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三年後、王都ゴールディ…

王都ゴールディ、ここはクアトロ王が納める国。主な人種は人間だが中には亜人、獣人などもいる、しかし殆どが奴隷か田舎から出稼ぎに来た者、冒険者になり日々戦う者様々だ。貴族は人間種しか居ない。亜人、獣人は異端の目で見られているのが現状だ。

そして王都ゴールディの正門、そこで身分証の確認作業の為、長〜い人の列ができていた。その中で一際目を惹く女性が一人いた。

その女性は透き通るような白い肌、整った顔、スリムな体型、目を惹く美しい黒髪ロング、まさに絶世の美女がそこにいた。周りにいる人、男女問わず全ての人が彼女を見て思う事は「美しい」の一言に尽きるだろう。


そして、視線の先にいる本人達は…

「なんか、凄い視線を感じるんだが気のせいか?」

『いや、気のせいじゃないわね皆んな私達を見てるわ』

「やっぱりか、この顔と体型なら女性は羨ましいだろうし、男は見惚れるしな」

『そうね、貴方には感謝しているわ。ここまで完璧な女性の理想体型を実現したのだから』

「そうなのか、俺は身体を適度に運動させただけなんだがな?」


と、俺にしか聞こえないメアリーの声と会話をする。

あ、ども、カルロスです。三年の修行、もとい特訓が終わったのでメアリーの望み通りに冒険者に王都に来ました。

しかし、目立つ。まあ、この容姿なら仕方がないのかもしれないがやはり視線を感じる。男女問わずに俺達の方を見ている。

俺は早く王都に入りたいのだが列が進まない。まあ、急いでいるわけでもないのだがこの視線の中にいるのはあまり居心地のいいものではない。

(早く俺達の番が来てくれ!)

と祈るばかりである。


十分後……


ようやく俺達の番がやって来た。俺は懐からメアリーの国民証を出して兵士に渡す。国民証を渡すとまだ若い十代くらいの男兵士が緊張した面持ちで


「あ、あの、王都へ来た目的は何でしょうか?」


顔を真っ赤にして言ってくる。俺はそれを見てイタズラ心が疼いてしまい、猫を被る事にした。


「はい、私はギルドに用があってまいりました。ギルドに手紙を届けてもらう依頼をする為に王都にまいりました」


丁寧に受け答えて礼もする。どうだ、これがジャパンのお淑やかな女性というものだ!見ろ、兵士の顔が更に真っ赤になったぞ!隣にいる兵士もだ。流石ジャパンは違うなとしみじみ思う。


「ヒャ、ヒャイ!わ、分かりました。か、確認は以上です。どうぞお通りください」


噛み噛みで答える男兵士。俺は「ありがとうございます」と言って門をくぐると後ろから「バターン!」と音がしたが気にしないでおこう。今はギルドに行くのが先決だ。


『カルロス、あんたワザとやったわね。まあ、見てて面白かったけど』

「そうだろ。顔を真っ赤にしてたから揶揄いたくなってな。それで、ギルドど場所は分かるか?」

『ああ、そうね、言ってなかったわね。ギルドは正門から入って真っ直ぐ行くと正面に大きな建物が見えてくるはずよ、そこがギルドよ』


「わかった」とメアリーに言い真っ直ぐ歩いて行く。ギルドに向かう途中もずっと周りにいる人がこちらを見るが気にしない。中には、デート中だったのか俺達の姿に見惚れてる彼氏を注意する場面を何度か見かけた。

そして暫く歩くと目の前に小学校くらいの大きさの建物があった。


「ここか、メアリー?」

『そうここよ、先ずは中に入って冒険者登録しないといけないわ。登録は受け付けがあるからそこで出来るわ」

「わかった、受け付けだな」


メアリーの言う通り中に入るとそこはホテルのロビーの様になっていた。中を見て見ると

受け付け、カフェスペースがあるのが分かる。

俺達の目的は冒険者登録なので受け付けへと向かう。やはりここでも外と同じように視線を感じるが我慢するしかない。

受け付けにたどり着くが誰も居ない、受け付けの上にはベルがある。そしてベルの側に見た事が無い字で何か書いてあった。だいたい書いてある事は予想出来るが念の為にメアリーに読んでもらった。


『え〜と、『御用の方はベルを鳴らして下さい』だって』

「そうか、じゃあ」

チン!ベルが鳴ると奥から女性が出て来た。

「お待たせいたしました、冒険者ギルドへ、ようこそいらっしゃいました。ご依頼は何でしょうか?」


どうやらここであっているらしい。しかし見た目のせいか何かギルドに依頼をしに来たと思われてしまったようだ。


「あの〜、すみません。依頼ではなく冒険者登録したいんですが〜」

すると女の人が驚き

「貴方みたいな綺麗な人が冒険者になりたい‼︎」

ロビー全体に響く大きさで叫ぶ。すると周りからは男たちのヒソヒソ話が聞こえてくる。


「マジかよ、俺のパーティに入ってくれないかな?」

「いや、受け付け嬢の勘違いだろうあんなべっぴんさんが冒険者になるわけねーよ」

以下略


などなど様々声が聞こえた。そして我に返った受け付け嬢は


「は!すみません。取り乱してしまいました」

「大丈夫ですよ。それで、冒険者になるにはどうしたらいいんですか?」

「はい、ご説明させていただきます。冒険者登録はこちらのカウンターで出来ます。身分証をお持ちでしょうか?」

「国民証で良いですか?」

懐から国民証を出す。

「はい、確かに。それではメアリー・オルコット様でギルドカードを発行させていただきます。後は冒険者のランクの区分なのですが…」

何故か言葉を濁す、何かあるのか?

「何か気になる事でも?」

「いえ、そうではなくてですね。ランクは戦闘能力と実績で決まるのです。冒険者には戦闘能力が欠かせないのです、その為に全てのギルドに戦闘試験があるのです」

「そうですか、戦闘試験の相手は人ですか?それとランクの区分はどうなってますか?」

「戦闘試験の相手は魔物か試験官どちらでも可能です。ランクの区分はF〜A+まであります。戦闘試験で到達出来るのはBランクまでとなっております。それと例外でSランクの方々も中にはいらっしゃいますのであしからず。それで戦闘試験の相手はどちらになさいますか?」


そうか、戦闘試験でランクBまで上げらるのか。まあ、上げられるだけ上げといたが良いだろう。後は魔物か試験官かどちらが良いかか…メアリーに聞いてみるか。


(メアリー、戦闘試験は魔物と試験官どっちがいい?)

『そうね…魔物方が気兼ねなくやれるから魔物がいいんじゃない?』

(わかった、それじゃあ魔物にするか)


「魔物でお願いします。それと魔物の素材の買い取りをお願い出来ますか?」

「大丈夫ですよ。横にある買い取りカウンターまで移動をお願いします。戦闘試験の準備をしますので少しお時間を頂きます。準備が出来ましたらお呼びしますので暫くお待ちください」

「分かりました。それではまた」


丁寧に説明してもらったので一礼してから買い取りカウンターに移動する。カウンターには額に傷のある厳ついおっさんがいた。


「おう、べっぴんさん。ここは魔物や薬の材料になる物の買い取りカウンターだ。何を売りたいんだ?」

「これを売りたい」


そういうと俺は腰につけた袋をカウンターに置く。この袋には三年間の特訓で新たに得たスキルの三つの内の一つを付与してある。そして付与したスキルとは


《空間掌握》

空間を固定、縮小、拡張、接続出来るようになる。空間を固定、縮小、拡大したもの中に生物は入れない(体の一部だけの場合は例外)。ただしスキル所有者は例外とする。空間内の時間も止まる。


この《空間掌握》のスキルで袋に入る量はかなりの物が入るようになったし、それに食べ物を入れても腐らないし便利なスキルだ。


話を戻そう。俺は袋に手を入れて売りたい物を出す。それは王都に来るまでに倒した魔物の素材だ。ほとんど一発で仕留めたから傷はほとんどないし、剥ぎ取りも傭兵時代にサバイバル訓練のお陰で手馴れたものだ。

次々に袋から魔物の素材を出していくとおっさんの顔色が変わっていった。


「お、これはソニックウルフの毛皮か、こっちはグリズリーベアだな、え、これはCランクのワータイガーだな。最後にこれか…まさかミスリルゴーレムの素材もあるとは…。お前さん何もんだ?」


何故か鋭い目で見られる俺何も悪い事はしてないはずだがな。正直に答えるか。


「何者って、メアリーて言う魔法使いだけど?それに冒険者登録は今日申請したんだけど」

「と、するとあんた王都に来るのは初めてなんだな。それに冒険者登録は今日か…だとするとあんた戦闘試験受けるよな、俺も見て見たいから一緒に行っていいか、何タダとは言わない。アンタにピッタリの防具を用意してやるからさいいだろ?」

真面目な顔で迫って来るおっさん。まあ、別に減るもんじゃ無いし、いいのかな?

するとタイミング良く横から


「メアリーさん、準備が出来ましたよ」

先程の受け付け嬢が俺の事を呼ぶ

「分かりました、今行きます。おじさんも行くよ」

「了解だぜ、おい!査定は頼んだぞ!」

横にいた女性に向かいそう言うとカウンターから飛び出してきた。

押し付けられた女性は「またですか!」と叫んでいた。どうやら常習犯のようだ。


こうして俺とメアリー、おっさんと受け付け嬢で試験場に向かった。






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