表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/22

糸口はどこだ

「……ん、ちゃん!」


なにか声が聞こえる。それと耳の辺りをぺちぺちと叩かれている気がする。


「白ちゃん! もう着くよ! 学校!」


目を覚ますと、志希が私の頭をぺちぺち叩きながら私に声を掛けていた。


「ご、ごめん! 割と本気で寝ちゃってた!」


私は垂れていたヨダレをすすりながら拭……………え。


見れば、志希の肩がちょっと濡れていた。


「……ごめん」


「気にしてないよ、大丈夫大丈夫! さ、降りよ」


………なにかお詫びをした方が良さそうだ。帰りにラーメンでも奢ろうかな。



その日の授業も無事終了───と言いたいところだが、私はちゃんと寝ていたので授業で何やったかわかんない。あとで志希にノート見せてもらおう。やはり持つべきものは友だ。


私と志希は部活には所属していないので、学校の授業を終えたその足で幽鬼の探偵事務所に向かう。ちなみに、滝は剣道部で綾は弓道部らしい。

雑居ビルの、いつもの扉を開ける。いつものベルが鳴る。


「よー。そろそろ来る頃だと思ってたぜ。異変解決までは毎日のように来るしな、オマエ」


見透かされてた。でも今日はお父さんからの伝言もあるし、仕方ないというものだろう。


「お父さんの方でも情報集めてくるから、期待しないで待ってろってさ」


「ハハハ!! さすがはリョージだ、話が分かるなー」


そう言って幽鬼は声高に笑う。あまり見た事のない表情だ。


「アイツが『期待せずに待ってろ』っつーときは大体なんか手がかりがある時だからな。期待しながら待つとするか」


お父さんの性格を把握している辺り、やっぱり幽鬼とお父さんは古くからの知り合いなのだろう。そういえば言ってなかったけど、お父さんの名前は「天木(あまき)遼二(りょうじ)」だ。だから幽鬼も「リョージ」と呼ぶ。まぁどうだっていいか。


「さて、現場見たけど特に何もわかんなかった訳だしなー。こっからどーすっか」


「私もちょっとSNSとかで調べて見たけど、滝が言ってた『健康被害が出た』くらいしか情報はなかったなぁ」


幽鬼はそうかと期待してすらなかったかのように言うと、志希を見た。


「黒部クンもなんもわかんねー感じ?」


「あー、はい……ごめんなさい……」


「………別に謝るこたねーんだけどな……………」


幽鬼はバツが悪そうに頭をかく。この男にも罪悪感という感情はあるらしい。意外だ。


「……なーんか些細な情報でもありゃいいんだがなー」


幽鬼はソファに腰掛けながら、組んだ足を机に乗せる。びっくりするくらい行儀が悪い。アンタ前そこでせんべい食べてたじゃん。そんな私を後目に、幽鬼は「あ」と声を上げる。


「………確証はねーけど………可能性ならあるな………」


幽鬼は何かに気づいたようだ。確証はない?どういう事だ。


「確かめようがねーことだからだよ。ただ、場所が場所だ、神社だからな。可能性なら十二分にある……天木クン」


「ハイハイ分かってるよ。お父さんに伝言でしょ」


「……オマエら親子、変なとこで勘がいーのが気に食わねーんだよな……」


幽鬼は、私にお父さんへの伝言を伝え始めた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 糸口見つけましたよ!百合です!私も百合書きたいです!(何の糸口) 女の子同士のイチャイチャって良いですよねぇ。意外にも志希×白の可能性☆ そして幽鬼と白パパの関係も…いや、無いか。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ