1:キャラエディット!
はじめてやったオンラインゲームはラグナロクオンライン、いちばんハマったのはファンタシースターオンラインです!
みなさんはどうでしょうか?
『ようこそいらっしゃいましたっ! ここはキャラクター作成空間です!』
……目を覚ますと、俺は真っ白な空間にいた。そして目の前には、ふわふわと飛び回る妖精さんが。
「えっと、君は?」
『はいっ、わたくしはプレイヤーナビゲート妖精のナビィです! みなさまの冒険をサポートするために生み出されました!』
おおっ、会話が出来た!? そういえば攻略サイトにも書かれていたな。最新のAI技術が使われていて、NPCともちょっとした会話なら出来るって。
っと、科学のパワーに感動してる場合じゃないな。せっかくゲームをやるんだし、どうせなら攻略にも加わりたいものだ。スタートダッシュを決めるためにもサクっとキャラを作らないと!
「じゃあナビィ、さっそくキャラ作成を頼む」
『了解ですっ! それではまず、プレイヤーネームを打ち込んでください!』
妖精さんがそう言うと、目の前に半透明なキーボードが現れた。
プレイヤーネームか。そうだな~、現実の名前は裕理だし……、
「じゃあ、カタカナで『ユーリ』っと!」
『わかりました、ユーリ様ですね! では次に、職業と使用武器とスキルを選んでください!』
今度は目の前に三つのウィンドウが現れた。職業のウィンドウには『剣士』や『魔法使い』など何種類ものジョブ名が書かれ、使用武器ウィンドウには『片手剣』やら『杖』やら『鎖鎌』やらと何十種類も細かく記されていた。……中には『ハサミ』なんてのもあるんだが、誰が使うんだ? 美容師か?
そして最後のスキルウィンドウには、もはや読みきれないほどのスキル群が百種類以上書かれていた。って多すぎだろ!
『どうしますかユーリ様? 何時間かけてもナビィはお待ちしますよ~!』
「……いや大丈夫だ。実は攻略サイトを覗いて、職業と武器だけは先に決めてきたからな」
ゲームの中で不運とは無縁な快適生活を送るんだ! 変なのを選んで苦労して堪るか!
というわけで俺は、攻略サイトにて『βで流行った最強の職業と武器!』と銘打たれた二つを選んだ。
「職業は『サモナー』、武器のほうは『弓』で頼む!」
『ほえ~、サモナーに弓ですか! めちゃんこ珍しいですね! 了解しました~!』
ビシッと可愛く敬礼する妖精さん。……ん、めちゃんこ珍しい? βテストで大流行したんじゃないのか? サモナーは強力なモンスターを自在に操って戦える強い職業で、弓は一方的に剣士をボコれるから大人気だって書いてあったんだが。うーん、まぁ正式サービスを始めるに当たって、気分転換に別のを選んだ人たちが多いってことかなぁ?
『ではユーリさん、次はスキルをお願いします! 三つまで選べますよー!』
おっ、そんなことよりもスキルだスキル! これは決めてなかったからどうするか……。
う~ん、よし! 幸運値に極振りすることを考えてコレとコレとコレにするかぁ!
「じゃあナビィ、【根性】と【致命の一撃】と【幸運強化】で頼む」
『わかりました!』
俺の考えは至ってシンプルだ。まず【根性】は、低確率でHPがゼロになる攻撃からギリギリ生き残れるようになるスキルだ。そして【致命の一撃】のほうも、低確率で与えるダメージを二倍にするスキルである。つまり、幸運値が高ければ高いほどこの二つが発動する確率は上がるってことだな! まさに幸運値極振りの俺に相応しいスキルたちだぜ!
さらに幸運値を一割アップさせる【幸運強化】のスキルも付ければ、怖いものなしだ! 勝ったな、ワハハッ!
『ではユーリ様、次はステータスポイント100を、』
「幸運値に全部ブチ込んでくれッ!」
妖精さんに食い気味に叫ぶ。
当たり前だよなぁ! だって俺は幸せライフを送るためにこのゲームを始めたんだからよぉ!
というわけで、俺のステータスはこんな感じになった。
====================
名前:ユーリ
レベル:1
ジョブ:サモナー
使用武器:弓
ステータス
筋力:0 防御:0 魔力:0 敏捷:0 幸運100+10
スキル
【幸運強化】【根性】【致命の一撃】
====================
う~ん見事な極振りだぜッ! 0がいっぱいで幸運値だけ110ッ! 他の人が全部に20ずつ振ると考えたら、俺はこの時点で常人よりも五倍以上幸運になってるってことだ!
たしか1レベルアップするごとに10しかステータスポイントがもらえないらしいから、もはや俺に追い付くことは不可能だろう!
ふっふっふ、このステータスで夢にまで見た幸運人生を送ってやるぜ~!
やる気満々でほくそ笑む俺。そこにナビィが、「では最後に」と声をかけてきた。
『それではユーリ様、キャラクターの見た目はどうされますかっ!? 精神への影響を考慮して現実のお顔をベースにさせていただきますが、ほぼ別人クラスまでいじれちゃいますよ~!』
お、見た目の作成きたこれ! 一番重要なヤツだな! う~んどうするかなぁ。現実の俺はちょっとなよっちぃ顔付きをしてるから、バリバリに補正を入れて男らしくしようかな! あと、不幸生活に絶望しきって死んじまった目をどうにかしたい……!
『ちなみにですが、全てを運に任せるランダムエディットという機能もありますよ! 現実のお顔をベースにするのは変わりませんが、そこからどんな風に変わっちゃうのかはまったく不明! もしかしたら神調整ですごいイケメンになっちゃうかも!?』
ほほう、ランダムエディット! それは面白そうだ!
現実の俺なら絶対にやらないことだが、ゲームの中の俺は常人よりも五倍運がいい男だからな! やってやるぜ~!
「じゃあナビィ、ランダムで頼む!」
『わかりましたっ! どんな見た目になるのかは街に降り立ってからのお楽しみです! ではユーリ様。夢と希望と戦いに溢れた、ブレイドスキル・オンラインの世界をお楽しみください~!』
元気に手を振る彼女の姿を最後に、俺の視界は光へと包まれていった――!
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