表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/68

2-1

「まったく、真幌のやつ。まーたトロトロ仕事してくれちゃってさ」

 黒猫マホは青色のソフトクリーム片手に、少年の姿で美観地区のデニムストリート周辺を歩いていた。

 桜並木に彩られた昼下がりの倉敷美観地区。緩やかに流れる白銀の倉敷川には、家族連れを乗せた高瀬舟が優雅に運行している。

 最近、すっかり暖かくなってきた。左手にしっかり握られた、青色のデニムソフトをぺろぺろと舐めまわす。お行儀の悪い歩き食いだ。

 昨年の丁度この時期から、まほろば堂にも正規雇用のメイドスタッフが増員された。

 以来マホは彼女に店番を押し付け、店主の蒼月真幌に憑依し、少年の姿で日中の倉敷市街を徘徊する事が多くなった。

 店主がメイドを正規雇用したのは昼間の営業の方。相変わらず、夜の店は忙しい。

 にも関わらず、冥土の土産屋としての業務成績けいやくには、殆ど反映できていないのが現状だ。

「それもこれも、真幌のやつが無能だからだよっ」

 ぶつぶつと独り言で少年がぼやく。

「仕事にやたらと無駄が多くて、話が回りくどくて理屈っぽくて。おまけに契約結ぶのもチンタラ遅くて、いつも先延ばしばっかしてて。そんなんだから、まーた」

 ラムネ味の青いソフトクリームをぱくりと頬張る。密かな彼の大好物だ。

冥土の土産屋のオーナーである少年が、もぐもぐと職場の愚痴をこぼす。

「まぁーた同業者はいふに、契約ふぇいやくの先を越されふぁっふぁじゃんかよ。あの」

 唇の周りを長い舌でペロリと舐め回すと、少年はボヤいた。

「あの、生意気で憎ったらしい新参者あいつにさ」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろうSNSシェアツール
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ