92:ひさびさにキレちまったよ、頂上行こうぜユーリちゃん!!!
「うぅっ……」
地面に刻まれたクレーターの中心より、俺はふらりと起き上がった。
痛みもある。衝撃もある。
流石に数百メートルからの落下はキツく、足元は未だにふらふらだ。
だが、
「……ムカついた。ムカついたムカついたムカついたッ! あのクソ天狗がァーッ!!!」
へばってる場合かコンチクショウッ!
「野郎マジでふざけんじゃねえぞッ!? 俺が何時間もかけて崖のぼりした苦労を水の泡にしやがって!」
カルマポイントがマイナスとか知るかよぉ!
ぱっと見の数値だけで人を差別して暴力を振るうとか最低だぞっ!
「俺たちの手は人を殴るためでなく、人と手を繋ぐため。俺たちの口は人を差別するためでなく、人と愛を語るためについてるんだッ!」
それなのにあのヘイト天狗が好き勝手しやがってドチクショウがァァァ!!!
「わからせてやるッ! 俺の最強正義勇者パンチで悪逆天狗を殲滅じゃあッ!」
頂点に達する正義の怒り。俺の思考回路が猛回転し始める!
もうノロノロと崖のぼりなんてしてやるか。
俺の座右の銘は悪即パンチじゃッ!(※今決めた)
「というわけで来いっ、爆殺武装たちよ!」
叫びに応え、俺の周囲に瘴気を放つ魔剣や魔槍が現れる。
さぁ、こっからは賭けの時間だ! 気合い入れていくぜっ!
「待ってろよヘイト天狗。――爆発系スキル、【紅蓮の魔王】発動ッ!」
次の瞬間、周囲の爆殺武装たちが一気に大爆発を起こした!
当然ながら俺は巻き込まれ、黒焦げになりながら宙を舞う。
――だがしかしッ!
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スキル【執念】発動! 致命傷よりHP1で生存!
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「よーし生存ッ! この調子でいくぜ!」
毎度おなじみの【執念】さんで耐え抜くと、俺はさらに爆殺武装を手元に呼び出した。
そしてそいつを地面側に向け、
「【紅蓮の魔王】、もう一回発動ッ!」
ふたたび巻き起こる大爆発。
それによって俺はまたも致命傷を受けるも、おかげでさらに十メートル近く浮き上がる。
「ウェッヘッへ、名付けて人間ロケット作戦よ! 爆死を繰り返していけば頂上までまっしぐらってわけだ!」
普通のプレイヤーなら数発で死んじまうが、俺は幸運値極振りだからな!
食いしばりスキル【執念】が失敗するまで空に向かって飛び放題じゃあ!
「デメリットとして血肉がどんどん弾け飛んでくが、ペンドラゴンのおかげで慣れたぜガハハッ! つーわけで一気に行くぜぇ!」
俺はアイテムボックスから爆発系武器をありったけ呼び出すと、頂上目指してぶっ飛んでいく!
「ウォォォォォーーーーッッッ!!!」
――かくして、爆死ジャンプを繰り返すこと十回以上。
俺はあっという間に頂上を超える高さまでたどり着くのだった!
あ、ヘイト天狗発見!
「ヌアッ、貴様はさっきの大悪党!?」
ビクッと震えながら俺を見上げるヘイト天狗。
ヤツは咄嗟に弓矢を呼び出し、俺に向かって構えようとするが、
「遅いッ! 新必殺技発動、爆死ブースターッ!」
俺は背後に爆発武器を呼び出し、躊躇なく爆破させた!
それによって爆死ジャンプと逆の要領で、下にいるヘイト天狗目掛けてぶっ飛んでいく!
「な、なにぃいッ!?」
「食らいやがれぇーーーッ!」
驚愕するヘイト天狗に向かい、拳を引き絞りッ――!
「正義の鉄拳オラァァァーーーッッッ!!!!!!」
「ぎゃあああァァあああああ!!?」
その顔面へと、おもっくそパンチを叩き込んだのだったッ!
・師匠NPC抹殺完了ッ! 完!
あれ!?