110:激闘ッ、裏切りの魔剣士マーリン!
「さぁ行くわよッ! 『サンダー・エンチャント:スーサイドボルト』!」
雷を纏いながら駆けてくるマーリン。
付与呪文の効力か、大剣を持ちながらもその動きは素早い――!
「だったらこっちはホーミング武器だ! さぁ行けッ、ポン太郎軍団ッ!」
『キシャシャーーーッ!』
弓を握り締め、数本の矢を一気に射出する!
元祖おなじみのシャドウ・ウェポンが憑いた矢だ。命中率補正スキル【魔弾の射手】の能力も合わさり、生きた矢の群れはマーリンに殺到していく。
さぁどうする。威力のほうもダメージアップスキルの山で折り紙付きだぜ?
「フッ、甘いわよッ! ウェポンスキル発動ッ、【飛行】封断ッ!」
『キシャーッ!?』
叫びと共に大剣を振り回すマーリン。その刀身にポン太郎たちが触れた途端、いともたやすく弾かれていく。
決して軽い攻撃ではないのに――まるで運動エネルギーを失ったかのように……!
「さっき叫んだ【飛行】封断って、まさか!?」
「そうッ! アタシの愛剣『クラレント』はね、攻撃のヒットと同時に指定したスキルを一瞬無効化できるのよぉッ! そしてッ!」
背後へとその大剣を振りかぶる。それによって、マーリンへと飛び掛からんとしていたウル太郎が斬られた!
両断されるほどの傷ではないが、ウル太郎の動きがビクッと止まり――、
「付与呪文の力によって、麻痺を与えることもできるの……! さぁ、お眠りなさいウル太郎ちゃん」
『ギャウゥゥウゥウウゥ……っ!』
痙攣しながらうずくまるウル太郎。悔しげな鳴き声が洞窟と新エリアの合間に響く。
「なるほど……もしも俺が斬られた場合、食いしばりスキルの【執念】を封印されて終わりってわけか。ならば使い魔の肉壁を山ほど出そうにも、そっちは麻痺らせて対処と」
「ええ、いい戦術でしょう? ちなみにコリンちゃんが使っていた『フツノミタマ』と違って、『クラレント』は威力もあるからご注意よんっ♡」
ははっ、そりゃ上等なことだ。
だがしかしだ。ちらりと聞けば『フツノミタマ』の上位互換に思えるが、実際にはどっこいどっこいってところだろう。
なにせコリンの霊刀は一発で3つもスキルを封印してきやがったからな。しかも3分間も封じるとか、威力ほぼゼロのデメリットに相応しい力を持っている。
対してヤツの『クラレント』は、斬った瞬間にスキル名を叫ばなきゃいけないわけだから、相手がどんなスキルを支柱としているか知っておかなきゃいけないわけだ。
弾かれたポン太郎たちが『キシャシャ~……!』と泣きながら飛んできているのを見るに、封印時間が短いのもマジなんだろう。
「相手を知らなきゃ使いこなせない……まさに情報屋の武器としてピッタリだな。そこは嘘じゃなかったのか」
「ええ。噂話集めに謎解きや考察は本当に大好きよん。アナタに吐いた嘘は、『ピンコ』っていう可愛い偽名くらいだわんっ♡」
「そうかよ――ネーミングセンスねぇなオイッ!」
俺は双剣を手にすると、ヤツ目掛けて斬りかかった!
その行動に「えッ!?」と驚くマーリン。長々と愛剣の危険さを語ったところに攻め込んできたのだ。そりゃあビックリするだろうさ。
「スキル発動【武装結界】。さぁ、いくぞ武器たちよッ!」
「なッちょっ!?」
顕現させる七本の武装。それらを合わせて合計九本の刃を以って、マーリン相手に攻め立てる!
「オラオラオラオラァアアッ! ぶっ殺してみろやッ、ペンドラゴンの手先がァアアッ! 弓使い相手に近接戦で負けんのかアァンッ!?」
「いや絶対にこれもう弓使いの戦い方じゃないしぃッ!?」
必死で大剣を振り回すマーリン。明らかに俺よりも上位の剣術を持っているようだが、だからどうしたという話だ。
俺は覚えたての勢い任せな剣術を、絶えず射出する七本の武器によって補強する――!
「これが俺の新剣術じゃぁッ! たとえ俺本体の腕が未熟だろうが、同時に九回斬りかかってりゃ相手はそのうち死ぬんだよォッ!」
「それもう剣術ですらないしッ! くッ、文字通り手が足りない――ッ!?」
亜空間から射出される魔剣や魔槍に身を裂かれ、ヤツの顔色が青黒く変色する。
どうやら毒属性の武器に当たっちまったようだな。装飾品で守っているのか麻痺や氷結は起こらないが、それだけだ。
「装飾品の数は三つ。防げる状態異常もそれで限られてくるからな。んじゃ、このままトドメといこうか……!」
「クソッ、ストーリーも知らずにバトルばっかやってただけあって強すぎる――ッ!?」
焦った表情で後退するマーリン。常時発動状態の雷属性付与により、目にも止まらぬ速さで走り去らんとする。
だがしかし。
「もしかしてお前、俺から逃げられると思っていたのか?」
「えっ――なぁッ!?」
そこでヤツはようやく気付いた。
新エリアに繋がる扉の前……ちょうど自身の足元となるところに、一枚の呪符が置かれていることを。
それは一気に闇色の炎を放ち――そしてッ!
「焼かれた獣の気分を味わえッ! 畜生道呪法『禁断の猛火』ァッ!」
「ぐッぎゃぁあああああああああああああああああああーーーーーーーッ!?」
ここに顕現する邪炎の檻。指定した個所を『獄炎地帯』と『魔力暴走地帯』に変える極悪アーツが発動する。
それによってマーリンは全身を焼かれただけでなく、これまで自身を強化していた付与呪文が暴走を開始。
激化した雷撃により、ビクンビクンッと自らの術で感電し――、
「ぁ……アタシの、負けだわ……」
――かくして、新天地を前にしたバトルに決着をつけたのだった。
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