プロローグ
俺は傭兵、カルロス・スミスだ。
今、戦闘の真っ只中だ。内紛が起き俺は鎮圧の為に国に雇われた。
市街地戦の為に敵を確認するのが難しい。
空爆出来ればいいのだがまだ避難できていない住民もいるだろう。
「ジリ貧だな、RPGを使う」
俺は弾道を予測して敵の位置は特定している。アサルトライフルでは防壁は貫通できない。ならばロケットランチャーで防壁を破壊するのが手っ取り早い。
壁から身を乗り出してRPGを構える。
「後方の安全確認、ターゲット敵防壁、ファイヤ!」
「ドカァーン‼︎」
「敵防壁の破壊を確認、グレネードを投げ込め!」
俺の指示に従い仲間たちがグレネードを投げる。
だが、誰か知らないが一人投げ損なったらしい。敵と味方の中間部に落ちた。このまま爆発しても被害は出ないだろう。
そう思った時
「隊長!投げ損じたグレネードの側に少女が!」
仲間の一人がその方向を指差して叫ぶ。
指差した方向を見ると一人の少女が瓦礫の影にうずくまっていた。
このままだと爆発に巻き込まれる。
「助けに行く!援護しろ!」
「了解しました。ご武運を」
防壁から飛び出して少女の元へ向かう。
いつ敵に撃たれてるか分からない状況では自殺行為だが何の罪も無い少女を見殺しにする事は出来ない。
「ふ、俺も甘いな」
少女の元へたどり着いたが、殺気を感じ敵陣の方を見る。
「チッ、生き残りが居たか!」
こちらに銃を構える敵が一人、俺は少女を抱えると自陣に向かい走り出す。
容赦なく降る銃弾を掻い潜るが、脚に一発の銃弾をもらう。
「クソ、受け取れ!」
自陣に居る仲間に少女を投げる、少女は無事に自陣にいる仲間の一人にキャッチされた。
だが、俺は
「ズババババ‼︎」
さらに銃撃を受けて両手、両足の腱を撃ち抜かれ身動き取れない状態に、仲間も援護してくれるが自力では動けない。
そして敵陣からグレネードをが俺の側へ投げ込まれる。
身動き取れない俺はなすすべがない。
年貢の納め時だった。
「クズの俺には相応しい死に方か、最後に一人の少女を助けて死ぬのか。まあ、悪くね〜か」
「ドゴォーン‼︎」
こうして俺は、命を落とした。
はずだった。
おかしい、痛みが無い?俺は銃撃されてグレネードを食らって死んだはず。
そう思い目を開けるとそこは建物の中だった。
(おかしい、おかしいぞ?俺は確かに戦場に居ただがココは明らかに戦場では無い)
暖炉、机、椅子など家具一式がそろっている所を見ると誰かの家なのだろう。だが現代ではあまり見ないデザインの物ばかりだ。
部屋の中を見渡して居るある異変に気付いた。
目線が低くなっているのだ、前の俺の目線と比べて四分の一くらいしかない。
今の自分姿はどんなものか気になり鏡のような物が無い部屋の中を探すと机の上に鏡らしきものが遠目に見えた。
俺は机の上にある鏡を取ろうとするが取れない。自分の手と脚を見ると明らかに小さい。
この時点であり得ない結論に至るがまだ確証は無い。
鏡を取る為に椅子に登り目的の物を手に入れる。
「よし、取れた」
(あれ?声もなんか変だ、まるで少女の様な声だ)
あり得ない事がまた頭をよぎるが信じる事が出来ない。
意を決して鏡に映る自分の顔を見る、そこにはそこには小学生位の少女の顔が売っていた。