85:『ダークネスソウル・オンライン』
ちなみにキリカさんと戦国六道オンラインは、ツイッターのほうでみなさんに名前を決めてもらいました!
そんな読者参加的なアレをなんも思いつかないときにやっているので、ぜひぜひみなさまも@mazomanziのツイッターを見てみてください!
(※なろうの感想欄で名前募集とかするのは規約に引っかかるため)
「――まったく。相変わらずおぬしは意味の分からん新スタイルを思いつくな」
「へへっ、カッコよかっただろ?」
戦いを終えた後、俺とザンソードは夜桜の森へと降り立った。
いやぁ、一時はどうなることかと思ったけど勝ててよかったぜ。
「よぉ修羅女、気分はどうだ?」
そう言って俺は、地面へと落下したキリカに目を向けた。
その身体には九つの大穴が開いており、すでに光の粒子となって消え去ろうとしている。
「くそっ……気分なんて最悪に決まっとるやろ……! ていうか何やあの技っ、もう剣技ですらあらへんやん……!」
「うるせぇ、勝てれば何でもいいだろうが」
「ぬぬッ!? も、亡者度高い回答しおって……!」
忌々しげにこちらを見てくるキリカ。
あ、この『手段を択ばず勝ちを求める度合い』を亡者度っていうのね。それなら俺も自信あるな。
「異世界の技ってやつ、かなり楽しかったぜ。今度はサシで殺し合おうや?」
「っ……はぁ。殺し合いの終わりに次の殺し合いの話をするとか、どうしようもない人やなぁアンタは。
えぇわ、認めたる。アンタも立派な亡者やで、ユーリはん……!」
最後までこちらを睨みつつも、ほんのわずかに微笑を浮かべるキリカ。
それと同時に彼女の身体が砕け散り、俺の目の前にメッセージが表示される。
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・ワールドニュース! 異世界からの襲撃者『修羅道のキリカ』を倒しました!
ユーリさんは特殊イベント限定アイテム『修羅の赤布』を獲得しました!
※一定期間中、異世界からの襲撃者たちはハイレベルプレイヤーを襲い続けます。
今後もご注意ください。
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「よーし、なんか知らないけど見たことないアイテムゲットだぜ!」
「むッ、マジでござるか!? 拙者にはないのだが!?」
「倒したやつ限定なんじゃね? つーか知り合いの女が目の前で死んだのに、第一声がそれなのかよ」
まぁ死んだっつってもゲームだから別にいいんだが、もう少し別の言葉とかなかったのかよ。
なんかキリカのやつ、お前のことを追ってこのゲームに来たっぽいのに。
「アイツとは飽きるほど殺し合ったから別にどうでもいいでござる! それよりもユーリよッ、限定アイテムを賭けてバトルだ!」
「うわぁ~亡者度たけー」
そうして俺が、「やっぱ本場の亡者は違うわー」と呆れ半分に呟いた……その時。
「――あらあら。キリカさんってば、どうしようもない人に惚れちゃってるみたいね」
クスクスと笑う少女の声が、夜桜の下に響き渡った。
俺とザンソードがハッと声のしたほうを見ると、そこには小柄な肢体をゴシックドレスに包んだ銀髪の少女が。
「な、なんだお前……」
どことなくグリムに近い恰好をしているが、あの子と違って女性らしい部分はツンと出ており、さらに腰からは悪魔のような翼が生えていて……!
「悪魔の羽って、そんなアバター作れたっけ――って、まさか!?」
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・ワールドニュース!
ユーリさんとザンソードさんが、『逆鱗の女王アリス』と遭遇しました!
これより、刺客プレイヤーとの公開決戦を開始します――!
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「っ、やっぱり別ゲームからの襲撃者かッ!」
「えぇご明察。――私の名はアリス。騎士と魔人が殺し合う世界『ダークネスソウル・オンライン』のトッププレイヤーよ。そして……」
アリスと名乗った少女は、片手に赤い本を出現させる。
さらに片手をこちらに向けると――、
「そして、アナタたちをこれから抹殺する者よ。
さぁ消えなさい、暗黒呪文『ダークネス・ブレイカー』666連発動──!」
「は――?」
声を上げた時には、もう遅かった。
空間を埋め尽くす暗黒の破壊光により、俺とザンソードの目の前が闇に覆いつくされたのだった――!