とある神社
「今日は来たよ。で、なんの用?」
「……ここじゃなんだから、場所変えるか」
「なら最初っから別のとこ集合にしたら良かったんじゃないの?」
「うるっさいな!! ……アタシだって今そう思ったよ…」
私たちは、駅前のカラオケに向かって歩き出した。
そのカラオケは、1時間コースと3時間コースと6時間コース、そしてフリータイムコースから選ぶことができ、また高校が近いからか、学生証を見せれば大人の半額で利用することができた。
私たちは特に歌うつもりもなかったので、1時間コースで入った。後でお母さんに、少し帰りが遅れると連絡しておこう。
「………天木、正直に言って欲しい。お前、なんか霊関係に詳しい人知ってるだろ」
「……………なんのこと?」
「白ちゃん、嘘下手ならつかない方がいいと思うよ」
私が滝から顔を思い切り逸らしながら言うと、志希に突っ込まれてしまった。解釈違い。公式との意見の相違。めんどくさいオタクの図。
「……わかった、紹介はするよ。あんたで勝手に会ってきな」
「いやお前も来いよ」
いやなんでだ。なんでそうなる。
「いやだってその……」
「うん、私が言うわ。アラは昔から人見知りが激しくて」
「うん、嘘いらない」
「……いやぁ、嘘じゃないんだけどなぁ」
いや嘘つけ。学校着くなりいきなり初対面で絡んできたスケバンもどきが人見知りなわけあるか。むしろその辺の中学生カツアゲしてそうな性格だろコイツ。
「……あら〜、バレた?」
「いやカツアゲしてんのかい」
「いやそこじゃなくてね」
人見知りが嘘ってとこか。そりゃそうか。
「でも、なんで着いてきて欲しいの? 理由が見えない」
「突拍子もない話を信じてくれそうな奴がお前しかいなさそうだからだよ」
「は?」
話が見えない。どういう事だ?
「……お前、霊が見えるんだろ? ……さっきの話で分かっちゃいるだろうが、今回はそれ絡みの事だからだよ」
「え、なんで私が霊見えるって知ってんの」
「黒部が言ってた」
「嘘でしょ」
「3日くらい前に聞いた」
「いや嘘でしょ」
「実はほんと…SNSで見かけて、困ってたみたいで」
「滝、あんた本名でSNSやってんの?」
突っ込むとこはそこじゃねえ、と突っ込まれてしまった。そうかな、突っ込むとこな気がするけど。
「荒魂さんち、神社なんだって。その神社のSNSで……」
「神社のSNSって言葉の語感の強さよ……」
でも、なんで神社のSNSで滝が困ってると分かるんだ?
「それ含めて、後で説明する。で、その霊に詳しい人のとこに案内してもらいたいんだ」
「……ここで逃げても志希に変な目で見られる気しかしないなぁ…」
私は頭を掻きながらちらりと志希を見た。そして滝に向かい合う。
「いいよ、案内したげる。……にしてもさ、志希」
私はもう一度志希を見る。
「私の事こいつに話したなら、なんで昨日、こいつを避けるのに賛成したわけ?」
「……なんか、本人見たらめんどくさい事になりそうだなぁって」
「あんた結構図太くなったね」