149:災禍氾濫
「さぁ魔王軍ッ、街を奪うぞ!」
『オォオオオオオーーーーーーッ!』
魔法使い部隊を排除した俺たちは、『始まりの街』に雪崩れ込んだ。
内部は惨憺たる有り様だ。いくつもの建物が崩れ、多くの者が下敷きになっているのが見えた。
クトゥルフが死ぬまで暴れてくれたおかげだな。魔法使い以外の女神側プレイヤーたちも大打撃を受けたようだ。
しかし、
「――数ならばこちらが上だッ! 怯まず応戦せよォオオーーッ!」
『ウオオオオオオオオーーーーッ!』
それでもまだまだ多勢に無勢。
敵軍のほうが未だに多く、無事な者たちが一気に押し寄せてきた。その中には当然、量産型の俺と思しき者やザンソードのコピープレイヤーも紛れている。
あと何人か頭をツルツルにした格闘家らしき者もいた。たぶんスキンヘッドのコピーだと思うが、髪型まで真似る必要はねーだろ……。
「ともかくここは、切り札の使い時だな」
こちらの軍に余裕はない。アリスたちの攻撃を受け、数えきれないほどの者が命を落としたからな。まともにぶつかったら今度こそ全滅だ。
ゆえに、ジョーカーの一つを切らせてもらうぜ。俺は敵軍に飛びかかると、奴らに向かって手を突き出した。そこから巨大な召喚陣を出現させる。
「クトゥルフの次はこいつだ。【巨獣召喚】! 産声を上げろ、『死滅凱虫アトラク・ナクア』ーーーッ!」
かくして次なる怪異が顕わる。
俺の呼び声に応え、漆黒の超巨大蜘蛛が召喚陣より出現を果たした。
――なおその場所は、敵勢力の頭の上だ。
「うっうわあああああああああ!?」
ズシィイイーーーーッ! という音が街に響く。
それと同時に舞い散る鮮血。アトラク・ナクアことアーちゃんに潰され、多くの敵兵が押し花となった。
だがまだだ。アーちゃんの真価はここからだ。
『ギシャァァアアアアアーーーーーッ!』
叫びと共に身を震わせるアーちゃん。
すると、全身に生えた体毛が……否、黒き鎧のボスモンスター『アーマーナイト』が次々と湧き出していった。
体液を纏いながら地上に降り立つ魔の軍勢。一瞬にして千人規模の大隊が出現を果たす。
そしてッ、
『アーツ発動ォッ! 「魔剣招来」ッ!』
『キシャァアアアアーーーーーーーーーーーーッ!!!』
まだまだ脅威は終わらない。
何千体もの鎧騎士が、さらに何千体もの武器の悪霊『リビング・ウェポン』を召喚させたのだった……!
圧倒的なる軍勢形成能力。これがアーちゃんの恐ろしさだ。生み出された大勢力は女神側へと襲い掛かり、阿鼻叫喚の地獄を作り上げていく。
「あっ、慌てるな! あのデカ蜘蛛はともかく、他は序盤のモンスターだっ!」
「低レベルプレイヤーは後ろに下がれ! アレに飲まれたら終わりだぞっ!?」
「本体のデカ蜘蛛が消えるまで耐えきるんだっ」
大襲撃に抗う敵プレイヤーたち。
滅多刺しにされて死ぬ者も多いが、冷静に対処できている者も多かった。アーちゃんの脅威は一度、ペンドラゴンとの見せ札合戦で披露したからだろう。
十秒間耐えればいい。【巨獣召喚】で呼び出された魔物は十秒で消えるのだからと鼓舞し合い、必死に猛攻を凌いでいた。
――だけど悪いな。
「その希望を打ち砕いてやるよ。出番だッ、テイマー部隊ッ!」
『オォオオオーーッ!』
呼び声に応え、モンスターを従えた者たちが前に出る。
彼らのジョブは『サモンテイマー』。サモナーが25レベルになった際に進化できる派生職だ。
その能力はテイム特化。魔物を仲間に出来る確率が増え、また魔物の強化や回復も得意としている。
「俺が選んだ『ハイサモナー』とは対を成すジョブだな。これまでは目立ってこなかったが……」
そんな者たちが姿を見せた瞬間、敵兵の一部が顔を青ざめさせた。
「しっ、知ってるぞ! あいつらの必殺アーツって、たしか!?」
「全力で奴らをぶっ殺せぇえええーーーーーっ!」
テイマー部隊を襲わんとするが、黒き鎧と刃の群れが彼らの足を食い止める。
さぁお膳立ては整った。敵の魔法使いたちは死滅し、弓兵らの矢は一度に多くを攻撃できない。テイマー部隊を邪魔する者は何もない。
巨大蜘蛛『アトラク・ナクア』の召喚から十秒近く。消え去り始めたアーちゃんに向かい、彼らは一斉に魔力を放出した。
『必殺アーツ発動ッ、「絆の革命契約」――!』
その瞬間、アーちゃんの存在が新生を果たす。
霧散しかけていた肉体が、再び輪郭を取り戻したのだ。
これが彼らの必殺アーツだ。その効果は、巨大モンスターの存在時間を3秒だけ伸ばすというもの。
一聞すれば大変地味な必殺アーツである。しかもハイサモナーの『滅びの暴走召喚』と同じく、こんな効果で一時間に一度しか使えないのだ。
そもそもからして巨大モンスターのテイムも難しく、ゆえに産廃アーツと思われてきたのだが――、
「この技の対象は『テイムされた巨大モンスター』。つまりは自分以外の使い魔にだって使えるんだよ。さらにッ、効果の重複制限は一切なしだ!」
『ギシャァアアアアアアアアアッ!』
蜘蛛の怪異が歓喜の叫びを張り上げる。
まさに契約の革命だ。十秒までしか存在できないという縛りから放たれ、十五秒、二十秒、三十秒、一分と、アーちゃんは好き放題に黒鎧を生み出しまくる。
それでもまだまだ消えはしない。数十名の『サモンテイマー』から支援を受けたことで、三分以上はこの世に留まり続けるだろう。
「所詮は三分。カップラーメンが出来るまでの時間だ。だが、俺のアーちゃんの三分はデカいぜ?」
――その間に、何十万匹の使い魔が生まれるだろうなぁ?
そう問いかけた瞬間、敵軍の心が粉々に砕ける音が響いた……!
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