133:発見ッ! 謎の無人島ッッッ!
「さぁヤリーオにクルッテルオッ、大冒険の始まりじゃああああッ!」
「「うわぁああああああーーーーーーーーーっ!?」」
大戦争まであと二日ァッ!
俺はヤリーオとクルッテルオと共に、『ファイヤーバード』に乗って中空を翔けていた!
「よしチュン太郎ッ、さらに加速しろ! 強化魔法『スピードバースト』ォ!」
『ピヨォオオオオオーーーーーーッ!』
爆速で天を征く『ファイヤーバード』ことチュン太郎。
俺と一緒にいたことで今やレベルは70を突破し、そのスピードも爆上がりだ。必死で組み付いてないと風圧で吹っ飛ばされそうになる。
だけどちんたらと飛ばしているわけにもいかない。
「あぁッ、あそこで飛んでるのってユーリじゃねえか!?」
「ぶっ殺せー! 撃ち落とせ魔法使いッ!」
「弓使いも打ちまくれーーーっ!」
下から飛んでくる魔法レーザーや矢の嵐。
地上にいる女神側プレイヤーたちの仕業である。先日の虐殺パレードによって向こうも殺気立っており、今やお互いに顔を合わせたら殺し合う状態だ。
俺はチュン太郎に回避させながら、空から【武装結界】で爆殺武器を飛ばしまくって敵を殲滅するのだった。
「わははっ、よし死んだー! この殺し方も戦闘機みたいで楽しいな~!」
「うひぃいいい……道中からして派手すぎるっす……!」「シャキっとしなさいヤリーオ! ユーリを見習うって決めたでしょっ!」
グロッキー気味な地味槍使いのヤリーオと、そんな彼の背中をパシパシ叩くケモミミ女のクルッテルオ。なんだか姉弟みたいなコンビである。
――そもそもどうしてこいつらと旅することになったかというとだ。
いつものごとく元気にログインすると、この二人がやってきて深々と頭を下げてきたのだ。
彼ら曰く、『いつまでもやられっぱなしは嫌だ。強くなるために修行をつけてほしい』とのこと。
……まぁたしかに、一応はトッププレイヤーの二人だけど、すごく強いかと言われたらウーンって感じだもんなぁ。そんな願いをしてくるのも納得だ。
というわけで、俺はこいつらと臨時パーティーを組むことになったわけである。
「つってもお前ら、俺ってば指導なんてほとんどしたことないぞ? それに大戦まで二日しかないわけだしさぁ……」
「いいんすよ、『ユーリ師匠』ッ! アンタの背中をただ見せてくれれば!」
「むっ、ユーリ師匠だと……!?」
な、なかなか素晴らしい響きじゃないか……!
思わずチュン太郎にしがみつきながらニヘニヘしてしまう。
そこへヤリーオに続き、クルッテルオも必死な表情で訴えてきた。
「私も同じくよ。自慢じゃないけど私とヤリーオ、出来る限りのオリジナルアーツは覚えたしレベル上げもきっちりしてるもの。それでも負けることが多いとなれば、もう意地や根性の問題でしょ……っ!
だから『ユーリ師匠』、今日はアナタの戦う姿を見させてちょうだいっ!」
「おふっおふっ、ユーリ師匠……!」
や、やっぱりイイ響きじゃねーかコンチクショウッ!
「よぉーしお前らの気持ちはよく分かった! それなら全力で暴れてやるから、ちゃんと見ておくんだぜっ!?」
「「やったー!」」
機嫌がよくなった俺は、チュン太郎に上級強化魔法『ハイパースピードバースト』をかけてさらにぶっ飛ばさせるのだった!
あ、ヤリーオが飛ばされた!
◆ ◇ ◆
「――で、ここどこだよ?」
「「ホントにどこぉーっ!?」」
それから数分後。俺たちは無人島に到着した……!
というのもあれだ。
実は一回目のアップデートのとき、『ファイヤーバードのような騎乗可能な飛行モンスターは、五分しかプレイヤーを乗せれない』って縛りが設けられてたんだよなー。
それをすっかり忘れていたせいで、召喚から五分後にチュン太郎が消失。
そのせいで俺たちトリオは見事に落下することになったうえ、下はなんと荒れ狂う河だった。
そっから激流の中を流されまくって滝から落とされて、さらに下流を強制ウォータースライダーしまくることになって、しかもしかも海に飛び出すことになった俺たちを待っていたのは、巨大な渦潮だったのだ……!
あとはもう洗濯機状態だ。
みんなで『ギャアアアーーーーーッ!?』と絶叫を上げながら渦に飲み込まれ、気付いたらどっかの島の海岸に流れ着いていたのだった……!
「いやぁーなんか知らねーけど大変なことになっちまったなー。マジでここどこだよ?」
全身ずぶ濡れになりながらあたりを見渡す。
鬱蒼とした木の茂った自然豊かな島だ。でもなんかあちこちの木々の隙間から、ガオーとかギュオーとか変な鳴き声が聞こえてくるんだよなぁ。なんかいるのか?
「おらおらっ、見てないでかかってこいよ!」
そうして俺がシュバシュバとパンチを繰り出していると、ふいにポーンッという音が響いた。
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・ワールドニュースッ!
おめでとうございます! ユーリさん、ヤリーオさん、クルッテルオさんが、隠し高難易度エリア『ヴォーティガン王の呪い島』を発見しました!
このエリアのモンスターのレベルは『侵入プレイヤーの平均レベル+15』に設定される上、侵入してきたプレイヤーたちに強制的に呪いがかけられます。
全員の全ステータスが半分になりました。
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「「って、モンスターレベル+15!? 全ステータス半分ッ!?」」
抱き合いながら悲鳴を上げるヤリーオとクルッテルオ。本当に仲がいい二人だぜ。
……にしても渦潮に飲まれた時はどうなるかと思ったが、まさかこんなところを見つけちまうなんてなー!
「へへっ、隠し高難易度エリアとかワクワクするじゃねーかよ! 壊れボス『死滅凱虫アトラク・ナクア』に出会えたことといい、俺ってば運がいいよなぁ~!」
「う、運がいいとは一体……!?」「え、いつもこの人こんな無茶苦茶な冒険してるのぉ……!? これから私たち、どうなっちゃうわけぇ……!?」
何やら涙目になっている弟子二人を引っ張り、俺はズンズンと島の奥へと進んでいくのだった――!
※書籍ブレスキ三巻には、クルッテルオのまさかのカラー絵が……!?
ぜひぜひAmazonの試し読みでご確認を!(ヤリーオの絵はないです)
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