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冥土の土産屋『まほろば堂』2 ~藍染着流し店主の謎解きおもてなし  作者: 祭人
其ノ七 忍姐さんのスピリチュアルなお仕事日記
63/68

7-1

 年始の吉備津神社。

 県を代表する有数の仏閣であるこの場所の初詣は、今年も大勢の参拝客で賑わっていた。

 拝殿の控室。紋付き袴の和装姿をした中邑なかむらしのぶの帯を、お付きの巫女がぎゅっとしめ直す。

 忍は腹部を、パンと威勢よく叩いた。

「さてと。そろそろ、おっぱじめるわよ」

 職業霊媒師である彼女は、当神社にて行われる毎年恒例『新年ご祈願厄除け』でのお祓い要員に、今年も外部委託アウトソーシングとして駆り出されていたのだ。

「忍さんっ。よろしくお願いしますね!」

 巫女の桃香ももかが、ペコリと頭を下げる。ひまわりのような笑顔と、白桃のようなぽっぺが特徴の元気な女子高生だ。

 彼女の苗字は吉備津きびつ。この神社の跡取り娘なのである。

「オッケー。任せといて、ももちゃん」


 拝殿大広間。

 老若男女、大勢の参拝客が正座している。その数は概ね百名を超えている。

 静まり返る大広間の壇上に、上手かみてから颯爽と霊媒師が現れた。

 背の高い美人の女性だ。スタイルも、すらりとファッションモデルのようである。

 ストレートロングの黒いぱっつん前髪には、白い鉢巻が結ばれている。

「お待たせしました。僭越ながら、これより祈祷を始めさせて頂きます」

 首には黒光りする大きな数珠。手元にも小ぶりな数珠が握られてある。

 手にした数珠を、天高く振り上げる女性霊媒師。

「祓え給い、清め給え、かむながら守り給い、さきわえ給え」

 霊媒師はすうと息を呑むと、芸能界仕込みの腹式呼吸で盛大にハスキーボイスを張り上げた。

「悪霊退散!」


※参考サイト

神社本庁「神道での唱えことばについて」

https://www.jinjahoncho.or.jp/omairi/osahou/tonaekotoba

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