと言われても別に怒らない。
歴代のヴィンセント国王の血を対価として、自分の土地に国を建てることを許した。
以来、いろんな生き物を器として国王に寄り添ってきたが、人間を器とするのは初めて。
どのヴィンセント国王にも愛着があるし、血の味は先代が最も好みだったが、
ウルと一緒に過ごす現在が一番楽しいらしい。
最近、おねえさんになった。
愛読書は『世界の拷問大全集』。
◆ ロッツ・フェルデン/ウルの幼馴染でマイリの父
フェルデン公爵家嫡子。
ウルとは赤子の頃からの付き合いで、良いことも悪いことも一通り一緒に経験済み。
隣国王子の婚約者だったアシェラへの思いを、十年もの間秘めていた。
わずか三歳で娘を城に召し上げられてしまって殺意の波動に目覚めたモンペ。
とはいえ、ウルに対して忠誠心はあるらしい。
妻アシェラに絶対服従。リアクションが大きい。
◆ アシェラ・フェルデン/マイリの母。
ウルやロッツとは王立学校時代、男女の垣根を越えて友情を育んだ仲。
ヴィンセント王国の隣、ヒンメル王国の名門ダールグレン公爵家の長女で、王立学校きっての才女。
ヒンメル王国の第一王子と婚約していたが、彼が異世界からきた聖女()に乗り換えたために婚約破棄されてしまう。
かねてよりひっそり思い合っていたロッツからの、ものすごく重いプロポーズを受け入れて結婚。
わずか三歳の娘を自分から取り上げたウルを心底恨んでいる。
◆ スコット・フェルデン/ロッツの父でマイリの祖父
フェルデン公爵。ヴィンセント王国の宰相。
ウルの父である前ヴィンセント国王とは幼馴染。アシェラの父であるダールグレン公爵とも王立学校時代に友情を育んだ。
若かりし頃、うっかり魔界に迷い込んで魔王の右腕として働いた経験があると噂されている。
三歳のマイリを、その両親の反対を押し切ってウルに嫁がせることを許可した。
マイリ曰く、腹に一物ありそう。
若くして国王となったウルを見守り支える。
◆ ケット/守衛
代々ヴィンセント王家に仕える軍人一家の出身。
ウルの護衛という名のマイリの忠実な下僕。
鬼畜面だが、マイリにかわゆいと言ってもらえるので自分の顔が好きになった。
日常的に、国王執務室で勝手にお茶を淹れて堂々と寛ぐ。
瓜二つの双子の妹がいるらしい。
ウルとマイリを乗せた馬車の御者も務める。
◆ ソマリ/マイリ専属のお針子
ワニスファー公爵の庶子。
ウルにハニートラップをしかけようとした父の意向で裸にひん剥かれて国王のベッドに入れられたが、マイリによしよしされてマイリ教に入信した。
自称異世界転生者。本人曰く、腕利きの服飾デザイナーとして日本で生きていたが、同僚に手柄を盗まれて不遇なまま人生を終えたらしい。
頻繁に、前世の知識をマイリに伝授している。
◆ コリン・ウォーレー/大司祭
ヴィンセントの神職のトップ。フェルデン公爵家を一方的に敵視している。
マイリが先代の猫をしている時代にめちゃくちゃ可愛がって貢物をしたため、
今代の彼女からも好感度が高い。
ウルに対する忠誠心は篤い。
末の息子はウルやロッツと幼馴染で、城の図書館で司書をしており、四歳児が『世界の拷問大全集』を手にした元凶でもある。
◆ ドンロ/猫型悪魔
あらゆる愛らしさを魔界に置いてきたような風貌。可愛くない。
背中にコウモリのような翼があるが、でっぷりしているのでたぶん飛べない。
尻尾が二股に分かれている。
ドンロというのはウルの亡き父の名前でマイリが命名。
ウルや父と同じ灰色の瞳をしているが……?
◆ マイリの弟/新生児
自称、魔王の生まれ変わり。
生まれたてなので言葉は喋れないが、ウルとマイリの頭の中に直接話しかけてくる。
生後ゼロ日目から一人称が「わし」。
マイリ曰く、聞こえる声はおっさん。
【ヒンメル王国】
◆ オリビア・ヒンメル/ヒンメル王国の王女
十六歳。幼い頃からウルが好きで、彼との結婚を強く望んでいたが、年の差を理由に相手にされなかった。にもかかわらず、ウルが三歳の王妃を娶ったと聞いて納得いかない。
ウル以外で唯一、マイリの喋り方に「年寄りくさい」と突っ込んだ貴重な存在。
ハムスターと称してヤバいやつを飼わされることになった。
第一王子である兄を差し置いて王太子となる。未来のヒンメル女王。
◆ ヒンメルのネズミ/ヒンメル王国のある土地を所有する人外。
マイリの兄であり、この世の天守たる存在を父に持つ。
ヒンメル王国の初代国王と対峙した際に口車に乗せられて、対価を得られないまま国を建てられてしまった。
騙されたことにはさほど怒ってはいないが、時折、ネズミの大群を率いて飢餓をもたらしたり、疫病を流行らせたりして憂さ晴らしをしている。
マイリ曰く、兄弟の中では寛大な方らしいが、ヤバいのに変わりはない。
マイリに調教された後、ゴールデンハムスターとしてオリビアで飼われることになった。
ウルからプレゼントされた回し車がお気に入り。
◆ ダールグレン公爵/アシェラの父でマイリの祖父
ヒンメル王立学校の学長を長年務めており、ウルをはじめ教え子達からは父のように慕われている。
前ヴィンセント国王やフェルデン公爵とは親友。
王族としての自覚のない第一王子を早々に見限っていた。
◆ ライン・ヒンメル/ヒンメル王国の王子
ウルやロッツとは同級生だが、仲がよかったわけではない。
幼い頃に親同士の意向でアシェラと婚約したが、優秀な彼女に対してコンプレックスを募らせていた。
◆ ナミ/ラインの妻
日本からの異世界転移者。
女子高生の頃、セーラー服姿でスマホ片手にヒンメル王国の大聖堂にトリップ。
大聖堂によって、ダールグレン公爵家との権力闘争のコマとして持ち上げられた。
調子に乗って自身をヒンメルを救う聖女と公言し、第一王子ラインと結婚して男の子を出産。
バッドエンドの場合は、我が子共々ヒンメルのネズミへの生贄にされる。
【ヴォルフ帝国】
◆ マチアス・ヴォルフ/ヴォルフ帝国の皇弟
ウルやロッツとは王立学校時代の同級生。ウルとは正反対の性格だが仲が良かった。
姉レベッカを深く敬愛しており、彼女のためなら命を投げ打つことも厭わない。
姉の未来を思って、邪魔者の叔父を道連れにするため茶番のクーデターに加担。
恩赦によって死刑は免れたものの、現在自室にて軟禁中。
◆ レベッカ・ヴォルフ/ヴォルフ皇帝
王立学校時代からの恋人エレメンス王国の王子ジルを婿に迎える予定だったが、彼が祖国の王位を継ぐことになって泣く泣く別れを決意する。
しかし、ウルとマイリに発破をかけられて奮起。
無事、国家君主同士の結婚を実現させる。
お腹に子供がいる。
マイリのことは、半分本気で持って帰りたいと思っていた。