最終回:ブレイドスキル・オンライン ~ゴミ職業『サモナー』で最弱武器『弓使い』でクソステータス『幸運値極振り』の俺、いつのまにか『ラスボス』に成り上がります!~
『見つけたぞユーリ! 勝負しろォォォ!!!』
「おっしゃァ、かかってこいやァ!」
――絶滅大戦から一週間。俺は大忙しだった。
ログインした瞬間にたくさんのプレイヤーたちから勝負を挑まれ、彼らと殺し合う毎日だ。
「スキル【武装結界】! アーツ発動『暴龍撃』! おりゃりゃりゃりゃりゃ!!!」
『ぎゃーッ!?』
今日も元気にライバルたちをぶっ飛ばす。
あの日以来、イベントを見ていた何十万人もの人々が『自分たちも派手に暴れたい! ユーリと戦ってみたい!』とゲームに殺到し、一時期サーバーが壊れかけるほどの事態になった。
おかげで毎日がバトル祭りだ。日々、色んな国や色んなゲームからやってきた者たちに挑まれ、鎬を削りまくっている。
「――ふふふ、相変わらず元気そうだねぇユーリくん」
「ぬっ!?」
次の瞬間、何十人ものプレイヤーたちが一斉に斬り殺された。悲鳴すら上げる間もなく、肉片となって宙に舞い散る。
先ほどの声にこの剣技。下手人は間違いなく……、
「ひえっ、ペンドラゴンだぁ!」
「おいおい、『ひえっ』は酷いんじゃないかい?」
苦笑いするペンドラゴン。されど俺を見つめる彼女の瞳は、どこかうっとりと夢心地だった。
「どうして怖がってるのかなぁ? 『たまたま』キミの学校に赴任してきた教師の私に言ってごらん?」
「って、それがこえーんだよッ! お前どんな手を使いやがった!?」
決戦から数日後、こいつが学校にやってきた時はもう叫びかけた。ほぼゲームのまんまの容姿をしてたから一発でペンドラゴンってわかったさ。
周囲の連中(特に男子)はテンション上がりまくってたが、俺は気が気じゃなかったよ。
「しかもお前、昼休みになるたびに手作り弁当を渡してきて……! おかげで噂になりまくってるんだが!? お前と俺が付き合ってるんじゃないかって!」
「おや、そう言うわりには受け取ってくれてるし、完食してくれてるみたいだけど」
「あん? ……そりゃ人が頑張って作ってくれたもんを残すわけにはいかないだろ。なにより、毎日食っても飽きないくらい美味いしな」
「むっ!? 毎日って、キミねぇ……!」
唇をによによさせるペンドラゴン。料理の腕を褒められたことがそんなに嬉しかったのだろうか?
「あ、ちなみにお前、体育教師の遥斗先生に妙に当たりキツいのやめろよ? あの人ムキムキで女好きだけど良い人だからな。授業中に俺がそこそこの怪我をした時、保健室まで抱えて走ってくれてさぁ」
「ぬぐっ、やはりアイツ、キミの攻略をリアルでも……!」
んん? 攻略? リアルでも? ペンドラゴンのやつ何言ってんだ?
……まぁそれはとにかく、
「リアルの話はこのへんにして、今日もやろうぜペンドラゴン。ド派手で全力で、最高にスカッとするバトルをな!」
弓を手にしてニッと笑う。
色々とやばい女だが、こいつとのバトルは楽しいからな!
「ふっ、まったくキミは変わらないなあ……。いいだろう、今日も挑ませてもらおう――と、言いたいが」
ペンドラゴンがひらりと後退する。その刹那、彼女が立っていた場所に強烈な鉄拳が叩き込まれた。あまりの衝撃に地面が弾け飛ぶ。
「――悪いが、ユーリに先に挑むのはオレ様だぜェ?」
突如として現れたのは、俺の最高に頼れる親友・スキンヘッドだった!
「スキンヘッドー! 最近会ってなかったけど、元気だったか!?」
「まーな。ちょっとばかし疲れもあるがよ」
肩をゴキゴキと回すスキンヘッド。そういえば、こいつもこいつで色んなやつに挑まれているらしい。
俺がペンドラゴンに指輪をぶつけたあと『スキンヘッドからもらった指輪だぜ!』と言ったのをきっかけに、多くの男性プレイヤーが本気で殺しに来ることになったとか。
「ったく、参っちまうぜ。オレ様的には友情の証として贈ったんだが、何を勘違いしたんだか……」
「なんかごめんなぁスキンヘッド。お詫びにご飯おごるから、あとで一緒に飯屋行こうぜ?」
「……キミらそういうところだぞ」
なぜか呆れるペンドラゴン。彼女の様子に俺と親友は首を捻る。
「はぁ、まぁいいさ。それじゃあスキンヘッドくん、この子との勝負権を賭けて戦おうじゃないか?」
「いいぜェ。――つっても、そいつはモテモテだからなぁ。こうしてる間にも、ほれ」
スキンヘッドが呆れながら俺の背後を見た。そちらを振り向くと、土埃を立てながら大集団が迫ってきていて……!
『ユーリーッ! お前を倒すのは、この俺だーっ!』
青空に響く数多の声。
たくさんのプレイヤーたちと共に、ザンソードが、クルッテルオが、ヤリーオが、コリンが、シルが、キリカが、マーリンが、アリスがアラタがアンジュがアカヒメが――今まで戦ってきた宿敵たちが、武器を振り上げながら向かってきていた。
その中にはフランソワーズとグリムの職人姉妹までもが『腕試しですわ~!』『勝負ー!』と叫びながら加わっていた。
「ははっ……こりゃまた、戦り甲斐のあるメンバーじゃねえか……!」
心が熱く燃え上がる。
不幸なリアルから逃げ、最悪で最弱な状態から始めたこのゲーム。だけど今やこの場所には、こんなにもたくさんの仲間たちがいた。
ああ、今なら言える。俺は最高に、幸運だっ!
「よっしゃぁッ、やろうぜお前ら!」
鍛え抜かれた『刃』と『技』で、今日も俺たちはぶつかり合う。
どこまでも全力で、楽しく派手に殺し合う。そんな殺伐とした遣り取りが絆になる場所――それが!
「さあ、最高に楽しもうぜ。この、『ブレイドスキル・オンライン』をなぁ!」
・ご愛読、ありがとうございましたああああ!!!!!
ぜひぜひご感想聞かせてください!
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