52:決戦、クトゥルフ・レプリカ!
エロい子のシル子をいじった後に向かった場所は、ザンソードとやり合ったハイレベルダンジョン『邪神教の洞窟』だった。
実はあの後、ボスモンスターのいるだろう扉の前にまで行ったんだけど開かなかったんだよなぁ。
たしか扉にはこう書いてあった。
『邪神様の脅威を世界に広めるべく、我らは邪神様の姿を模した生物兵器を造り上げた。地脈に寄生し全てを喰らう、絶対無敵の存在だ。
しかし奴は暴走し、邪神教は瞬く間に崩壊。我らは最後の力を振り絞り、この地に奴を封印した。
憎き暴走兵器だが、壊すにはあまりにも惜しい存在である。あれは邪神教の技術の結晶だ。
ゆえに奴を屈服させられる力を持つ者と、奴の身体より我らが技術を体得できる者にのみ、この扉を開けることを許してやろう』――と。
……ようは兵器を暴走させて死にかけただけのバカのくせに、文面が仰々しい上に初対面の俺に対して「許してやろう」とか上から目線で言ってるところがムカツクから扉に攻撃しまくったが開かなかった。残念。
まぁ文字通り封印がかけられているという設定なのだろう。
イベント直前で謎解きなんてしてる時間もなかったので撤退することにしたが、セカンドジョブを獲得したことで思いついた。
もしかして扉に書いてあった『奴を屈服させられる力を持つ者と、奴の身体より我らが技術を体得できる者』っていうのは、【調教】のジョブスキルを持つ『サモナー』と技術職の『クラフトメイカー』のことなんじゃないかと。
「ゲームじゃよくある縛り条件ってやつだよなぁ。この先に行くには、このジョブを持ったヤツを絶対にパーティーに入れておかないといけませんって」
再び扉の前に立ちながら呟いた。
俺の予想が正しければ、サモナーとクラフトメイカーのいるパーティーだったら扉は開くはずだ。
まぁ俺が一人で二つを持っちゃってるから、ちゃんと別々じゃないとダメですって言われたらそれまでなんだがな。
「さてどうなるかっと」
巨大な扉にそっと触れる。するとポーンッという音を立て、
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・条件達成:サモナー系ジョブとクラフトメイカー系ジョブの存在を確認。
これより地脈憑依型巨大ボスモンスター、『禁断邪竜クトゥルフ・レプリカ』の封印を解除します。
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というメッセージが表示された。
そして開かれる封印の扉。その奥からは果実の腐敗したような狂った臭いが押し寄せてきて、俺の全身を包み混んでいく。
空気でわかる……間違いなくこれまでで最強クラスの相手だ。だがだからこそ燃えるってもんだろう!
「よし……やってやるかぁッ!」
俺は弓を握り締め、扉の奥へと飛び込んでいった。
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