159:VS『偽ユーリ軍団』!
殺すぞ、殺すぞ、殺すぞ、殺すぞ! 敵は一匹残らず殺すぞッ!
俺はギガ太郎の上に立ち、殺意のままに指示を出す。
「いけーっギガ太郎! 歯向かう奴らは皆殺しじゃーーっ!」
『グガガァ~~~!』
殲滅の輝き『ジェノサイド・セブンスレーザー』を放ちながら、ギガ太郎は時計塔を中心に首を回した。
それによって全方角から迫ってきていた地獄鳥の群れが、次々と光に飲まれて爆散していく。
ワハハハハッ、気持ちいいぜ!
「よーしまだまだぁっ! サモンテイマー部隊、もう一度頼むぞー!」
地上に向かって手を振れば、すでにそこにはサモ仲間たちが待機していた。
顔を見合わせ頷き合う。
『必殺アーツ発動ッ、「絆の革命契約」――!』
再び紡がれる顕現時間延長の奥義。
それによってギガ太郎は実体を保ち続け、好き放題にレーザーを放っていく。
「うし、空の奴らを排除したら次は地上だ! さぁギガ太郎、もうひと頑張り――」
と、そこで。俺は背後より灼熱の気が迫るのを感じた。咄嗟に七枚のシールドを展開した瞬間、そちらの方角から『殲滅の七光』が差し迫った――!
「っ、これは!?」
最上級の盾の群れが軋んでいく。
この破壊力は……この純白の輝きは、間違いない。
やがて光が収まった後、俺は攻撃の飛んできたほうを睨んだ。
そこには、赤き霧を背にするようにして……、
『――ウガァァアアアアーーーッ!』
超巨大樹龍『ギガンティック・ドラゴンプラント』。
俺のギガ太郎と同種の個体が、遠方に聳え立っていたのである……!
「ははっ……ついに巨大モンスターまでモノにする奴が現れたか……!」
もはやパクりとは笑えない。あのモンスターを仲間にするために、どれほど苦労したことだろうか。
それに、
「ギガンティック・ドラゴンプラントを仲間にするには、強さだけじゃなく隠し条件も突破する必要がある」
芋虫モンスターを仲間にしまくって食べさせること。それでようやくあのモンスターは仲間になるのだ。
それを、女神側のプレイヤーが一人でも解明したってことは……!
『ウゥウウウウウウガァアアーーーーーッ!』
かくして次瞬。六つの方角より、さらに聞き覚えのある咆哮が上がった。
大地が割れて頭が飛び出す。七つの花弁が天に咲く。
その光景に、俺は「やってくれるぜっ!」と笑ってしまった。
「――ギガンティック・ドラゴンプラント、豪華七体セットとか予想外過ぎるだろ……っ!」
七体のドラゴンがこちらを睨む。合計四十九の花弁が、破滅の光を収束していく。
これがネットゲームの恐ろしいところだ。自分だけが持っていたアドバンテージも、いずれは暴かれ、解明されて、他の者たちも取得していく。
難易度なんて関係ない。魂に火が付いたゲーマーは不死身だ。何度も何度も何度も挑戦と死を繰り返し、いずれは成功を勝ち取って見せるだろう。
その証拠たる光景が、いま目の前に広がっていた。
「まったく困った限りだぜ……。これからはみんなギガ太郎を手に入れていくのか。地獄だな」
『ウウウウウウウーーーーガァアアアアアアーーーーーーーッ!』
全包囲に立つ樹龍たちが唸った。いよいよ一斉に破壊光を放つつもりだ。
ああ……さらに敵の脅威は終わらない。邪炎に輝く地獄鳥『キメラティック・ジェノサイドバード』の群れが、再び全方位から羽ばたいてきた。
何もおかしなことはないか。あいつらは素材さえあれば生み出せる人工生物だ。【禁断召喚】には一度に一匹しか召喚できないという縛りがあるが、ストックできないルールはない。あらかじめ無数に用意しておき、やられたら次を放てばいい話だ。
『ウギガァァアアーーーーーッ!』
『ピギャァアアーーーーーーッ!』
生物兵器の群れが吼える。巨大樹龍どもが艦砲のごとき花弁を向け、地獄鳥どもが特攻兵器となって空を駆ける。
目を凝らせば、ドラゴンプラントたちの頭部に白装束の者たち『偽ユーリ軍団』が集まっているのがわかった。
そいつらの手元が魔力光に煌めく。何をしているのか、サモナーの俺には一目瞭然だ。
「あいつら……駄目押しとして、威力強化の支援魔法『ハイパーマジックバースト』まで使いやがったな……!」
発射寸前の花弁がさらに激しく輝いた。闇の翼が爆発するほどに燃え上がった。奴らは完全にイベントを終わらせる気だ。
そして――いよいよ攻撃の時は来た。
七体分の破壊光が一気に放たれた。地獄鳥の群れが最後の加速を行った。
まさにやりたい放題だ。純白のローブをはためかせ、敵の『ユーリ』たちが魔王のごとく笑っているのが見えた。
「ははっ……本当に、やってくれるぜ」
破滅を前に小さく呟く。
ああ、これは相手が全力で努力しまくった結果だ。
たとえ俺の後追いだろうが、ここまで苦労したことだろう。数日前の前哨戦からさらに高めたクォリティに拍手だ。
もう誰も、お前たちを偽物とは呼ばないだろう。お前らの気合は本物だよ。勝ち誇れ。
――だがしかし、
「なぁ。地道な努力や気合とか、『お前』は心底嫌いだろう?」
勝ち誇ったその顔を、絶望に変えたくなるだろう?
そう問いかけた瞬間――『キヒヒヒッ! よくお分かりでぇッ!』と、邪悪極まる少女の声が響き渡った。
かくして結果は捻じ曲がる。
絶対的なる樹龍の烈光は、『無敵』の肉体に弾き飛ばされた。
万死極まる地獄鳥たちは、『不死』の者らに次々と殴り堕とされていった。
“なっ、なにぃーーーーーーッ!?”と、偽ユーリ軍団が瞠目しているのがわかった。
そんな彼らに向かい、邪悪なる王が高笑う。
『ギヒャヒャヒャヒャヒヒハァ~~~ッ! 悦いですねぇ~ッ、遠くからでも分かるあの絶望の雰囲気ッ! 勝利が敗北に変わるドッキリを、皆さま楽しんでいただけましたァッ!?』
俺の側へと現れたピエロ姿の少女人形。彼女が指先を手繰るたびに、魔力の糸が複雑に動き、十二のヒトガタが超速で敵を屠っていく。
彼女こそ……いいや彼こそ、EXボスモンスター『魔道王ヴォーティガン』。
十二の不滅人形を操る、ルール破りの使い魔だ。
彼はケタケタと笑いながら俺に絡みついてきた。
『人が悪いですねぇ王様。確殺しにきた相手に、不死の人形兵を持つワタクシをぶつけるとか!』
「ハッ。うるせーよ、王様。俺はお前みたいに嫌がらせが好きなんじゃない。ただ、勝つのが好きなだけなんだ――ッ!」
『アハぁッ!』
最新最凶の使い魔と笑い合う。
さぁ、覚悟しろよ偽ユーリ軍団。お前たちが未だ掴めていない力を、全力で魅せてやるからよぉ……!
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