3話 模擬戦
3話目です。よろしくお願いします。
そんな日々がしばらく続くとケイオスからそろそろ模擬戦をしてみたらどうかと提案された。
対戦相手は次兄のヨハン。防具を着けると庭の中央に集められ対峙する。
「はじめ!」
ケイオスが掛け声をかける。
ヨハンは毎日練習しているだけあって、構えからは年齢以上の実力を感じられた。体力差も大きい。まともに打ち合うと厳しいだろう。
ヨハンは振りかぶると上段から打ち下ろしてくる。これをわずかに体を捻って躱した。
少し後ろに下がり、間合いを取る。
もう一度ヨハンは振りかぶると今度は袈裟切りに振り下ろした。
剣先がぎりぎりかすめる程に後ろに下がってこれを躱す。
ヨハンが剣を戻すのに合わせて踏み込み突きを出す。
剣の切っ先はヨハンの首を軽く突いて止めた。
「それまで!」
ケイオスが鋭い声で模擬戦を止めた。
「レオンは剣を始めて間もないとは思えない、面白いではないか!。よし、私と打ち合ってみよう!。ヨハン私と代わりなさい」
ケイオスは少し興奮気味に言うと、こちらにヨハンの側にやってきて木刀を受け取った。
「構えなさい。そしてどこからでもかかってきなさい」
そう言うとケイオスはゆっくりと構えた。
ケイオスの構えから感じる威圧感はヨハンとは比べ物にならない。前世で戦った剣豪達と同等の威圧感を感じた。さすがにこの体では勝てそうもないが、全力を尽してみるのも面白いと思った。
間合いを測りながら少しずつ少しずつ間合いを詰める。これも剣技の1つ。相手が気づかないうちに間合いに入っていく技だ。
しかし、まだお互いの間合いに入るには至っていない。
間合いはまだ離れているが構わず最速の一歩を踏み出し突きを繰り出す。当然突きは相手に届かない。
ここから左手を離し、右肩を入れることによって相手に届く。これで数多くの相手を倒してきた必殺の剣。
しかし、驚くべきことにこれは躱される。
そのまま左手を戻し横薙ぎに剣を払うが、これも躱された。
この連続技を躱せる者は多くいない。しかしこの体勢では追撃は難しい。一歩下がり再び対峙する。
「今の技はなんだ?ありえないだろう……躱せたのは正直偶然に近い。なるほど、どうやら子供と思ってはいけないようだ。では今度はこちらから行くぞ!」
そう言うとケイオスは間合いに強引に入ってきた。そして剣を振りかぶって上段から振り下ろす。これを躱すと今度は横薙ぎに切り払う。
だがこれは読んでいたので軽く躱す。それからケイオスは2撃、3撃と打ち込んでくるのでこれを躱す。
この腕力の差ではさすがに打ち合うことはできない。ケイオスの攻撃は強引で体格さを生かした戦い方になっている。その後両者は距離を取り合う。
「よし、ここまでだ。これ以上やると大ケガをしてしまうかもしれない。レオンは天才というかそれ以上だな。しかし行く末が楽しみと言うより恐ろしい」
そしてケイオスはしばらく考えると。
「レッドとヨハンではレオンの練習相手にならないだろう。正直私にも荷が重い。ここは師範を雇うしかないか」
そう言いながらケイオスは屋敷に戻って行った。
「レオンすげーな!」
「俺にも教えてくれよ!」
兄達は興奮した様子でレオンを囲んだ。
その後レオンは兄達と何度も模擬戦を行った。
それからは午前中は家庭教師に勉強を教わり、午後は素振りで型を確認してから兄達と模擬戦を行った。
兄達はみるみる上達していき、このままいけば王立騎士学校にも合格できるとのことである。