2話 守られる、守る
転生は、次話です。
私、坂之上美雪は学校で一番人気の男の子と一緒に歩いている。金子勝谷と一緒に、だ。
彼は、女子に人気で、気遣いが出来るとか、可愛いとか、優しいとか、可愛いとか、女の子みたいとか、可愛いとか、むしろ女子より乙女とか言われている。
女子からの好意を独占しているからなのだろうが、男子からは嫌われている。女装すんなよ、なんて馬鹿にされているところを何回見たか・・・。半分いじめのようなものを受けている。私にとっては都合が良いから気にしていないが。
そんなこともあって、本人は、嫌われていると思っているだろう。
私は、彼の事が大好きだ。可愛いし、優しい。彼と一緒にいるときだけは、優しく、明るく見えるように話している。好かれる為だ。この前も、勉強を口実に私の家に誘って、生着替えを見せたのだが・・・全く反応が見られない。やはり私の事は、姉のような存在としか見ていないのだろうか。少し悲しいが、それでも良い。私には名案があるのだから。
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「ありさん、かわいそうだよ。」
公園で遊んでいると、そんな声が聞こえた。
「うるせぇ!チビ!どっか行け!」
「でも・・・」
「あ!?何だよ?」
蟻の巣に気の棒が刺さっている。それを注意されたのだろう。9歳くらいの男が、私よりも小さな背の男の子に向かって、殴るような体勢を見せる。
「えーとね、わたしのパパがね、けいさつだって言ってたんだけど、そこのお兄ちゃん、どうおもう?」
「はぁ!?そんなわけねえだろ・・・」
と、最後の方は聞こえないくらいの声で言い。ひきつった顔で、去っていった。
「お姉ちゃん、たすけてくれてありがとう。こわかったよぅ・・・」
「う、ん・・・かわいいな。」
「ふぇ?お姉ちゃんなにかいった?」
流石に聴こえないように言った。良かった、かわいいな、なんて聴いたら困ってしまうからな。
「それより、君の名前はなあに?」
ちなみに、普段はこんな話し方はしない。
この子が可愛いから、嫌われたくないから、優しく、明るく見えるように話している。今言った言葉だって普段ならば、「君、名前はなんだ?」なんて、がさつな言い方をする。
「かつや。金子勝谷。お姉ちゃんは?」
「子猫ちゃんみたいな苗字だね。私は、坂之上美雪って言うんだよ。」
「じゃあ、ゆきお姉ちゃんで。あ、ねえねえ、ゆきお姉ちゃんのパパってけいさつなの?」
「いや、違うよ。さっき言っていたのは、子猫ちゃんを守るためについた嘘なんだよ。勘違いさせちゃったね。ごめんね。」
怖がらせないように、最高に口角を上げて、柔らかい声で話している。お陰で心を開いてくれているようだ。
「いや、だいじょうぶだよ。おかげでたすかったよ、ゆきお姉ちゃん。」
顔の横で握り拳を見せながら、まんじゅうがにこにこしている。なんと、愛らしいのだろう。それに、嘘をついた私を許し、蟻のために立ち向かうなんて、優しい心を持っているんだな。
あぁ、可愛い。優しい。好きだ。この子が好きだ!もう誰にも渡さない。
そうだ、私がこの子を守り続けて、私がいなければ生きていけない、なんて思わせる事ができたら、一生この子のことを見ていられるかもしれない。もしかして、必要とされ過ぎて、結婚をさせてくれるかもしれない。
よし!子猫ちゃんは私が守り抜く。
傷なんてつけた奴は、半殺し。
敵意を見せた奴は、半殺し。
大怪我なんてさせた奴には、産まれてき
たことを後悔するくらいのお仕置きが
待っているぞ!
「お姉ちゃんと一緒に遊ぼっか。」
「うん!」
これが子猫ちゃんとの最初の出会いだ。
そして、私が「守る」という名案を思い付いた時でもあり、私が子猫ちゃんを守ると決意した日でもある。
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子猫ちゃんと一緒に歩くと、周りから視線が刺さる。何で男子が見てくるのか分からないが、女子からは、
「勝谷くんと一緒に居るの誰よ!?」
「生徒会役員の坂之上先輩だよ。」
「何で先輩が勝谷くんと一緒に居るのよ!」
「小さいときから一緒に居るらしいよ。酷いよねえ。私から勝谷くん(アイドル)を奪うなんて。しかも、学校の男の大半を虜に・・・」
最後の方は聞こえなかったが、こんなことを言われている。
校門を出て、何気無い会話を交わしていると、ある子供が目に映った。
足が勝手にうごいていた。トラックに轢かれそうになっている。危ない、轢かれる、と思いながらも、全力で足を動かした。ドンッ!っと子供を突き飛ばしたが、私は確実に轢かれるだろう。
あぁ、ずっと子猫ちゃんと一緒にいたかったな。最後にご尊顔を拝んで逝こう。
後ろを振り返る。すると子猫ちゃんに押され、くの字になった直後、ダンッ!っと衝撃が来た。天と地がひっくり返ったのだろうかと思うほどだった。
最後の最後で私を守ろうとするなどと、なんて優しい子なんだ。守ると決めたのに・・・守れなかった。
あぁ、もう私にはチャンスはないのか・・・
「かつやは・・わたひあ・・まも・・・ぐふぅっ!」
それが、私が薄れゆく意識の中で言った最後の言葉だ。
次は、やっと転生です。




