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ポンコツ論争

 さて……終わったな。


 ちょっと呆気なかった気もするが、初戦だし、まあいいだろう。

 少しずつ、強い敵と戦っていけばいい。


「あ、あの……」


「ん……?」

 振り向くと、そこにはさっき助けた少女の姿。

「あんた……逃げなかったのか?」


「いえ……ひとりだけ逃げるわけにもいきませんから……」


「へぇ……」


 なるほど……すごいな。

 自分だって追い詰められていただろうに、ここまで他人を考えられる人物がいたとは。リリアスではないようだが、彼女に近いものを感じるな。


 そしてよくよく見れば、彼女はかなりの美人だった。


 腰まで伸びた銀髪に、翡翠色に輝く瞳。

 スタイルも抜群で、通りすがりの男性から次々羨望の目を向けられてもおかしくないような――そんな風貌をしていた。


 歳も……俺と同じ18歳くらいかな。


 さっきはそこまで観察する余裕はなかったが、改めて見ると相当の美少女だった。


「え、えっと……」

 その少女が、俺とポンコツたちの間で視線をさまよわせながら言った。 

「その人たち、どうしたんですか……? まさかあなた一人で……?」


「まあな。そんなにたいした奴らじゃなかったし」


「えっ……。《バーダイク戦線》がですか!?」


 くわっと目を見開く少女。

 そういえばポンコツたちもさっき《バーダイク戦線》を自称してたな。


「その《バーダイク戦線》ってなんなんだ? 聞いたことあるような気もするが」


「知らないんですか!? 過激派のテロ組織で、凄腕の冒険者でも歯が立たない実力を持ってるって……!」


「あ、あー……」


 なんか聞いたことあるかもな。

 3年も引きこもっていたもんで、詳しいことは覚えていないんだが……


 たしか過激的な思想を持つ組織で、自分らの理想を叶えるためならば実力行使も厭わない連中……だった気がする。


 でも、おかしいんだよな。

 3年前はそこまで恐れられてはいなかった。


 凄腕の冒険者でも歯が立たないなんて……そんな話は聞いたことがない。


 ということは、たぶんあれだろう。

 彼女もリリアスと同じ部類の、とても優しい女性なのだ。


「ありがとう……君は、優しいな。あのポンコツどもを倒しただけでそんなに褒めてくれるなんて」


「なにがですか!? 《バーダイク戦線》はポンコツじゃないですよ!?」


 うんうん。

 この反応もリリアスそっくりだ。


 なんだか懐かしくなってくるな。さっき別れたばかりだけど。


「そ……そうだ!」

 少女がなにかを決心したかのように声をあげる。

「私、メルアと申します! せめてものお礼として、なにか献上させてください!」


 ん?

 メルア?

 これも聞いた気がするな。


 たしかかなり身分の高い女性の名前だったように感じるが……いかんせん3年前なので覚えていない。


 人間、どうでもいいと認識している記憶はすぐに忘れ去るものだ。


「いや……いいよ。ポンコツ倒したくらいだろ? そんなに堅くならなくても」


「《バーダイク戦線》はポンコツではありません! 私、あのままだと死ぬところだったんですって!!」


「いやいや、大げさな。だってあいつら、一撃で倒れたぞ?」


「あの《バーダイク戦線》をたったの一撃で!?」


 またしても目をくわっと見開く少女――もといメルア。

 なんだ、いちいちオーバーリアクションだな。


「そんな……これはピンチになったベルモンド王国を助けてくれる救世主……?」

 そしてぎゅっと俺の腕を掴むと、ぐいぐい引っ張りだした。

「来てください! 宝剣でも神具でも、なんでもお渡ししますから!」


「は……?」


 神具?

 宝剣?


 嘘だろ、ポンコツを倒しただけでそんなお宝を渡そうとしているのか?


 しかも王家しか持っていないはずのそれを、やすやすと渡そうとしてくるなんて……


 なるほど。

 やはりメルアは――リリアスと同じくらい優しい人間なんだな。


「ありがとう。気持ちだけ受け取っておくよ」


 そう言いながら頭を撫でると、

「あふぅ……」

 とメルアが顔を真っ赤にして固まってしまった。


「って、そうじゃなくて! お気持ちじゃなくて本当に……って、あれ?」


 少女がそんな声をあげる頃には、俺はメルアから距離を取っているのだった。

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