62:戦場ヶ原に血潮の嵐! 開幕、ギルド大戦ッ!
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ついにイベント『ギルド大戦』の日がやってきた!
開始時間となる朝十時の少し前にログインすると、始まりの街はプレイヤーたちでごった返していた。
誰もがステータス画面を開いたりして戦いに備えている。
「よし、俺も自分の状態をチェックしておこうかな」
ステータスオープンっと!
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名前:ユーリ
レベル:56
ジョブ:ハイサモナー
セカンドジョブ:クラフトメイカー
使用武器:弓
ステータス
筋力:0 防御:0 魔力:0 敏捷:0 幸運650×3×2+65+900=『4865』
スキル
【幸運強化】【執念】【致命の一撃】【真っ向勝負】【ジェノサイドキリング】【非情なる死神】
【アブソリュートゼロ】【ちゃんと使ってッ!】【逆境の覇者:HP1のため発動状態。全ステータス二倍】【神殺しの拳】【魔弾の射手】【魔王の波動】【魔王の眷属】【魔王の肉体】【悪の王者】【武装結界:限定スキル】【魔の統率者:限定スキル】【異常者】
ジョブスキル
【調教】【キマイラ作成】【召喚】【禁断召喚】【巨大モンスター召喚】【生産】【運搬】【転送】
装備
・頭装備『呪われし死神姫の髪飾り』(作成者:フランソワーズ 改変者:グリム)
装備条件:プレイヤーの筋力値・魔力値・防御値・敏捷値全て半減 MP+100 幸運+300
・体装備『呪われし死神姫のドレス』(作成者:フランソワーズ 改変者:グリム)
装備条件:プレイヤーの筋力値・魔力値・防御値・敏捷値全て半減 MP+100 幸運+300
・足装備『呪われし死神姫のブーツ』(作成者:フランソワーズ 改変者:グリム)
装備条件:プレイヤーの筋力値・魔力値・防御値・敏捷値全て半減 MP+100 幸運+300 マーくん憑依状態
・武器:『初心者の弓』 装備条件なし 威力1
・装飾品:『呪われし姫君の指輪』(HPを1にする代わり、極低確率でスキル再発動時間ゼロに) 『邪神契約のネックレス』(HP1の時、幸運値三倍) 『耐毒の指輪』(低確率で毒を無効化)
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う~ん、相変わらず美しいまでの幸運値特化だ。ただひたすらにこれだけを伸ばしまくってきたからな。
他のプレイヤーは攻撃に敏捷に防御にと振り分けなければいけないため、同レベル帯の連中だろうが一番高いステータスでも800くらいがやっとだという。
極限まで伸びた幸運値に俺がニヤついていた時だ。同じくステータス画面を見ながら歩いていたらしいプレイヤーの身体が後ろから当たり、思わずよろついてしまった。
しかし、ガッシリとした男らしい胸板が俺のことを抱き留めてくれた。
「おぉっと!? おいおいお嬢さん、いきなり抱き付いてくるたぁ情熱的じゃねーか……! オレ様でよければこの後シッポリ……って、あれ……前にもこんなことがあったような……?」
頭上から聞こえてくる聞き慣れた声。
俺も既視感を味わいつつ、男の顔を見上げると……、
「「って、やっぱりお前かよッ!」」
そこにいたのはまたしてもスキンヘッドの野郎だった。これでコイツにナンパされるのは四回目だ。
俺たちは抱き合ったまま、はぁ~~~と揃って溜め息を吐いたのだった。
◆ ◇ ◆
露店で買った肉まんとピザまんを二人で半分こし合いながら、俺とスキンヘッドは適当にダベる。
「実はよぉユーリ、最近リアルで一目惚れした相手がいるんだよ。不本意なことにオメェとよく似た美少女でよぉ……!
そう、あれは教師として文化祭を見回っていた時のこと……今日のオメェと同じように、あの子はいきなり倒れ込んできてなぁ……」
「いやいや、教師だったら少女に惚れたらアウトだろ」
「うるせぇやいっ! オレ様好みドストライクの見た目してたんだからしょうがねぇだろ!
ただすぐに逃げちゃったあたり、きっと恥ずかしがり屋さんなんだろうなぁ。オレ様的にはオメェみたいに、カラっとしてて言いたいことを言い合える性格のほうが好みなんだけどよぉ」
「贅沢言うなっての。見た目も性格もストライクな相手なんて早々いないだろ。そういうのを『運命の相手』って言うんだよ」
「だよなぁ~。どっかいねぇかなぁ、運命の相手」
抜けた会話をしながらイベント開始の時を待つ。
戦いが始まったら殺し合う相手だが、今から敵意を燃やしていても疲れるだけだろう。
――互いの全部をぶつけ合うのは戦場に立ってからだ。
俺とコイツは口に出さずとも、不思議とその思いを共有していた。
「……楽しみだな、ユーリ」
「ああ、お前にだけは負けないからな」
ごった返していく広場の隅で、宿敵と共に笑い合う。
そうして静かに闘志を高めていた時だった。不意にパンパカパーンッという軽快な音が街中に響き、何色もの紙吹雪が空から舞い降りてきた。
おっと、この演出はイベント開始の合図だな。となると出てくるのは……、
『――戦士たちよ! 今回もよくぞ集まってくれたッ!』
遥かな空から声が響く。するとやはりと言うべきか、始まりの街の上空に、王冠を被った爺さんの映像が映し出された。
出たなオーディン! 邪悪なる運営の操作キャラめーーーッ!
『……何やらものすごい敵意を感じるが、まぁよい。
改めて名乗っておこう。ワシの名はオーディン、このグラズヘイム王国の支配者である!
さて、本日諸君らに集まってもらったのは他でもない。世界中にモンスターを出現させた闇の支配者・魔王との決戦に備えて、諸君らのギルドとしての戦いぶりを見せて欲しいのじゃ。
ゆえにこれより――全ギルド参加可能イベント、「ギルド大戦」を開催するッ!』
その瞬間、ワァーーーーーーーーッという声が始まりの街に響き渡った!
以前にも増してさらに熱狂的な盛り上がりっぷりだ。あれからプレイヤー人口は増加し続け、先日ついに二十万人を突破したって言うからな。今やブレイドスキル・オンラインは業界で一番ホットなゲームになりつつあるらしい。
『フォッフォッフォ、説明を続けるぞ。
戦士たちの中には用事がある者もいるからのぉ。今から深夜零時にかけて、今回も一時間の休憩を挟みながら五回に分けてギルド大戦を開かせてもらう。
朝十時から昼十二時までを第一回。昼一時から昼三時までを第二回。昼四時から夕方六時までを第三回。夜七時から夜九時までを第四回で、最後に夜十時から深夜零時までを第五回という感じでな。
詳しい説明はこんな感じじゃ~い』
クソ運営の着ぐるみがそう言うと、目の前に詳しいルールが書かれた画面が表示された。
なになに~?
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・これより五回に分けてギルド大戦を開催いたします!
舞台となるのは障害物のない平原です。そこにギルドの拠点がランダムに転移されていきます。
参加ギルドには運営より『イベント用回復ポーション』を2000本配らせていただきます。使用すれば全状態異常が消える上にHPかMPのどちらかをマックスまで回復できる優れモノですが、それ以外の回復アイテムは使用禁止にさせていただきます。メンバーの多いギルドほど一人頭のポーション数が減ってしまいますが、パワーバランス調整のためです。ご了承ください。
勝利条件はただ一つ。全てのギルド拠点を破壊し、最後まで生き残ることです。
特殊フィールド転移後、ギルド拠点の中心部には『ギルドコア』という球体が出現します。
敵の拠点内に侵入し、それを破壊してください。そうすればギルド拠点は崩壊し、そのギルドのメンバー全員は退場となります。
以前のバトルロイヤルと違い、ギルド拠点さえ残っていれば死亡しても三十分後には復活できます。
特殊フィールド内での「拠点の崩壊、使い魔の死亡、装備・アイテムの損傷および損失」などはイベント終了後にはなかったことになりますので、みなさまどんどん参加してください!
敵を一人倒せば、倒したプレイヤーにイベントポイント+1。
そしてギルドコアを破壊すれば、破壊したプレイヤーのギルドにイベントポイント+1000を贈呈します!
※ギルド大戦の映像は宣伝として動画サイトでも流す予定です。虐殺祭りにならないよう、みんな頑張ってください!(運営より)
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「……なるほどなるほど。要するに暴れまくればいいってことか」
だいたいルールは把握した。色々書いてあるが、つまりは敵をぶっ倒しまくって、ギルドをぶっ壊せばいいってことだ。以前とやることは変わらないな。
あとは敵の数だが……はてさてどれくらいになるんだろうか。俺は肘でスキンヘッドの脇腹をつつく。
「で、最終的にどれだけの人数を集めたんだ? 一体何人で俺を襲うつもりだよ?」
「ヘッ、聞いて驚けよ。――六万人だ。八十のギルドに分かれた六万人のプレイヤーと一緒に、オメェをグチャグチャにしてやるよ。もちろんトドメを刺すのはオレ様だがな」
「はははっ、六万人か! そりゃあいいなー!」
信じられないほどの数を相手に出来ることに、胸がドクドクと高鳴っていく。
以前のバトルロイヤルの約二倍だ。しかもどいつもこいつも最初から俺のことを警戒しているため、ギガ太郎によるレーザーぶっぱにも冷静に対応してくるはずだ。
「ユーリ、オメェのために寝る間も惜しんで整えてやった舞台だ。あっけなく逝っちまうんじゃねぇぞ?」
「馬鹿を言え、勝つのは俺たち『ギルド・オブ・ユーリ』だ」
「えっ、何そのギルド名……直訳したら『ユーリのギルド』じゃん。そのまんまじゃん。オメェ本当にネーミングセンス終わってんな」
「わかりやすくていいだろうが! で、そういうお前のギルド名は何なんだよ? スキンヘッドこと『ラインハルト・フォン・エーデルフェルト様』よぉ?」
「オレ様のはカッコいいぜェ!? 『幻影埋葬十三騎士団 ―グランド・バタリオン―』だ!」
「うっわぁぁぁぁ……お前、お前……ッ!?」
友達のアレすぎるセンスに倒れそうになってしまう……!
プレイヤーネームから予想してたが、まさかここまで痛々しいギルド名が飛び出してくるなんて思わなかった。
「中学生並みのセンスしてんな……!」
「うるせェ小学生並みッ!」
スキンヘッドと騒ぎつつ、『ギルド大戦・第一回目に参加しますか?』と表示された画面を速攻で叩く。もちろん答えはイエスだ。
その瞬間、俺たちの身体は蒼い光に包まれ始める。
周囲にいた多くの者たちも参加を決めていく中、オーディンが最後に大声で叫んだ。
『さぁ戦士たちよ! 仲間と共に力を合わせ、全力で戦いを楽しんでくるがよいッ!』
運営め、そんなこと言われるまでもないわ!
憎き相手の言葉を耳にしながら、俺の視界は光に飲み込まれていった。
『面白い』『更新早くしろ』『止まるんじゃねぇぞ』『死んでもエタるな』『短いぞ毎秒更新しろ!』
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