76:みんな仲良し、ブレイドスキル・オンライン!!!!!
『――皆様お疲れさまでしたーーー! ギルドバトルイベント、第一回戦はこれにて終了でーーーすッ!』
イベント進行係を務めるチビ妖精・ナビィの声が響き渡る。
スキンヘッドやザンソードを倒してから数分後、俺は『始まりの街』へと帰還していた。
もちろん仲間のグリムやシルも一緒だ。こいつらの活躍も映像として配信されていたようで、見物客たちから「グリムちゃんカッコよかったぞーッ!」「シルの姐さん、舎弟にしてくださいッ!」とチヤホヤされてドヤ顔していた。調子のいいヤツらめ~。
もちろん俺も多くのプレイヤーに褒められたり撫でられたりしてドヤ顔していると、ふよふよと浮いているナビィが大声を出した。
『ちょっと皆様聞いてくださーいっ! えーそれでは最後に、もっとも長く生き残ったギルド・トップ3の順位と獲得ポイント数の発表をしますよ~! ずばり、こんな感じでーす!』
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
1位:『ギルド・オブ・ユーリ』 壊滅までの時間:――(最終勝利者) 総獲得ポイント数:10万3282
2位:『生産職革命軍』 壊滅までの時間:イベント開始より48分 総獲得ポイント数:1万285
3位:『みんなで殺そう! 初心者部隊!』 壊滅までの時間:イベント開始より45分 総獲得ポイント数:8756
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
「――うわぁ。魔王ユーリさんとこのギルド、ポイント数やばすぎだろ……」
「てか二位と三位マジかよ~……!」
「オレ今日から生産職になるわ!」
空中に表示された大会結果にプレイヤーたちからどよめきが走った。
それもそうだろう。イベントの様子を見ていたとはいえ、まさか生産職の軍団と初心者軍団がトップ3に入るだなんて誰も予想してなかっただろうから。
いやー、最後は楽しかったなぁ。ザンソードの手中にあったギルドを全部壊滅させたあとは、『ギルド・オブ・ユーリ』三人揃って『生産職革命軍』+『みんなで殺そう! 初心者部隊!』と正面からの大決戦だ。あれはみんな盛り上がったな。
「よ~し、残り第二試合から第五試合まで全部出て一位を狙ってやるか……!」
そうして俺がやる気を燃やしていた時だった。
広場の中央に一瞬光が走ると、なぜかいつの間にか来ていた王様のジジイが姿を現したのだ。
あの王様……もとい運営の人間、イベント進行を投げ出してどこ行ってたんだよ? よく見たら冷や汗をかいているような気がするが……?
俺と同じく多くのプレイヤーが注目する中、ジジイは気まずげに口を開いた。
『しょ、諸君ッ! まことに見事な戦いぶりじゃったぞい! 運営として……じゃなくて王様として、イベントが盛り上がって嬉しい限りじゃッ!
あー……ただのぉ。実は一部のプレイヤーが倒した相手からアイテムを奪う取得難易度最難関のスキルに目覚めてじゃな……それがイベント終了後になくなったアイテムが戻る仕様と相まって、数の限られたアイテムが増え……あ、いや、その、バグとかじゃなくて、あの……!』
なにやらゴニョゴニョと呻く運営のジジイ。もしかしたらイベント中に何か問題が起きたのだろうか?
そしてそれを対処するなり協議するなりするために一度ログアウトしていたと。なるほどな~。
……ピンポイントで滅茶苦茶に弱体化させられたり勝手に写真集を出されたことで運営を毛嫌いしている俺だが、いい加減に少しくらいは認めてやってもいいかもしれないな。
努力している相手には敬意を表する。それが立派な男ってもんだ。
よし、ちょうどいい機会だし俺の思いをぶつけてやろう!
『あ~まぁ色々と事情があって申し訳ないが、まぁぶっちゃけるとユーリ殿には第二戦に出るのを禁止に――』
「運営ッッッ! いつも楽しいゲームを提供してくれてありがとうなーーーーーーーッ!」
何か言おうとしていた運営に向かい、俺は全力で感謝の想いを告げたッ!
それに『えッ!?』と驚き固まる運営。そこにすかさずありがとうの気持ちを投げつけまくる――!
「色々不満もあったりするけど、俺はこの『ブレイドスキル・オンライン』が大好きだ! このゲームを始めてから俺はたくさんの仲間たちと出会うことが出来たッ!
それもこれも運営のおかげだ。俺に居場所を与えてくれてありがとう、運営っ!!!」
『えちょっ、ユーリ殿ッ!? いや、あの、今そんなこと言われるとすごく困ると言うかッ!?』
照れているのかワタワタと焦る運営。そんな彼に対し、いつの間にか俺の側に立っていたスキンヘッドが大声で叫ぶ。
「ガハハハッ! オレ様からも礼を言うぜ運営っ! オメェのおかげでオレ様は最高の相手と巡り会うことが出来た! これからもユーリと一緒に騒げる舞台を用意してくれやー!」
『ス、スキンヘッドさんッ!?』
俺の肩を抱き寄せるスキンヘッド。そんな彼に続き、始まりの街に集まった何万人ものプレイヤーたちが感謝の大合唱を謳い上げる――!
「いつもありがとうございます運営さんっ! 魔王ユーリにリベンジしたいんで引き続きイベント頑張ってください!」
「『生産職弱すぎだろ、運営バランス考えてなくね?』って思っててごめんなさい! 実はちゃんと戦えるように作ってあったんですね! 流石は運営様、かしこい!」
「とてもクォリティの高いゲームなのにバグが全然なくてすごいですね! 運営さん尊敬しちゃいます! ユーリさんのギルドに挑んでみたくなったので次はボクも参戦します!」
ワーワーと騒ぐプレイヤーたち。彼らの温かな声に包まれ、感極まったのか運営は泣き始めてしまった。
彼はグズグズと目元をこすりながら『ぐごごごッ、まさかこんなことになるなんて……!』と呟くのだった。フフフフ、みんなからいきなり感謝されちゃうなんてそりゃ予想外だよね。よかったね~!
俺はプレイヤーたちをかき分けて広場の中央に出ると、顔を真っ赤にした運営の手を無理やり握ってニッコリ微笑む。
「さぁ運営っ、第二試合から第五試合までバグがないようしっかりサポートしてくれよな!
俺、頑張って暴れまくるからッ! みんなも俺と戦うことを期待しまくってるみたいだし、意地でも全部のギルドバトルに出て暴れまくるから!!!」
『ひっ、ひいぃいいッ!? わ、わかった、もうわかったからぁーーーーーッ!』
感動がピークに達したのか、ついに膝をついてしまう運営。
――こうして運営と仲良くなった俺は、最高にすっきりした気分で全試合暴れまくるのだった! やったぜー!
・みんな仲良し、ブレイドスキル・オンライン――!(※なお運営は泣く模様)
『更新早くしろ』『ホント更新早くしろ』『止まるじゃねぇぞ』『毎秒更新しろ』
と思って頂けた方は、最後に『ブックマーク登録』をして、このページの下にある評価欄から評価ポイントを入れて頂けると、「出版社からの待遇」が上がります! 特に、まだ評価ポイントを入れていない方は、よろしくお願い致します!!!
↓みんなの元気を分けてくれ!!!