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アルナス家の崩壊①



 ★

 

 一方その頃。 

 アルナス家の屋敷では。


「お、おやめくださいっ、ナード様!」


 パチン! と。

 召使いに頬を叩かれ、乾いた音が響き渡る。


「え…………」


 ナード・アルナスは、思わぬ事態に目を見開いていた。


 左の頬がヒリヒリ痛む。

 自分がビンタされたことは明白だった。


「目をお覚ましください、ナード様! いったい……何人もの召使いを辞めさせれば気がするものですか!!」


「ユ、ユキナ……」


 ナードはやはり、現実を受け入れることができなかった。


 おかしい。

 自分はベルモンド学園をダントツの成績で卒業し、間もなく王国軍に入ることが決定している。もちろん一般兵ではなく、幹部候補生としてだ。


 つまり同世代においては一番の出世株。


 だから絶対、モテにモテまくると思っていた。


 だが……現実の女は馬鹿ばかり。


 顔立ちも整っていて、剣の腕も達人級、性格も悪くない。

 そんな自分が言い寄っているというのに、このように、あからさまに拒絶されることも決して珍しくなかった。


 そのせいか、最近は若い召使いがどんどん辞めていっている気がする。


「おまえも……」

 叩かれた左頬をさすりながら、ナードのなかで少しずつ憎悪の念が増していった。

「おまえも、俺様の良さがわからないのかよ! このクソ女がぁぁぁぁぁぁあああ!!」


「きゃっ!」


 ナードに勢いよく右肩を押され、ユキナは後方に吹き飛んでしまう。


「こうなったら無理やりにでも俺の魅力をわからせてやるよ……! なぁユキナ、いいだろ……? 昔ながらの仲じゃないか……」


「い、いや……辞めて……」

 にじり寄るナードに、ユキナは尻餅をつきながらも後退する。

「た、助けてください……イスラ様……」


「イ、イスラだって……!?」


 大嫌いな名前を聞いてしまい、ナードは思わず立ち尽くす。


 そう。

 これまで、召使いはきまってあいつ・・・の名前を呼んでいた。


 俺という存在があるにもかかわらず、召使いはあいつの名を呼ぶのだ。


 ――意味がわからない。

 外れスキル所持者で、どうしようもないゴミくずで……どこに行ったかもわからない男のことを、どうしてそんなに想うことができる。


 そんな奴よりも、俺のほうが一万倍も優秀だというのに。


「ナ、ナード!? なにをしておる!!」


 騒ぎを聞きつけて来たのだろう。

 父――ラルクが息せき切って室内に入ってきた。


 そしてナードとユキナの間で視線を交わすと、あからさまに呆れた様子でため息をつく。


「ナード……! 頼むからもう・・問題を起こすのは辞めてくれ……! せっかくアルナス家の名が回復するチャンスなのだぞ……!」


「し、しかし父上……!」


「ナード! いまがチャンスなのだ! わかっておくれ!」


「…………」


 そう。

 父はいつもこうだった。


 口を開けば「アルナス家の名が回復するチャンス」としか言わない……


 子どものことよりも、よっぽどそっちのほうが大事そうな言動だった。

 このことも、ナードにとってのストレスの要因となっていた。


「と、そんなことを話している場合ではない! ナード、急いで正装に着替えるのだ!」


「は……? 正装?」


「ああ! たったいま連絡が入ってな! メルア王女殿下がいらっしゃるらしい!」


「え……?」


 さすがに予想もしない展開だった。


 メルアといえば……その高貴な身分のみならず、その美しい容姿で国民のすべてを魅了しているお姫様である。


 そんな彼女とお近づきになれたら、さぞ薔薇色の生活が待っているだろう。


「で、でも父上。なぜ王女殿下がいきなり……?」


「詳しいことは聞かされておらん。だが、おまえがベルモンド学園を飛び抜けた成績で卒業したばかりだからな。きっと良き話であろうぞ!」 


「良き話……。はははは、そうかな……?」

 あのメルアが言い寄ってくれるなら、願ったり叶ったりだ。

「わかりました父上、いますぐ着替えてきます。お待ちください」


 ナードは男性としての欲求を叶えるため。

 父ラルクは家の評判を盤石にするため。


 それぞれの思惑をもって、王女を迎える体制を整えるのだった。

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