90話:さらなる高みへ!
「うぃ~っす、邪魔するぜー!」
ボスラッシュを食らった日の翌日。
元気にログインした俺は、『絢爛都市・ナカツクニ』にある居酒屋を訪れていた。
何やらザンソードから呼び出しのメールが届いていたためやってきたのだ。
というわけでワチャワチャと着物NPCたちが騒ぐ中、ザンソードはどこじゃ~と店内をうろつくと――、
「はぁ」
「はぁぁ」
「はぁぁぁ……!」
……お店のすっごい隅の席にて、仲良く溜め息をついているザンソードとヤリーオとクルッテルオを発見したのだった。
うわぁなんだアイツら。近寄りたくねぇ。
「……よく考えたら俺、未成年だから酒飲めなかったわ。というわけで帰るぜッ、アデュー」
「むッ、おい待てユーリよ! 来ておいて帰るな!」
ガタッと立ち上がって呼び止めてくるザンソード。
うげぇバレた。しょうがないから行ってやるか。
「んで、話ってなんだよザンソード。それにヤリーオとクルッテルオもいるし……って、んん?」
トップ勢二人を見た瞬間に違和感を覚える。
直接話したことはないが、なんかイベントとかの時とは違うなぁ?
沈み込んでいることを差っ引いても、こう……なんていうか……やさぐれているというか……。
「へへっ、どーもっすユーリさん……! アンタと違って、オレぁ刺客プレイヤーにボコられてざまぁないっすわ……」
弱々しく笑いながら酒をクピクピ飲むヤリーオ。
ってお前、もっとなんか勇ましいキャラだっただろうが!?
「フフ……ヤリーオはまだちゃんと戦って死んだんだから勇敢じゃない。私なんて、アンジュっていう大鎌ブンブン振り回してくる刺客プレイヤーから必死に逃げ回ってるところを、キッドってヤツに狙撃されて無様におっちんだわよ。これがみんなに公開されちゃうんだから、もうやってられるかっつーの……ッ!」
片や、クルッテルオは酒をグィーッと一気に呷る。
って、お前もなんかおかしいぞ!? たしか『おっおっおっ』しか喋らないキャラだっただろうがッ!
「お、おい二人とも。これまでのキャラはどうしちゃったんだよ!?」
「「ンなもん捨てたッ!」」
「え~~~~~!?」
な、なんだコイツら……一体どうしちゃったんだよ。
「おいザンソード、こいつらおかしいぞ。刺客にやられたショックでこうなっちゃったのか?」
「あぁーいや。こいつらがおかしなキャラを捨てた原因は、そもそもおぬしのところの真・頭のおかしい女たちにこっぴどくやられたことが原因というか……」
真・頭のおかしい女たち!? それってシルやグリムのことかぁ!?
っておかしくねーよ! 常識人な俺が集めた仲間たちになんてこと言いやがるッ!
――そう叫ぶと、三人は仲良く「「「お前が一番おかしいんだよ」」」と言ってきた。解せぬ。
「ひでぇなぁお前ら。……まぁいいや、そろそろ本題に移ろうぜ。まさかお前たちほどの連中が、このまま燻ぶってるわけがないよな?」
「当たり前だ。やられっぱなしで済ませるものか……!」
そう言ってザンソードは、目の前にいくつかのウィンドウを表示させた。
ヤリーオとクルッテルオのヤツも眉根を引き締め、何らかの文章が記されたウィンドウを俺に見せてくる。
そこに目を通してみると……、
「これはっ……刺客プレイヤーたちの情報か!」
「うむ。公開決闘というシステム上、敵の素性は丸わかりでござるからな。色々と調べさせてもらったでござる」
三人が集めてきたデータには、主な刺客プレイヤーたちの外見や戦闘スタイルはもちろん、実際に戦った者たちからの感想も記されていた。
こりゃぁすごいな。ずいぶんと手間がかかっただろうに。
「インタビューについては私がやったわ。これでも偵察系プレイヤーのトップだもの、情報まとめと足の速さには自信があるの」
「オレは色んな戦闘スタイルで刺客プレイヤーたちに挑んでいって、どいつがどんな相手を苦手としているか実地で調べていく予定っす。……地味なオレだけど、器用貧乏っぷりには自信があるんで」
ニッと笑うクルッテルオとヤリーオ。まったく頼りになる連中だぜ。
「気合いの入ったマネしやがる。やっぱりお前ら、トッププレイヤーなんだな」
「フッ。そんな拙者たちよりも上のおぬしに言われても、嫌味にしかならないでござるよ。
――今回おぬしを呼んだのも、ペンドラゴンと戦った感想を聞くためだ。そうして精度の高い『攻略本』を作り上げ、各プレイヤーたちに配る予定でござる」
「なるほどっ、そりゃあいいな!」
この襲撃イベントをみんなで乗り切るつもりなんだな。
いいじゃねえか、各ゲームのトップ勢にブレスキプレイヤーたちの力を見せつけてやろうぜ!
「やっぱりすごいよ、お前ら。俺なんてひたすら強くなることしか考えてなかったのに……」
「ハハッ、おぬしはそれでいいでござるよ。なにせ『魔王ユーリ』といえば、今やこのゲームの顔なのだ。さっさと強くなって、今度こそペンドラゴンをぶっ倒してくるがいいッ!」
「おうよっ!」
頼れる戦友たちに親指を立てて応える。
かくして俺は、強くなりたいという思いをより一層燃え上がらせるのだった――!
・3章終了!ここまでありがとうございました!
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