17:決戦、ギガンティック・ドラゴンプラント!
前回のあらすじ:龍の昼飯を助けました。
元βテスターのネコ耳和服少女・コリンと出会った俺は、共闘しながらダンジョンボスの下に向かうことにした。
ギャアギャア騒いでいた彼女だが、(死んだ目で)冷静になってからの戦いぶりはカッコいいものだった。
何十匹も寄ってくる巨大イモムシたちを手にした短刀で斬り裂いていく。イモムシたちも必死で噛み付こうとしているが、目にも止まらぬ速さで駆ける彼女には、まったく攻撃が当たらない。
「ふふっ、どうですかユーリさん。素早さに特化したステータスと小さな身体の組み合わせは! 被弾率が減れば回復ポーションも必要なくなり、お金が浮いて効率よくゲームを進めれるってもんですよ! 移動速度も上がりますしね~!」
「合理的な性格してんなぁコリンは。あ、後ろのやつまだ生きてるぞ」
「えっ、きゃぁっ!?」
ドヤ顔で喋ってる彼女に瀕死のイモムシが齧りつこうとしていたため、すかさず弓を捨ててドロップキックをかます。イモムシは『ピギャ~!?』と叫びながら今度こそ消滅したのだった。
「ここは敵も多いんだから、油断すると危ないぞ~?」
「あ、ありがとうございます……! うぐぐ、まだ生きてたとは……。敏捷値に大きく振った分、筋力値がちょっと控えめなのがわたしの弱点ですね……。
というかユーリさんはどうなってるんですか!? 筋力値ゼロでどうしてダメージが出るのかはマナー違反だから聞きませんが、なんで弓使いなのに弓を捨ててドロップキック!? しかも慣れた感じだし!」
「近くだったんだから弓で打つより蹴ったほうが早いだろ。俺、たまに不良と喧嘩するから接近戦のほうが馴染んでるしさ」
「えぇ……弓使いとは一体……」
ブツブツと呟くコリンを引き連れ、森の奥へと進んでいく。
すると、
「おっ、ダンジョンボスの住処発見」
巨大な木の根元に、これまた巨大な扉が存在していた。
この奥にボスが住んでいるのだろう。トッププレイヤーになるために家宅侵入させてもらうぞ。
「あっ、すみませんユーリさん……! 差し出がましい話、わたしが先に挑んでもいいでしょうかっ!? わたしも最速攻略を果たして、全プレイヤーに名前を読み上げられたいっていうか……!」
「ああ、あれはたしかに気持ちいいからな。わかった、頑張ってこいよ!」
「はいっ、ありがとうございます! ではバトルが終わったらフレンドメッセージを送りますね! お友達登録よろしいでしょうか?」
「おうっ、今日からお前もダチ公だな!」
「はいっ、ダチ公です!」
メニュー画面からフレンド登録を交わし合った後、ボスの部屋へと入っていく彼女を笑顔で見送る。
よーし、あいつが戦ってる間に手に入れたアイテムや仲間になったモンスターたちの確認でもするかな?
『殺人イモムシの繊細糸』やらレア度の高いアイテムがいくつも手に入ったのはいいんだが、『ジャンボワーム』が百匹くらい仲間になってんだよなぁ……。
十二体までしかモンスターは呼び出せないし正直いらない。どっか売り払えるところとかないんだろうか? 昆虫屋さんとか。
そんなことを考えていると、ポーンという音が響き、
『コリンさんよりメッセージが届きました。
“ぎゃああああああああああああああああああああああああああああ負けたああああああああああああああああああああああアイツチートじゃボケぇええええええええッッッ!!!(´;ω;`)”』
「ってうわぁッ!?」
コリンからの大絶叫文章が目の前にババンと表示された!
ってはや!? まだ三分も経ってないぞ! あのすばしっこいコリンを速攻で負かすなんて……この『食虫神の森』のボス、いったいどんなやつなんだ?
「この『食虫神の森』、βテスト時にはなかった新ダンジョンっていうから興味本位で来てみたけど……そんなに強いやつがボスなのか?」
イモムシたちが弱かったからてっきり適正レベル15くらいのダンジョンだと思ってたんだが。
まぁ、考えても仕方ないか。俺は弓を握り締め、扉の奥へと入っていった。
◆ ◇ ◆
扉の向こうは木々に囲まれた広場だった。蝶がパタパタと飛び回り、なんとも和やかな雰囲気の場所だ。
「闘技場みたいだった地下墳墓のボスエリアとは大違いだな。さて、ボスの野郎は一体どこに……」
俺がきょろきょろと周りを見渡した瞬間――ボガァアアアアアアアアアアンッ! という轟音と共に、目の前の地面が爆砕した!
「なっ!?」
もくもくと舞い散る土煙の中、植物の竜が地面の底より出現を果たす……!
『グガァアアアアアアアアアアアアアアアーーーーーーーーーーッ!』
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ボスモンスター:ギガンティック・ドラゴンプラントが現れました。
適正レベル:『35』。
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って、適正レベル35ってどういうことだよ! 俺まだ22なのに大丈夫かこれ!?
……つーか何なんだよコイツ。まるで朝顔みたいにニョキニョキってどんどん地面から身体が出てきて……出てきて……出てきて……ってまだ出てくるッ!?
その巨大さは体長十メートルほどのドラゴンプラントの比ではなかった。
俺が呆然と立ち尽くす中、ギガンティック・ドラゴンプラントは周囲の木々よりも長くて大きな身体を現していき……最終的には百メートル以上にまで達しやがった!
『グガガガァアアアアーーーーーーーー!』
遥か頭上から咆哮を上げながら、ヤツは俺の身体よりも太い触手を何本も放ってきたのだった!
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