21:作って遊ぼう、禁断生物!
※モンスターと殴り合ってばっかであまり他のプレイヤーと絡まないため指摘されませんが、ユーリくんの命名センスはゴミです。
「さーて、今日はポン太郎の種族進化ってやつをするぞ~」
『キシャシャ~!』
ゲーム開始から四日目。俺は服職人・フランソワーズのプライベートルームにお邪魔し、メニュー画面をいじっていた。
ちなみに服装は初期装備のワンピースドレスだ。フランソワーズからもらったゴシックアイドルドレス(?)はギガンティック・ドラゴンプラントの熱光線のせいで耐久値がやばいことになってたからな。今は修復してもらってるところだ。
……レベル10以上格上のボスとソロでバトルして一日で耐久値を削り切っちゃったって言ったら、フランソワーズ死んだ目をしてたなぁ。「な、なんでそんな相手に挑んでますの……しかも勝つとかおかしいでしょ……異常者プレイすぎる……!」って呟かれたのは空耳だったと思いたい。俺は常識人だ。
「おっ、あったあった。このボタンを押せばいいのかなっと」
ポン太郎のステータス画面にあった『進化』という項目を押す。すると新たに別の画面が表示されてきた。
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・ポン太郎(リビング・ウェポン)を進化させます。進化先を選択してください。
1:『リビング・デッド』
闇のオーラを纏った骸骨。自身の生を願ったリビング・ウェポンが実体を得て生物に近づいた姿。
武器憑依能力を失ったが、通常のゾンビなどより攻撃力が高い。
HP再生速度もかなり高く、死亡しづらい。
2:『シャドウ・ウェポン』
闇のオーラを増大させた霊魂。敵への死を願ったリビング・ウェポンが死神に近づいた姿。
武器憑依能力をそのままに、ステータスの低い分身を一時的に作り出す能力を会得した。
HPは武器の耐久値に依存し、損壊時に死亡する。
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なるほどなるほど、二つの内から選んでいく方式か。
でもこれは迷う必要なさそうだなぁ。『リビング・デッド』の説明文には攻撃力や再生力が高いってあるけど、耐久値無限の『初心者の矢』に憑依して俺のダメージアップ系スキルを受けながら攻撃してたほうが絶対にいいし。
「試しに聞くけどポン太郎、お前どっちに進化したい?」
『キシャ~!』
迷うことなく鏃の先で『シャドウ・ウェポン』のほうをクリックするポン太郎。
するとその身体が一瞬輝き、次の瞬間には燃えるような漆黒の光をより強大にさせた姿になっていた。
「よーしよし、やっぱりそっちだよなーポン太郎ッ! 霊魂に生まれたなら死神を目指せッ! 男だったら一つの道を貫いていかないとな!」
『キシャー! キシャシャーッ!』
“へっ、当然でさぁ姉貴! 今さらゾンビもどきになるつもりなんてねぇ。オレぁ姉貴とタイマンきってノされたあの日から、姉貴の武器としてテッペン目指していくつもりなんで夜露死苦ゥッ!”って感じの鳴き声を出すポン太郎ダブルツインマークツーセカンド(進化記念に改名。ナイスセンス俺)。本当に可愛い舎弟だぜ。
さてと、ポン太郎(以下省略)の次は俺のほうも進化してみますか!
ステータス画面を再び開き、『ジョブ進化』という項目を押してみる。すると、
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・サモナーからジョブ進化します。進化先を選択してください。
1:ハイサモナー
サモナーの正統上位職。アーツ『サモンリターン』を使用せずとも、モンスターの空間跳躍帰還が可能になった。
また素材やモンスターの肉体アイテムを組み合わせることで、『禁断生物・キマイラ』の召喚が可能になった。
※複数体の呼び出し不可。キマイラは召喚枠を消費せず、一体のみ呼び出すことが出来る。
HPは極めて低く、召喚してから五分間で必ず死亡する。
またキマイラのレベルは召喚者と同じになる。
2:サモンテイマー
サモナーからの派生職。テイム能力に特化し、モンスターが仲間になる確率が大幅に上がった。
モンスターを癒してHPを回復させるアーツが使用可能になった。
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ってふぉおおおッ!? ハイサモナーのキマイラの作成ってなんだよ!? それ、めちゃくちゃワクワクするじゃねーか!
「こんなの即座に決定だ! ハイサモナーでポチーっと!」
するとファンファーレが響き、『ジョブ進化おめでとうございます! アナタはハイサモナーになりました!』とメッセージさんがお祝いしてくれた。
ポン太郎のほうと違って見た目の変化はないみたいだな。ちょっと残念だ。
「よし、そんなことよりもさっそくキマイラってヤツを試しに作ってみるか!」
ステータス画面を開いて説明を見ると、キマイラってのは何体か作り置きしておけるらしい。でもフィールドに出すと問答無用で死のカウントダウンが始まるんだとか。
悲しい生き物だな。でも俺は全ての邪悪なプレイヤーを滅ぼす正義のヒーローを目指してるから、正義のために使い捨ての爆弾になってもらおう!
「ふむふむふむ、高レアリティの素材を使えばそれだけステータスの高い奴が生まれるのか。幸運値極振りだからレア素材の獲得は楽勝だぜ。
あと素材の種類によって、どのステータスが伸びるか決まると」
たとえば『石』と『ウサギの肉』を組み合わせれば、皮膚が岩石に覆われた防御値の高いウサギが生まれるって感じかな? でもそうなるとせっかくの素早さが犠牲になりそうだから、組み合わせも考えないといけないな。あと可愛くないし。
「どうせ使い捨てなんだから『壁役』『状態異常攻撃役』『自爆特攻役』みたいな感じで、役割に特化したキマイラを用意しておくのがよさそうだな。
よし、そうと決めたら素材調達に行くか! バトルイベント前にポン次郎からポン十一郎たちも出来るだけ進化させてやりたいし、そこらじゅうのボスを倒しに行きますか!」
明日まで時間がないから流石にハイレベルダンジョン巡りなんてことは出来ないが、すでに攻略されているダンジョンならどうにか行けそうだ。ボス部屋の位置も攻略サイトに書かれてるみたいだしな。
そうと決まればさっそく行動だ! フランソワーズから装備を受け取ったら、そこらじゅうで暴れ回ってやるぜ!
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