163:最後の熱戦
舞い上がっていた土煙が晴れていく。
最高の宿敵『修羅道のキリカ』との最後の激突。
それを制したのは……、
「――かッ、はぁ……」
「俺の、勝ちだ」
双剣を手にした、この俺だった。
キリカがどさりと崩れ落ちる。彼女の胸から、血濡れた片手の刃が抜けた。
「どっちが勝つかは分からない勝負だったなぁ……」
血を払いながら決着の瞬間を振り返る。
修羅道呪法『斬魔の太刀』のぶつけ合い。それに勝利したのはキリカだった。
何もおかしなことはない。双剣に宿った憑依モンスターのステータス補正と、衝撃発生スキル【魔王の波動】でごまかしているが、俺は筋力値ゼロの雑魚だからな。
ごく正常に鍛えられたアバターを持つキリカに、同じ技で敵うわけがなかった。
――だがしかし。それでも一瞬程度なら対抗できる。
右手の刃で放った奥義が完全に潰される合間に、左の刃を突き出し――そして。
「クリティカル……やね。ウチの負けやで……」
胸の傷口を撫でながら、キリカは静かに呟いた。
彼女の身体が光の粒子と化していく。HPが尽きた証拠だ。
「楽しかったで、ユーリはん。死ぬほど悔しい気持ちはあるけど、それ以上に楽しかった……!」
「あぁ、俺もだキリカ。また全力で殺し合おうぜ」
散りゆく修羅と微笑み合う。
本当に、最高に楽しい決戦が出来たよ。毎日だってしたいくらいだ。
よし決めた。このイベントが終わったらこいつも俺のギルドに入れよう。バトルしまくったり時には他のギルドを一緒に潰しまくったり、きっと面白くなるだろう。まぁ、シルと同じく気は強いからコリンはビビりそうだけどな。
そんな未来にワクワクした時だ。光の中に消えゆくキリカが、不意にぽつりと呟いた。
「確かにウチは負けた、けど……アンタを引き留める役目は、きっちり果たしましたえ……」
――あとは皆さん、頑張りやぁ。
そう言い残して、キリカは散った。
そこでようやく背後に気付く。俺と彼女の最期の刻を、じっと見守っていた者たちがいることに。
……街壁の一部が崩壊し、敵プレイヤーたちが侵入していたことに。
「よぉ、大将さん。いい殺し合いを見せてもらったぜ」
武者姿の男が言った。「同じ『六道』プレイヤーとして、キリカも誇れる最期だった」と、血濡れた野太刀を構えながら。
「僕もワクワクさせられたよ。ぜひ、手合わせを願おうかな」
ドレス姿の少女が言った。「『ユグドラシル・オンライン』代表として負けられない」と、ルーンの輝く二振りの鎌を握りながら。
「キミは確かに強いダロウ。だが、生物以外が相手ならどうカナ?」
パイロット姿の……ロボが言った。「ロマンを感じたら『ギャラクティカ・ルーラーズオンライン』に来たマエ」と、自分よりもさらに巨大なロボを侍らせながら。
突如として現れた、どことなく違和感を感じる集団。
口ぶりからして間違いない。こいつら、別ゲームからの刺客プレイヤーたちだ……!
「そーいや、お前らを懲らしめるのが途中になってたな。ペンドラゴンのヤツが『絶滅大戦』を起こしやがったからよ」
両手に再び刃を構える。
いいさ。ちょうどいい機会だ。ここで色んなゲームのトップたちにも知らしめてやるぜ。
「俺が最強のプレイヤーだ。どんなヤツにも負けねーよ。そして」
次瞬、敵軍の先頭に立っていた武者野郎の首が刎ねられた。
地に墜ちながら男は驚く。「って、テメェは……っ!」と、大きく瞳を見開きながら。
「――そして、俺の仲間も最強だ。なぁそうだろう、ザンソード」
「うむ」
刃に付いた血を払い、ザンソードは敵軍を睨みつけた。
背中越しに俺へと微笑む。
「ユーリよ。拙者では相手にしきれなかったキリカの殺意に、よくぞ応えてくれたな。……でもなんだか寝取られた気分でござる」
「気持ち悪いことを言うな」
何が寝取りだ。普通にちょっと悔しいとか言えよ。
ったく……カッコよくて頼りになるのに、相変わらず言動が残念だよなぁ。
「本当にどうしようもないやつだぜ。――お前もそう思うだろう、スキンヘッド」
「おうよ」
瞬間、敵の巨大ロボが殴り飛ばされた。砕けたパーツを撒き散らしながら、軍勢の上に落下する。
足元にいたパイロットロボのほうが、「ぬぁああッ、我がロマンの結晶がぁッ!?」と騒ぎ立てた。
「よォユーリ、いよいよ敵に乗り込まれちまったなぁ」
ザンソードに続き、スキンヘッドが俺の前へと現れた。
口ぶりのわりに楽しそうだ。両手の手甲を打ち鳴らしながら、「やってやるぜ」と笑みを浮かべた。
「オメェとサムライ姉ちゃんの決闘を見て燃えたのは、なにも敵軍だけじゃねえ。ザンソードの野郎も含めて、こっちだってバチバチだぜ。なぁ、そうだろう!?」
ザッ、と。俺の周囲に足音が響いた。
目を向ければ、最高に熱い顔付きをした『魔王軍』のプレイヤーたちが。
「オレたちだってやってやるぜッ!」
「ここが正念場だッ、暴れてやらぁ!」
「刺客連中には借りもあったしな!」
敵軍に吼える仲間たち。それに対し、刺客プレイヤーの大鎌少女も負けじと言い放つ。
「勝ちたい気持ちはこっちが上だッ! さぁみんな、刺客プレイヤーの――『女神軍』の力を見せてやろうッ!」
『応ッッッ!』
彼女の言葉に敵軍も叫んだ。
異世界の刺客だけではない。ブレスキのプレイヤーたちやモンスター合戦を生き延びた偽ユーリたちもが混ざり、一丸となって武器を掲げた。
数えきれない人間たちの、闘志と殺意が空気を満たす。苦しくなるほど魂が燃えて熱くなる。
「あぁ……いいなぁオイ……ッ」
裂けるように笑いながら、俺は着物の胸元を緩めた。
身体が火照ってしょうがない。もう心臓は楽しさと面白さで暴れっぱなしだ。汗によって張り付く髪を掻きあげる。
本当に、本当に。このゲームを始めて、心からよかったと切に思う。
そんな想いを吐き出すように、世界の中心で吼え叫ぶ――!
「いいぜぇッ、やろうやお前たちッ! 殺って殺られて闘りまくるッ、空前絶後の大決戦をなぁーーーーーーーッ!」
『オォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオーーーーーーーーッ!!!』
戦場に轟く魂の咆哮。
胸のワクワクと武器を手に、俺たちは一斉に駆け出した――!
・完結間近です――!
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