41:悪夢の国誕生!
※ヘルヘイムの大きさはだいたいデズニ〜くらいです。
「わっはっはっはっ! 稼ぎが美味くてメシも美味いなぁ!」
「うふふふふふっ、アタシもチャンネル登録数上がりまくりよ~! 収益化で広告料ウマウマだわ!」
ヘルヘイムの街を奪い取ってから一日。俺とシルは街の中の定食屋にて、カツ丼をモギュモギュ食べながら互いの戦果を喜びあっていった。
俺は教皇グレゴリオンが貯蔵していた大金でリアルマネーをゲットし、シルはこっそり撮っていた脱獄劇の動画で知名度アップってな。なんでもチャンネル登録数が一定数を超えたことで、動画の再生回数によってお金が手に入るようになったとか。俺もやってみようかな、動画投稿。
ほっぺたにご飯粒を付けながらシルが訊ねてくる。
「にしても魔王様、運営からもう少し搾り取れたんじゃないの? システムの穴も大量に見つけてやったわけだしさー」
「いや、ぶっちゃけあの運営のことだし金もロクにない状態でスタートしてそうだからほどほどがいいさ。それにヘルヘイムの街で循環している金を減らし過ぎると、後々困ったことになりそうだしなぁ」
「あぁそうねぇ。ここって現状の最難関エリアにある街なんだから、今のところプレイヤーたちもやってこないしね。客が金を落とすようになるまでは我慢したほうがいっか」
シルの言葉に俺は頷く。
土地の権利と合わせてそこに立っている店の所有権もゲットしたことで、俺のメニューウィンドウには『所有店舗の確認』という項目が追加された。
服職人のフランソワーズが店を持っていたみたいに、元々経営機能はあったみたいだからな。俺の場合は一気に何百店舗もゲットしたわけだが。
その機能を使って店の売り上げや支出などを見てみると、A店が儲かったらB店で材料や雑貨を仕入れ、B店が儲かったらC店で材料や雑貨を仕入れ……という感じで、気持ち悪いくらい順当に金が循環していた。
オーナーとなったプレイヤーが口出ししない限りは、店員NPCを通して、裏でシステムがバランスよく経営をしてくれることになってるんだろう。ゲーム内でガチ経営なんてプレイヤーの負担が大きすぎるしな。ログイン時間も限られてるんだし。
「まっ、経営はシステム様とNPCたちに任せるさ。俺はとにかく五日後のバトルイベントに備えないとな~」
「たしかにね。魔王様がこんなにおっきいギルド拠点を手に入れたことで、掲示板なんかじゃ『ギルド同士で手を組んで、まずはユーリのところを集中攻撃しよう!』って意見が流れてるわよ。ただでさえ前回のバトルイベントで大暴れしたわけだしね~」
「ああ、そういえばお前って前回のバトルイベントじゃ何してたんだ? 俺が出場した第一回目には出てなかったのか?」
「っ、出てたわよこの外道プレイヤー! あのギガンティック・ドラゴンプラントのレーザーで焼き払われたのようっ!」
涙目になりながらプンプンと怒るシル子さん。あ~あの時死んだのか。
「そりゃあ、まぁ……うん、ドンマイッ!」
「キッーむかつくーっ!? フンッ、こうなったら次のイベントではアンタの出番がないくらいに活躍しまくってやるんだからね! レベル上げに行ってくるわっ!」
赤い大剣を手にしながら店から飛び出していくシル。やる気いっぱいなようで何よりだ。
よーし、俺も戦う準備をするか。まずはギルドの状態のチェックだな。
メニュー画面を開き、そこに新たに追加された『ギルドの管理』という項目をタップする。
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ギルド名:『ギルド・オブ・ユーリ』
所属プレイヤー:2名
ギルドマスター:ユーリ サブマスター:シル
土地の大きさ:51万平方メートル
配備された戦闘用NPCの数:645体
配備された調教済みモンスターの数:825体
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色々と出てきた項目のうち、『配備された調教済みモンスターの数』というのを見てニンマリと笑う。
ギルド拠点の中では、たとえ街中に建てたギルドだろうが侵入者に対してダメージを与えられるなどの特殊システムが適用されるのだが、なんと9999体までモンスターを配置できるという機能があったのだ。
しかも拠点内部では、協力状態のNPCやモンスターが死んでも、一日経てば復活するという機能まであった。何かと不遇だったサモナーが、ここではじめて優遇されたな。
というわけで今やヘルヘイムの街には、NPCたちの使い魔と合わせて825体ものモンスターたちが歩いている。
ごくごく普通の一軒家をギルドホームとしていたら、こんなことは無理だったろうな~。
「よーしやることは決まったな。戦いまくりながらモンスター集めだ! それにまたスキンヘッドの野郎とも殴り合いたいし、スキル【執念】が弱体化した問題をなんとかしないとな〜!」
あとは装備の更新もそろそろしたいし、ギルドメンバーも集めたいし、シルに教わって動画配信もしてみたいな〜。
やることがいっぱいでワクワクするな。俺はガクガク震えている店員NPCに金を払い、さっそく街から飛び出していった。
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