表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

165/181

163:最後の熱戦





 舞い上がっていた土煙が晴れていく。

 最高の宿敵『修羅道のキリカ』との最後の激突。

 それを制したのは……、


「――かッ、はぁ……」


「俺の、勝ちだ」


 双剣を手にした、この俺だった。

 キリカがどさりと崩れ落ちる。彼女の胸から、血濡れた片手の刃が抜けた。


「どっちが勝つかは分からない勝負だったなぁ……」


 血を払いながら決着の瞬間を振り返る。

 修羅道呪法『斬魔の太刀』のぶつけ合い。それに勝利したのはキリカだった。

 何もおかしなことはない。双剣に宿った憑依モンスターのステータス補正と、衝撃発生スキル【魔王の波動】でごまかしているが、俺は筋力値ゼロの雑魚だからな。

 ごく正常に鍛えられたアバターを持つキリカに、同じ技で敵うわけがなかった。

 ――だがしかし。それでも一瞬程度なら対抗できる。

 右手の刃で放った奥義が完全に潰される合間に、左の刃を突き出し――そして。


「クリティカル……やね。ウチの負けやで……」


 胸の傷口を撫でながら、キリカは静かに呟いた。

 彼女の身体が光の粒子と化していく。HPが尽きた証拠だ。


「楽しかったで、ユーリはん。死ぬほど悔しい気持ちはあるけど、それ以上に楽しかった……!」


「あぁ、俺もだキリカ。また全力で殺し合おうぜ」


 散りゆく修羅と微笑み合う。

 本当に、最高に楽しい決戦が出来たよ。毎日だってしたいくらいだ。

 よし決めた。このイベントが終わったらこいつも俺のギルドに入れよう。バトルしまくったり時には他のギルドを一緒に潰しまくったり、きっと面白くなるだろう。まぁ、シルと同じく気は強いからコリンはビビりそうだけどな。

 そんな未来にワクワクした時だ。光の中に消えゆくキリカが、不意にぽつりと呟いた。


「確かにウチは負けた、けど……アンタを引き留める役目は、きっちり果たしましたえ……」

 

 ――あとは皆さん、頑張りやぁ。


 そう言い残して、キリカは散った。

 そこでようやく背後に気付く。俺と彼女の最期のときを、じっと見守っていた者たちがいることに。

 ……街壁の一部が崩壊し、敵プレイヤーたちが侵入していたことに。


「よぉ、大将さん。いい殺し合いを見せてもらったぜ」


 武者姿の男が言った。「同じ『六道』プレイヤーとして、キリカも誇れる最期だった」と、血濡れた野太刀を構えながら。


「僕もワクワクさせられたよ。ぜひ、手合わせを願おうかな」


 ドレス姿の少女が言った。「『ユグドラシル・オンライン』代表として負けられない」と、ルーンの輝く二振りの鎌を握りながら。


「キミは確かに強いダロウ。だが、生物以外が相手ならどうカナ?」


 パイロット姿の……ロボが言った。「ロマンを感じたら『ギャラクティカ・ルーラーズオンライン』に来たマエ」と、自分よりもさらに巨大なロボを侍らせながら。


 突如として現れた、どことなく違和感を感じる集団。

 口ぶりからして間違いない。こいつら、別ゲームからの刺客プレイヤーたちだ……!


「そーいや、お前らを懲らしめるのが途中になってたな。ペンドラゴンのヤツが『絶滅大戦』を起こしやがったからよ」


 両手に再び刃を構える。

 いいさ。ちょうどいい機会だ。ここで色んなゲームのトップたちにも知らしめてやるぜ。


「俺が最強のプレイヤーだ。どんなヤツにも負けねーよ。そして」


 次瞬、敵軍の先頭に立っていた武者野郎の首がねられた。

 地に墜ちながら男は驚く。「って、テメェは……っ!」と、大きく瞳を見開きながら。


「――そして、俺の仲間も最強だ。なぁそうだろう、ザンソード」


「うむ」


 刃に付いた血を払い、ザンソードは敵軍を睨みつけた。

 背中越しに俺へと微笑む。


「ユーリよ。拙者では相手にしきれなかったキリカの殺意に、よくぞ応えてくれたな。……でもなんだか寝取られた気分でござる」


「気持ち悪いことを言うな」


 何が寝取りだ。普通にちょっと悔しいとか言えよ。

 ったく……カッコよくて頼りになるのに、相変わらず言動が残念だよなぁ。


「本当にどうしようもないやつだぜ。――お前もそう思うだろう、スキンヘッド」


「おうよ」


 瞬間、敵の巨大ロボが殴り飛ばされた。砕けたパーツを撒き散らしながら、軍勢の上に落下する。

 足元にいたパイロットロボのほうが、「ぬぁああッ、我がロマンの結晶がぁッ!?」と騒ぎ立てた。


「よォユーリ、いよいよ敵に乗り込まれちまったなぁ」


 ザンソードに続き、スキンヘッドが俺の前へと現れた。

 口ぶりのわりに楽しそうだ。両手の手甲を打ち鳴らしながら、「やってやるぜ」と笑みを浮かべた。


「オメェとサムライ姉ちゃんの決闘を見て燃えたのは、なにも敵軍だけじゃねえ。ザンソードの野郎も含めて、こっちだってバチバチだぜ。なぁ、そうだろう!?」


 ザッ、と。俺の周囲に足音が響いた。

 目を向ければ、最高に熱い顔付きをした『魔王軍』のプレイヤーたちが。

 

「オレたちだってやってやるぜッ!」

「ここが正念場だッ、暴れてやらぁ!」

「刺客連中には借りもあったしな!」


 敵軍に吼える仲間たち。それに対し、刺客プレイヤーの大鎌少女も負けじと言い放つ。


「勝ちたい気持ちはこっちが上だッ! さぁみんな、刺客プレイヤーの――『女神軍』の力を見せてやろうッ!」


『応ッッッ!』


 彼女の言葉に敵軍も叫んだ。

 異世界の刺客だけではない。ブレスキのプレイヤーたちやモンスター合戦を生き延びた偽ユーリたちもが混ざり、一丸となって武器を掲げた。

 数えきれない人間たちの、闘志と殺意が空気を満たす。苦しくなるほど魂が燃えて熱くなる。


「あぁ……いいなぁオイ……ッ」


 裂けるように笑いながら、俺は着物の胸元を緩めた。

 身体が火照ってしょうがない。もう心臓は楽しさと面白さで暴れっぱなしだ。汗によって張り付く髪を掻きあげる。

 本当に、本当に。このゲームを始めて、心からよかったと切に思う。

 そんな想いを吐き出すように、世界の中心で吼え叫ぶ――!


「いいぜぇッ、やろうやお前たちッ! ってられてりまくるッ、空前絶後の大決戦をなぁーーーーーーーッ!」


『オォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオーーーーーーーーッ!!!』


 戦場に轟く魂の咆哮。

 胸のワクワクと武器を手に、俺たちは一斉に駆け出した――!

  


・完結間近です――!


『面白い』『更新早くしろ』『止まるんじゃねぇぞ』『死んでもエタるな』『こんな展開が見たい!!!』『これなんやねん!』『こんなキャラ出せ!』『更新止めるな!』

と思って頂けた方は、感想欄に希望やら疑問やらを投げつけたり最後に『ブックマーク登録!!!!!!』をして、このページの下にある評価欄から『評価ポイント!!!!!!!!』を入れて頂けると、「出版社からの待遇」が上がります! 特に、まだ評価ポイントを入れていない方は、よろしくお願い致します!!!



↓みんなの元気を分けてくれ!!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
\デデドンッ⭐/
「底辺領主の勘違い英雄譚」発売中。漫画やってます❗
「貧乏令嬢の勘違い聖女伝」も発売。こちらも漫画やってます❗
↓画像をクリックすると書報ページを経由してAmazon予約ページに行けますよ~⭐
「底辺領主の勘違い英雄譚」の表紙~!
「貧乏令嬢の勘違い聖女伝」のソフィアちゃんで~す!
最新作「【悲報】「やめてくれ、強いのは俺じゃなくて剣なんだ……!」 ~魔剣に身体を奪われた俺。正気のフリして『悪を赦さぬ断罪者』を名乗ったら、SSSSSSランク犯罪者や魔物の始末を任されまくってしまう……!~」もどうぞー!
― 新着の感想 ―
[一言] ヤンキー学園バトル小説だったかー
[良い点] 今回も面白かったです。 激しい戦いの末に気持ちの良い掛け合いで締めるのが良いですね
[一言] 完結? 10000000話まで続けるって言ってました。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ