19:超巨大戦力、ギガ太郎!
・もしもこのブレスキがドラマCDなどになりましたら、アーマーナイト役の声優さんにはぜひとも“フッ……応とも! さぁ、いくぞ宿敵よ。貴様を倒すのはこの私だ。運命を決するその日までは貴様に力を貸してやろう!”って感じの呻き声を出してもらいたいです。
ズガァァァァァァアアアアンッ! という音を立てて地面に倒れ込むギガンティック・ドラゴンプラント。
苦しげな声を上げるヤツだったが、まだ戦闘は終了していなかった。ヤツは倒れたまま無数の触手を生やし、落下中の俺に放ってきたのだ! 避けることも出来ない俺に極太の触手が迫る。
だが、
「こい、弓ィ!」
俺の声に応え、『初心者の弓』がブーメランのように回転しながら俺の手の中に飛び込んできた。
スキル【ちゃんと使ってッ!】の効果だ。これのおかげで安心して投げ捨てられるぜ。
俺は素早く矢をつがえ、ポン太郎たちを射出していく!
『キシャシャーーーーーッ!』
『グガァアアアアッ!?』
レーザーのごとく放たれた漆黒の矢が触手の群れの中心部を突き破り、ドラゴンプラントの顔面に突き刺さっていく。
巨大竜樹の口から絶叫が迸り、触手の動きが全て乱れた!
さぁ、次でトドメだ。用済みになった弓を空中で捨てることでスキル【異常者】を発動! 弓を捨ててから三秒間、敵に与える近接ダメージを倍にする!
「うおおおおおおおおおおおッ!」
漲る力を感じながら、俺は拳を固めて落ちていった。落下先はギガンティック・ドラゴンプラントの顔面だ!
『グガガァアアアアアッ!?』
「食らいやがれーーーーーーーッ!」
そして、衝撃音が響き渡った!
もはや俺の筋力値なんて関係ない。百メートル上空からの落下エネルギーを秘めた拳は、ヤツの顔面を盛大に粉砕!
スキル【根性】によってダメージを無効化した俺に対し、ギガンティック・ドラゴンプラントは大絶叫を上げ――、
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おめでとうございます! ダンジョンボス:ギガンティック・ドラゴンプラントのソロ討伐に成功しましたッ!
ユーリとポン太郎たちは大量の経験値を手に入れた! ポン太郎のレベルは27、ユーリのレベルは25になりました!
ポン太郎のレベルが25を突破しました。種族進化可能です!
ユーリのレベルが25に到達しました。ジョブ進化可能です!
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「よっしゃああああああーーーーー!」
俺はドラゴンプラントの死体の上で勝利の咆哮を張り上げた! 盛大なクラッカー音が周囲に響き、さらにポン太郎たちがバイブレーションして俺のことを讃えてくれる!
ていうかやっぱりポン太郎進化するのか! あと俺も進化するの!? ジョブ進化ってなんだよ!?
喜んだり驚愕したりと忙しい俺にメッセージさんが報告を続ける。
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条件:『自分よりもレベルが10以上高いボスモンスターを拳で仕留める』達成!
スキル【神殺しの拳】を習得しました!
【神殺しの拳】:拳撃時に自動発動。一秒間、手首から先を『無敵状態』にする。一秒間のみ、あらゆるダメージ・衝撃・効果を無効化する。
条件:『スキル【根性】を百回以上発動させる』達成!
スキル【根性】はスキル【執念】に進化しました!
スキル【執念】:死亡する攻撃を受けた時、低確率でHP1で耐える。次に敵に与えるダメージを二倍にする。
条件:『自分よりもレベルが10以上高いボスモンスターをソロで倒す』達成!
スキル【ジャイアントキリング】はスキル【ジェノサイドキリング】に進化しました!
スキル【ジェノサイドキリング】:極低確率で敵に与えるダメージを二倍にする。敵のレベルが自分より高い場合、三倍となる。
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「おっ、おおおおおおおお……!」
スキルが二つ進化しやがった! なんだなんだ、進化祭りか!?
スキル【根性】はダメージアップ効果の付いたものになったし、【ジャイアントキリング】は全てのレベルのモンスターにも発動する凶悪なものになった! 倍率もダメージ一割アップから二倍やら三倍に大幅アップしてるしな。
それと新しく獲得した【神殺しの拳】ってスキルは面白いな。要するに剣と殴り合ってもダメージを受けなくなったってことか!
こりゃー殴り合いがしやすくなったぜ。これからはもっと弓を捨てていこうな! ワハハ。
『ワールドニュースッ! ユーリさんが単独で、ギガンティック・ドラゴンプラントを初討伐しました! ハイレベルダンジョン:食虫神の森、最速攻略完了!』
おっ、ワールドニュースきたきたきたー!
おい聞いてるか、ガセ情報を流して俺を騙した悪質βテスターたち。そして幸運値極振りは戦えないと思っている者たちよ。
俺はこの通り活躍してるぞ! 二日後のバトルイベントでは暴れ回ってやるから覚悟しとけよコンチクショウッ!
「さ~て、一旦街に戻って進化ってやつでも試してみるかー」
そう言いながら俺がドラゴンプラントの死体を飛び降りた時だ。ふとここで違和感に気付いた。
「ってこいつ、なんで倒したのに消えてないんだ?」
HPがゼロになったモンスターは数秒も経たず消えるものだ。だがドラゴンプラントのやつは未だに地面に横たわっていた。
一体どういうことなのかと思い、ツンツンと顔の当たりをつついてみると、
『グッ、グガウ~……』
「わぁっ!? まだ生きてた!?」
バッと飛び退いて弓を構える。だが巨大竜樹のほうは呻き声を出すばかりで、ピクリとも動かない。
そんな異常現象に戸惑っていた時だ。ここでピコンっとメッセージさんが文字を表示した。
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・サモナー限定:隠しクエスト発生! ギガンティック・ドラゴンプラントに食べ物をあげよう!
※満足度・満腹量によって報酬が変わります。
「不味くて少ない」→激おこ。アーツ『ジェノサイド・セブンス・レーザー』をプレイヤーに射出。
「美味いけど少ない」or「不味いけど量は多い」→まぁ許してやる。高レアアイテムをランダムで提供。
「超絶美味くて量もいっぱい!」→大満足! 『???』ゲット!
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はぁっ!? なんだそりゃ!?
「ふざけんなバカヤロー! なんで俺がそいつのメシの世話なんてしてやらなくちゃいけないんだよ! 俺そいつに焼き殺されたんですけど!?」
メシくらい自分で何とかしろとドラゴンプラントに怒鳴るが、『ウ~ウ~』と悲しい声を上げるだけでピクリとも動かない。
お前、体長百メートルあるくせに赤ちゃんかよ。
あっ、触手を伸ばすな。俺の胸のあたりを触るな。なんも出ないから触手引っ込めろ。
はぁ~~~仕方ないなぁ……街に戻って食料系アイテムでも買ってきてやるか。でもボスエリアから出たら、もう一回ボス戦をやり直すことになるかもしれない。それはぶっちゃけめんどくさい。
そうして俺が「いま食料アイテムあるかなー」とメニュー画面を開いた時だった。
ふと、俺は思った。そういえばここのダンジョン名に『食虫神』ってあったなーと。
ま、まさかまさか?
「ポン太郎たちをしまって……よし現れろ、『ジャンボワーム』ども!」
『『『ピキャキャ~~~!』』』
元気に登場する緑色の巨大イモムシたち。森で暴れている内に百匹くらい仲間になった中の一部だ。
はははっ、まさかとは思うがコイツらを食べさせたら大満足の条件達成ってわけじゃないよな? 幸運値の低い一般のサモナーはモンスターを捕獲するのが難しいらしいからな。そんな色んな意味で鬼畜な条件なわけがない。
俺がそう思った時だった。ドラゴンプラントが『グガァッ!?』と喜びの声を上げ、触手を放ってイモムシたちを捕まえていったのである!
『グガガガガ~~~~~ッ!』
『『『ギエピ~ッ!?』』』
……そして始まるお食事タイム。ドラゴンプラントは次々とイモムシたちを丸呑みにしていき、みるみる内に元気になっていった。
って、マジでワームたちを捕まえてきて差し出すのが成功条件だったのかよ!
『グガーッ!? グガガガ~ッ!?』
“ねぇもっとない!? もっとない!?”って感じの声を上げるドラゴンプラント。俺は苦笑いしながら次々とイモムシたちを差し出してやると、ドラゴンプラントは本当に嬉しそうに食べまくったのだった。100匹以上のジャンボワーム、完食完了である。
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・隠しクエスト大成功! 巨大ボス『ギガンティック・ドラゴンプラント』が仲間になりました!
※巨大ボスモンスターは十分間に一度、十秒間だけ召喚可能です。
このとき召喚枠は消費しません。巨大ボスモンスターのレベルはプレイヤー自身と同等になります。
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って、ふわぁああああああああああッ!? お前、仲間になるのかよッ!?
アーマーナイトは人型サイズだったからともかく、体長百メートルを超えるボスなんて絶対に仲間にならない設定だと思ってたのに! マジか……こりゃバトルイベント前にものすごい戦力を手に入れちまったなッ!
「よろしくな、ギガ太郎!」
『グガガ~~~っ!』
ぶっとい触手を伸ばして赤ん坊のように甘えてくるギガ太郎だった。
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