121:激闘ッ、『死滅凱虫アトラク・ナクア』
「わぎゃああああああああああああああじぬぅううううううううううううーーーーーーーーーーーーッッッ!!!」
悲鳴を上げるコリンと共に、ボスエリア中を駆け回る――!
いやぁーマジであのボス頭おかしいわぁっ! 巨大さとかビジュアルとかももちろんやばいんだけどさぁ……。
「何よりもおかしいのが攻撃方法だよなぁ。なんだよ、『アーマーナイト』をガトリングガンみたいに射出してくるって……!」
『ギュギガギャァアアアァアアーーーッ!』
咆哮を上げながら巨体を震わせる『死滅凱虫アトラク・ナクア』。
次の瞬間、ヤツの全身から生えている『アーマーナイト』たちが俺とコリンめがけて降り注いできた!
「ははははは! コリン、次来るぞー!」
「ってなんで笑ってるんですかユーリさん!?」
「いやもうあんなの笑うしかないだろ! ボスモンスターを無限射出とか意味わからんって!」
両手に双剣を顕現し、涙目のコリンと共に黒鎧どもを斬り払っていく。
幸いというべきか、『リビング・アーマーナイト』自体のレベルは特別上がっていないらしい。
数十レベルの実力差によりコリンも対処できている。
――だがしかし、このままだと間違いなく押し切られるな。
『アトラク・ナクア様、守る……!』
『我らが母胎……ダンジョンの守護神……!』
『亡き魔王様の大幹部――傷付けさせないッ! アーツ発動、邪剣招来――!』
地に放たれた黒鎧たちが、虚空より無数の『リビング・ウェポン』を射出させてきた!
宙を翔ける漆黒の剣軍。それによってコリンは全身を傷付られていき、俺も斬り払うのに四苦八苦する。
「なっなっ、なんで無限に湧いたモンスターが、さらにモンスターを生み出してくるんですかぁ!?」
「あーそういえばそんな戦い方してたなぁ『アーマーナイト』。今思うと俺の戦法に近くて親近感覚えちゃうな」
「んなこと言ってる場合ですか!」
こんなんチートじゃボケーッ! っと騒ぎまくるコリン。
まぁたしかにやばいな。上の蜘蛛から黒鎧が無限に現れ、またそいつらが無限に黒剣を召喚するとなれば、倍々ゲームであっという間に億単位の軍勢の完成だ。
幸いにして野球ドームくらい広いここのボスエリアも、この調子なら数分とせず埋め尽くされてしまうだろう。
「うぅ……こんな相手ならもっと速攻で攻めておくべきでしたね……! どんどんフィールドが敵で埋まっていってますし、もうわたしたち詰んでたり……?」
「ハッ、馬鹿言え。むしろここからが練習になるんじゃねぇか……ッ!」
「なっ、練習!?」
そう。どうせ俺たちは五日後に十万人規模の大戦に参加するんだ。
だったら超大量のヒト型の群れに襲われるって経験は、これ以上ないほどの練習になるじゃねえか……ッ!
「うーし。それじゃあそろそろ反撃するかァッ! なぁマーくん、兄弟たちをぶっ殺しまくるけど構わねぇよなぁ?」
ブーツに宿った俺の戦友、『アーマーナイト』のマーくんに呼びかける。
思えばあいつらとは同族同士のぶつかり合いになってしまうわけだが……。
『――ッ! ッッ、ッ――!』
“フッ、構わんよ。闇に縛られたあの連中は、我が愚かしき過日の姿だ。今や運命より解き放たれたこの私とは赤の他人よ。むしろ連中の愚昧な頭、斬り落としてやるのが慈悲であろうさ”――って感じのキザな呻きを出すマーくん。
相変わらずカッコいい奴だぜ。俺は誇り高き戦友に、「わかった!」と力強く頷き返したのだった。
「っていやいやいや……何がわかったんですかユーリさん? えっ、もしかして今の変な鳴き声の意味が分かるんですか!?」
「当たり前だろうがコリン。言語の違いなんて問題ないさ。真剣に聞いてやれば、ちゃんと想いは汲み取れるんだよ」
「えっ、でもタクシー代わりに使ってたウル太郎さんが『ウォンウォンオーンッ!』って鳴いてた時、『何言ってんだお前?』って首捻ってませんでした?」
「そりゃ意味わからんて。どうせワンちゃんだしテキトーに鳴いてただけだろ」
「ってウル太郎さんの言葉もちゃんと真剣に聞いてあげてッ!?」
元気に騒ぐコリンを背に、俺は武装を大鎌へと持ち替える――!(※ちなみに後日ウル太郎の言葉を聞いてみたら、『お散歩楽しい』『お肉食べたい』『交尾したい』とかそんなんでした。やっぱ犬だわ)
さぁ、一気にいくぜッ!
「獄道呪法『断罪の鎌』ァーーーーーッ!」
敵軍めがけて飛びかかりながら振りかぶるッ!
その瞬間、邪悪な光が鎌から溢れ、巨大な刃となって『アーマーナイト』どもを両断した――!
『ギギャギィイイイッ!? ギグガァーーーーーーッ!』
手下がやられまくったことに怒ってか、咆哮を上げる巨大蜘蛛。
ヤツは全身の黒鎧を戦慄かせ、俺に向かって大量射出してきた!
漆黒の鎧たちが雨のごとく降り注ぐ――!
「いいねぇ盛り上がって来たぜぇッ! いくぞマーくん、モンスタースキル『瞬動術』発動!」
『ッッッ――!』
魔光を放つ俺の両足。五秒間の間、移動速度を十倍にするマーくんの特殊能力だ。
さぁて準備完了。ガンガンいくぜぇッ!
「特殊行動アーツ発動ッ! 『八艘飛び』!」
かくして俺は風の速さで天へと翔ける――!
墜ちてくる黒鎧たちよりも何倍も速いスピードで、ヤツらを足場としながら一秒に八回の大跳躍を遂げてみせる。
これが特殊行動アーツ『八艘飛び』の能力だ。
攻撃力は皆無ながら、発動後に八回のみ驚異的な跳躍力を発揮できるようになるのだ。
それによって俺は、一瞬にして天蓋の巨大蜘蛛の眼前へと跳ね上がった。
ヤツの巨大な八つの赤目と視線がかち合う。
『ギュギガァアアッ!?』
「よぉ隠しボス。上からずいぶん手下どもをぶん投げてくれたじゃねーか?」
――つーわけで俺からもお返しだッ!
「今度はテメェが俺の手下を世話してくれよッ! 必殺アーツ『滅びの暴走召喚』発動ォオーーーッ!」
『『『グガガァアアアアアアアアアーーーーーーーーーーーーーーッッッ!!!』』』
巨大蜘蛛の眼前に現れる暗黒魔法陣。そこから顔を覗かせた百体もの凶悪モンスターたちが、叫び声を上げながら『アトラク・ナクア』めがけて飛びかかっていった!
無数の黒鎧を生やしたヤツの体表にモンスターたちが組み付き、爪や牙を巨大蜘蛛へと突き立てる!
そして、
『ギュゥウウウウガァーーーーーーーーーーーッ!?』
モンスターどもの総重量にたまらずヤツは完全屈服。
哀れな悲鳴を上げながら、『死滅凱虫アトラク・ナクア』は地面めがけて落ちていったのだった……!
コリン「秒で攻略したんですけど……」
大くも「秒で攻略されたんですけど……」
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