表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

7/19

俺はポンコツとの戦いを始める

「お……」


《神秘の森》を抜けた瞬間、不思議な現象が起きた。


 昨日まで、たしかにそこに存在していたはずの森が――跡形もなく消え失せたのである。


 あとに残っているのは、だだっ広い草原のみ。


 まあ、これが本来の光景・・・・・なんだよな。

《神秘の森》はリリアスが作り上げたもので、その存在を知っているのは、俺と彼女だけだ。


「リリアス……」


 一縷いちるの寂しさはある。


 だけど、彼女はまた会えると言っていたからな。

 いまは――いまやるべきことをやろう。


 とりあえず、目下の目標は冒険者登録を済ませること。


 なにしろ3年も修行に費やしてきたわけだからな。

 

 この経験が活かせるのは冒険者だろうと検討をつけた。


 いかに外れスキルの所持者といえど、たぶん登録くらいはできるだろう。そこまで大活躍はできなくても、食い扶持さえ稼げればそれでいい。


「そのためには……まずは王都かな」


 ここからだと、王都のギルドが一番近い。

 実家のある場所でもあるので、できれば行きたくはないんだが。


 まあ、あれから3年も経った。

 いまさら白い目を向けられることはないだろう。

 たぶん。


 そう判断した俺は、王都の方向へと歩みだそうとして――




「…………っ」




 突如嫌な気配を感じ、ふっと立ち止まった。


 この気配は。

 まさか。


 俺は身をひるがえし、咄嗟に駆け出した。

 3年の時を経て、スキル以外で身につけたものがある。


 それが――この気配察知力だ。


《フレーム回避》を使いこなすにあたって、重要なのは相手の動きを見極めること。そのために編み出した方法のひとつが、この《気配察知》である。


 外れスキル所持者なりに、できるだけ強くなっておきたかったからな。


 リリアスは俺の気配察知に驚いていた気もするが……まあ、これくらいしないとナードの足元にも及ばないだろうし。


 そして――数秒後。

 予想通りというべきか――茂みのなかで異様な光景を見た。


 男が5人。女が1人。


 その女1人を、男たちが下品な笑みを浮かべながら囲んでいる。それぞれ剣だのナイフなどを手に携えているので、どう見ても穏やかな状況ではない。


 対する女の子のほうは、尻餅をついたまま動けない様子だ。


 怯えた目つきで男たちを見上げるばかりで、声をあげることさえできないらしい。


「げっへっへ……」

「観念しやがれよ。王女様」


「っ…………!」


 うちひとりの男が剣を高く掲げたところで――


 俺の身体は勝手に動いていた。


 咄嗟に地面を蹴り、あらん限りのスピードで女の子のもとへ向かう。そして優しく女の子を抱きかかえ、そのまま走り抜けた。


「らぁっ!」


 対する男のほうは、やっと剣を振り終わったところらしい。


 もちろん、そこに女の子はいない。


 フォレストタートル並に鈍重な攻撃……。たぶん、こいつらたいしたことない奴らだな。正体まではわかりかねるが、実力はそこまで高くなさそうだ。


「へっへっへ……って、え!?」


 剣を振りかぶった男はやっと女の子がいないことに気づいたのだろう。


 驚いたようにきょろきょろ周囲を見渡している。


 うん。

 やはりこいつら、たいしたことないな。


 そこまでを確認した俺は、男たちからすこし離れたところで着地し、女の子を降ろす。


「さて、と。大丈夫か? 咄嗟に助けちゃったけど」


「え……? えっと……」


 戸惑っているかのように目を白黒させる女の子。


「もう大丈夫さ。あいつらはなんとか倒しておくから、君は逃げな。それじゃ」


 それだけ言い残して、俺は男たちの方向へと駆け出していく。


「あ、ちょっと待ってください! あの連中は危険です! 一緒に逃げ――」


 背後で少女がなにか言っていた気がするが、もうそれすら俺の意識にはなかった。


 戦闘する際には、あらゆる雑念を捨てる。

 この3年間、俺が学んだもののひとつだ。


「よう」

「なっ……!?」


 本当に、俺が少女を連れ去ったことに気づいてなかったようだな。


 警戒心もあらわに、男たちが一斉に剣の切っ先を俺に向ける。


「なんだてめぇは……! まさかあの女をさらったのは……!!」


「そうだな。っていうか、マジであれが見えてなかったのかよ」


「なんだと……!?」


「来な。てめぇらポンコツくらい、俺でもどうとでもできそうだ」


「な……な……!」

 怒りが頂点に達しつつあるのか、男がぶるぶる身を震わせる。

「俺ら《バーダイク戦線》がポンコツだと……? ふざけんなぁぁぁぁぁああ!」


 バーダイク戦線?

 なんか聞いたことがある気がするが……まあいいか。

 どちらにせよ、たいした敵ではないだろう。


 そう判断した俺は、男たちからの攻撃に備えるのだった。


【恐れ入りますが、下記をどうかお願い致します】


すこしでも

・面白かった

・続きが気になる


と思っていただけましたら、ブックマークや評価をぜひお願いします。


評価はこのページの下側にある【☆☆☆☆☆】をタップすればできます。


今後とも面白い物語を提供したいと思っていますので、ぜひブックマークして追いかけてくださいますと幸いです。


あなたのそのポイントが、すごく、すごく励みになるんです(ノシ ;ω;)ノシ バンバン


何卒、お願いします……!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
↑の☆☆☆☆☆評価欄↑をポチっと押して

★★★★★にしていただけると作者への応援となります!


執筆の励みになりますので、ぜひよろしくお願いします!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ