7話 魔術の授業(2)
7話です。よろしくお願いします。
それから実に1週間が経過してようやく魔力を感じとることができた。
「感じます!感じますよ!クロエ先生。体の中に小さな何かがある!」
「それが魔力よ!レオン君。そうしたらそれを上下左右にゆっくり動かしてみて」
魔力を体の上部に動かそうとするが、いくら頑張っても少しずつしか動かない。しかもなかなかこれが大変で、額からは脂汗が落ちてくる。
「これ、かなり大変ですよ、クロエ先生」
「魔力を見つけるのが大変でこれが1週間でできるのはかなりの素質よ。何年もかかる人もいるし、いつまでも見つけられない人もいるわ。もしレオン君がいつまでも見つけられなかったら、適当に術式だけ教えて終わらせようと考えていたわ。あとは頑張るだけね」
「はあ、ありがとうございます」
「レオン君にはどうやら魔術の才能があるみたいね。ちょっと本気になって教えてみようかしら」
その後、魔力を動かすのに四苦八苦するも、日を重ねるにつれて動きがスムーズになっていき、体内を縦横無尽に動き回すことができるようになった。
「うん、結構動かせるようになってきたわね。今日は原石を持ってきたわよ。これに魔力を移してみましょう。この白い原石に魔力を移すとだんだんと黒くなっていくの。真っ黒の石になったらその石は終了」
そう言うとクロエ先生はこぶし大の原石を渡してきた。それを両手で包んで魔力を送ることにする。集中して魔力を手に集め、それを原石に移していく。ほんのわずかに黒くなったか?
1時間後、わずかに灰色がかった魔石原石ができた。
「まあ、初めてにしては上出来よ。これもだんだんうまくできるようになるから。ちなみに宮廷魔道士なら10分ぐらいで魔石を完成させるわよ。まずはその石を魔石にしてちょうだい」
それから毎日2時間の授業では、原石に魔力を送り込み続け、1週間後ようやく魔石が完成した。
「うんうん、ちゃんとできてる。これなら売り物になるわって!じゃなくて、これをもっと短時間でできるように頑張って。そうしたら今度は自分の限界まで魔力を移動させて魔力欠乏を起こすの。それを繰り返せば魔力量はどんどん上がるわ」
お菓子を食べながら授業することはもうなくなっていた。生徒に興味がわいたのだろう。あいかわらず昼間はだらだらお菓子を食べているようだが。
それから毎日魔石を作り続け、ついに2時間以内で魔石を作ることに成功し、2つめの魔石に取りかかったところ急に意識が遠くなった。目が覚めると側にクロエ先生がいた。
「大丈夫?レオン君。でもそれが魔力欠乏よ。おめでとう。今の魔力量はこの大きさの魔石1個と少しね。大体みんな半個から1個分ぐらいしかないから結構才能あるわよ。ここからも努力あるのみね。でも魔術の土台となる部分はここにかかっているから頑張って。10個も作れるようになったら十分じゃないかしらね」
また、その日から魔石を作っては気を失っての繰り返しを行った。1ヶ月が経過した頃には魔石ひとつを5分で作ることができた。また、魔力欠乏になるまでに50個の魔石を作れるようになった。
「すごく頑張ったじゃないレオン君!それに凄い才能ね。一流の魔導士になる素質があるけれど、剣士になるんだったよね、残念……。今回の修行でより多くの魔力を一度に放出すること、また、より多くの魔力を蓄えることができるようになったわ。これによってより強力な魔法をよりたくさん使うことができるわ。あと実戦では気を失うと大変だから気分が悪くなったところで魔法を使うのは止めること」
どうやら魔術の土台作りは終了のようだ。
「あとは実際に魔術を使う実践編になるけれど、今日のところはこれでおしまい。あと魔力の鍛錬はやらないと落ちていくからたまには日頃から鍛錬すること」
そして次の日から魔術の授業は実践編となる。魔法は火・水・風・土・雷の5つの属性があり例えば火の属性の魔法を使うならば火のイメージをすることによって火魔法を出すことができる。この辺りの知識はあらかじめ持っているので簡単にできそうだ。
数週間である程度5つの属性については使うことができるようになった。
「レオン君は飲み込みが早いわね。なんだか初めてじゃないみたい。それに、おおよそ5つの属性については理解できたようね。なかなか属性をイメージするのはたいへんで、5つとも使える人は案外少ないの」
「それから、火・水・風・土・雷の5つの属性魔法にはそれぞれ特色があるから、それについても覚えないといけないわね。」
「それぞれに特色があるのですか?」」
「そう、例えば火属性の魔法は威力が大きいけど周りに何かあったら周りが燃えちゃうから気をつけないといけないわ」
「あと、特に土魔法は地面が土でないと発動しないから使いどころが難しいわ。でも土を盛り上げて防御に使える。また、大規模術式が必要だけれど丘を作り出したりできてこれはさっきも言ったけど戦争で使えるわ」
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