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冥土の土産屋『まほろば堂』2 ~藍染着流し店主の謎解きおもてなし  作者: 祭人
其ノ七 忍姐さんのスピリチュアルなお仕事日記
65/68

7-3

 倉敷美観地区傍の古い住宅地。

 午後の十時過ぎ。忍は自宅である中邑家のリビングで、ソファに寝そべりテレビを鑑賞していた。

 惚れた晴れたのよくある恋愛ドラマだが、主演のアラサー女優は古い知人が経営する事務所の看板タレントであり、その女社長の愛弟子なのだ。

「この娘、美人で可愛くて演技も上手いんだけど。ちょっと役のパターンが凝り固まっちゃってるわよね」

 こうやって、ついついチェックを入れてしまう忍だった。

「事務所的にイメージを大事にしてるのは分かるんだけど。清純派だけじゃなくって、悪女とかコメディとか色んな役に若いうちから挑戦させないと。この先、生き残れないわよ」

 ウィスキーのロックグラス片手に、駄菓子『ジューC』のソーダ味を摘まむ。地元カバヤ食品のロングセラー商品だ。

 ラムネ菓子をボリボリとかじり、ウィスキーで流し込む。ソーダ割りのつもりなのだろうか。

「母さん、今日も病室に泊まりかしらね」

 中邑家は、父親と母親と忍との三人暮らしだ。

 しかし父の元春もとはるは半年前から重い病気を患い、近所にある倉敷総合病院で入院中。以来、母の弥生やよいはずっと病室と家との往復生活をしている。

 なので最近は、家でひとりでいることが多い忍だった。

 料理は苦手だ。このところは、近所のまほろば堂に頻繁にお邪魔して、望美の手料理を真幌と共に頂いたりしている。

 白いローテーブルの上の駄菓子の水色キャップに手を掛けた刹那、横に置かれたスマートフォンに着信があった。

「はい、もしもし」

「あ、もしもし忍ちゃん? 久しぶり、私よ」


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