60:ファンイベント開催! 殴り合いにいける魔王系アイドル、ユーリちゃん!
・前回、『幸運値高いならデメリットで爆発する確率は減るんじゃ?』というご質問がいくつかありました。お答えします。
効果には特に『メリット・デメリット』という区分はないです。
そこらへんはサモナーを不遇職扱いのようにプレイヤーが独自に決めることで、ユーリのように気合でサモナーで最強目指したり爆発を攻撃に利用することも出来ますので。
幸運値の効果はあくまで、『アイテムドロップ率・クリティカル率・自分の装備やスキルの効果発動率』を上げるくらいです。どんな効果の装備品であれ、幸運値を高めれば発動するようになります。
あと58話、59話の先輩クラフトメイカーさんたちの口調を変えたでござるぞ……!(3/9の夜11時)
ギルド大戦の開始まであと一日。俺は『始まりの街』にある訓練場の前に来ていた。
これまで何度か利用してきた、街の中でも戦闘が行える場所だ。建物の中へと進んでいきながら俺は首をゴキゴキと鳴らした。
「あ~、昨日は大変だったなぁ……流石に100本以上も武器をいじるのは辛かった……」
効果『大爆発』を付与しまくる作業は想像以上に骨が折れた。
当然ながら何本かはタイミングをミスって失敗するし、どんどん集中力もなくなっていくしな。
ぶっちゃけ一日経った今でも精神的な疲れが残ってるくらいだが……成果はあった。
「爆破系武器100本、完成したな。これで明日のイベントでは暴れられそうだ」
ついでにクラフト作業しまくったことでレベルも上がったし万々歳だ。高級な武器や素材を扱うほど、獲得できる経験値も多くなるシステムみたいだからな。
ちなみに俺が持ち歩いている剣や槍は130本くらいなので、あと30本は爆破効果を付与していない物がある。
だがこちらには『大爆発』は搭載しないでおこうと思っていた。
「いざという時にゼロ距離でも使える武器を残しておかないとなぁ。爆破武器は威力は凄いけど、俺まで巻き込んじまうし」
有象無象はぶっ飛ばせるようになったが、スキンヘッドやザンソードのような接近戦に強い宿敵たちにも備えなければ。
絨毯爆撃で始末できればそれで良しだが、アイツらのことだから死に物狂いで突破してきそうだしなぁ。
まぁいざとなったら【執念】による食いしばりが発動するのを願って自分ごと吹っ飛ばす手もあるが、それは最終手段だろう。
だから今日行うのは、対人戦における近接戦闘の訓練だ。
爆破武器をあえて使わず、どれだけ接近戦をやれるか。そのテストをしたいと思う。
ゆえに、
「――お前たち、よく集まってくれたな!」
円形状のコロッセウムに入ると、何百人ものプレイヤーたちがワーッと声を上げて俺を見た。
誰もが飾り気のない地味な装備を纏っているが、やる気は十分って感じだな。
そう、今回は闘技場を貸し切ってちょっとしたプチイベントを開かせてもらった。
その名も『初心者限定! 勇者ユーリと戦おうぜ大会!』だ。
ルールは簡単で、俺に一撃当てられたら勝利。逆に俺は十発相手に攻撃を当てられたら勝ちって感じだな。ちなみに武器も【武装結界】のスキルも使わないつもりだ。徒手空拳でどこまで戦えるかテストするつもりで開いたからな。
あ、もちろん俺に勝ったヤツには気前よく賞金1000万ゴールドをプレゼントだ~!
「おぉぉおおおおっ、ユーリさんだ! ナマ魔王だー! バトルロイヤルのときのPV見てこのゲーム始めましたー! もちろん魔王様リスペクトで極振りですよ!」
「出たな魔王めっ、貴様を倒すためにオレも極振りにしてきたぞー!」
「魔王様ーっ! 勝ったら四天王にしてください!」
元気に声を上げる初心者プレイヤーたち。楽しそうで何よりだが、誰も俺のことを『勇者』と呼んでくれないのは気のせいだろうか? ぐぬぬぬ……!
まぁそこらへんはクソ運営のせいにしておくとして――聞けばコイツら、ギルド大戦を前にかなり暇をしていたらしい。
何しろ次のイベントはギルドごとにポイントを分配する仕組みだからな。ほとんどのギルドはゲームをはじめて二日か三日の戦力外プレイヤーを入れて、無駄にメンバーを増やしたくはなかったようだ。
ポイントをあげないっていうのも気まずくなるわけだしなぁ。ゆえに、多くの者たちがどこのギルドにも属せずこうしてあぶれてしまったんだとか。
ふっふーん、だったら俺が訓練ついでに楽しませてやろうって話だ!
というわけで街を歩いている初心者っぽい奴らに声をかけまくった結果、俺のことを知っているヤツから知らないヤツまで大勢集まってきて、いつの間にやら参加者は千人近くまで膨れ上がってしまったのだった。
俺は拳を構えると、ウズウズしている彼らへと言い放つ。
「さぁ、誰でもいいからかかってこい! もちろん仲間と協力し合うのもありだ! 思う存分戦おうぜ、お前らーーーーッ!」
「「「ウォオオオオオオオオオオーーーーーーーーーッ!」」」
俺の言葉に雄叫びを上げる初心者たち。こうしてギルド大戦を前に、俺は熱いバトルを楽しんだのだった。
・まーた考えなしにファンを大量に増やしやがってよォ……!
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