51:エロ姫誕生、シル子ちゃん!
「なっ、何なのよこれー!?」
セカンドジョブのテストも終えたことだし、シルの装備はどうなってるかな~とグリムの屋敷に訪問した時だ。
豪奢な居間にてシルのやつが騒いでいた。その恰好は……おぉ、絶妙に恥ずかしいことになってるなー!
元々小柄でスマートな身体に姫騎士みたいな衣装の彼女だが、いまや布面積が盛大に減っていた。
そう、なんというかラノベの姫騎士からエロゲの姫騎士になった感じだな!
しかもデザインにちょっとしたダーク感まであるせいか、まるで『囚われて脱がされた後、「裸が嫌ならこれを着ろ」と卑劣なダークエルフから贈られたドレス』って感じだ。
そんな経緯まで連想させるなんて、流石は天才エロ職人のグリムだぜ! まだいやらしいゲームなんて知らない年齢だろうに、歪んだ才能に溢れすぎている……! 本当にとんでもない逸材を発掘してしまったもんだ。
俺は「おぉ魔王殿、今この女に装備を渡したところだ! では私はNPCたちの装備も調整しに行って来るぞー!」と飛び出していくグリム先生に、グッと親指を立てたのだった。流石はエロ装備先生、グッジョブです!
さてさて、モデルのほうも褒めないとな。
「よぉシル、新しいドレスも似合ってるぞ」
「ッ、アンタの指示ね!? こんな恰好をさせてアタシをどうするつもり!?」
顔を赤くして気の強そうな目を光らせるシル。
……なんというか、コイツの言動もエロゲの姫騎士みたいに感じられるようになったな。やっぱり衣装の効果ってすごいんだなぁ。
「いやすまん。俺もこんな姿になっちまったから、お前も同じく染めてやろうかなぁと」
「って闇堕ちしたヒロインみたいな見た目で闇堕ちしたヒロインみたいなこと言ってんじゃないわよッ!?
はぁ~……まぁ性能は良いからいいんだけどさぁ。それに……恥ずかしくはあるけど、その、エロ可愛いって言うか……!」
そう言って頬を赤らめつつも、シルはちらちらと自分の衣装を見下ろしたのだった。
うん、気に入ってくれると思ってたわ。俺は知ってるぞ、お前が一人で俺の写真集(しかもドラゴンプラントの触手に縛られてるシーン)を見ながら、「うわぁうわぁ……!」と興奮の声を漏らしていたことを。
ギルドマスターの権限で、他のギルドメンバーが何をしているか見れる力を試してみたら、そんな場面に出くわしちまったんだからビックリだ。
俺は仲間へと優しく微笑む。
「シル……たとえお前がエロい子でも、俺は全然オッケーだからな!」
「ななななっ!? な、何言ってるのよアンタは! アッ、アタシがエロい子なわけないじゃないバカァーッ!」
焦った声色でまくしたてながら、「レ、レベル上げに行ってくるわっ!」と逃げるように飛び出していくシル子なのであった。
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