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第6話ヒビの無い卵


 よし、僕の番だぞ。頼むからゴリゴリの巨人みたいなモンスター出てきてくれよ!


理想はギガンテス!


『サモン!』


「コトッ」


僕の目の前に『サモン』に応じた卵が現れた。

卵の殻の色は銀色で、正面には神秘的な紋章があるのが確認できた。


でも、その卵にはヒビが1つもなかった。


「あれ?」


おかしいよね?みんなの場合は卵の存在が確認できた瞬間にすぐ、横や縦からヒビが入りその中からモンスターの幼体が姿を現してたはず。


僕の召喚した卵は少し時間のたった今も、ヒビの1つも入らない。

モンスターの召喚に無知な僕でも分かる。


これ……失敗したかな?


「ギャハハ!!」


その場に流れていた静寂を引き裂くような、笑い声。


その方向に振り向くと、頭にスライムを乗せた男が格好の獲物を見つけたかのように、僕を見下した目で見て笑っていた。


「あいつモンスターが召喚されてないぞ。卵のままだ、召喚する奴がカスすぎて出てこないんじゃないか〜ハハッ。俺はこんな愛らしいスライムが召喚されたのになぁ!!」


さっきまで、スライムってそりゃないよって顔してただろうが。

それに、お前のスライム愛らしいというより憎らしいフォルムしてるぞ?

ドロドロしてて、気持ち悪い。この世界のスライムは全部あんなに気持ち悪いのか?


すると、僕を気遣ってるのか今まで呆然としていた国王が慰めの言葉をかけてくれた……。


「あー、気を落とすでない。このような事態は初めてじゃが、少しマイペースなのかもしれんしの。まだ生まれんと決まったわけではないしな」


「そうですか、、分かりました。様子を見てみます」


「よし、皆の者少々問題があったみたいだが、各自無事モンスターを召喚出来たようじゃな。これからは、その相棒と共に過ごすのじゃぞ」


「「「「はい!!」」」」


「これから、そなた達にはこの世界の事を知ってもらう。説明はそこにおる王宮魔導士団団長のジェシカにしてもらう」


国王が紹介したジェシカという人は女性で金色の長髪はパーマをかけたみたいにクリンクリンになっていて。眼は綺麗な金色、服装は真っ白なThe魔道士って服だ。


どっちかというと、聖女ってイメージがぴったりな女性だ。


「昼食を食べたら、座学室に集まってください」



「「「はーい!」」」


綺麗なブロンド美人の登場で男子クラスメイトと男性教師の興奮は高まって、ジェシカが口を開くたびにだらしなく頷くことしか出来ていなかった。





「ふぅー、歩昼飯もけっこう美味かったな」


「そうだね」


あー、卵どうしよう。正直考えすぎて、ご飯の味なんてわからなかったよ。


「落ち込んでんのか? 歩のモンスターもいずれ出てくるだろ」


「うん、そうだといいんだけどね」


「悩んでも仕方ないからね、、ジェシカさんとかに聞いてみたら分かるかもしれないしね!」


「おう、まぁなんかあったら頼れや!」


僕と聖は今後について話しながら、座学室に向かった。座学室に入ると、みんな揃っていて体感的には5分くらい過ぎた頃にドアを開けジェシカさんが入ってきた。



「皆さん、席についてくださいね」


「先程王様に紹介してもらいましたが、私は王宮魔法士団団長のジェシカです。皆さんには魔法などを専門的に教えることになります。よろしくお願いします」


 魔法か、僕も教えてもらえるのかな?火魔法でこの卵温めたら出てこないかなぁ。

 今度ジェシカさんに教えてもらおう。


「まず、今からこの世界の常識を教えますね。この世界のお金は価値が低いものから、石貨 銅貨 銀貨 金貨 白金貨 黒金貨があり、石貨から銀貨までは石貨なら10枚で銅貨一枚の価値みたいに10枚で一つ上の貨幣一枚の価値です」


「金貨については銀貨100枚、白銀貨は金貨百枚と金貨から100枚で次の一枚と一気に価値が上がりますので注意してください」


「次はこの世界のステータスについて話しますね、この世界では生き物なら一つは属性魔法が使えます2属性使える人は天才3属性以上はこの国には数名しかいません、スキルは常人なら3つくらいが平均です」


「まぁ、つまり当たり前に2属性以上持ってるあなた達は化け物みたいなものですね。普通は1属性を極めるのですが……話が逸れてますね。すみません」


「そして、皆さんも先ほどモンスターを召喚したと思いますが、この世界には魔物がいます。その魔物もテイムをすれば自分のモンスターにすることができます。まぁ、テイムできるのはモンスター使いだけですけどね」


モンスター使い……やっぱり、モンスター使いってのが正しい職業な気がするな。

俺の魔物使いの話をしないところを見ると……。



「これで、この世界の説明は終わりです。訓練は明日からなので、今から自由行動です。夜ご飯は好きな時に食堂で食べてください。では、私はこれで」


ジェシカさんから、この世界について基本的なことをしっかりと教わった僕を含めたクラスメイト達は講義が終わると同時にワイワイと座学室から出て行った。


「歩、今からどうすんだ?」


「僕は、みんなより弱いから訓練するつもりだよ」


「マジか、スゲェな俺は相棒のヒュドラと遊んでるわ」


「そういえば、聖のヒュドラどこにいるの?」


「あぁ、ヒュドラは俺のメイドに相手してもらってるよ。たぶんほとんどの奴がそうしてるんじゃないか?モンスターなんて、育て方わからないしな」


「それも、そうなのかな?」


僕モンスターいないから、その考えに至らなかったのか。


「じゃ、歩訓練頑張れよ」


「うん!」



聖と別れて、メイドさんに聞いた訓練場に向かっていると急に目の前から誰かが飛び出してきた。

 


「歩くん!!」


ひ、日向か。俺を殺そうと考えるクラスメイトが真正面から刺しに来たのかと思ったわ。


「日向急にどうしたの?」


日向に理由を聞きながら訓練場に向かおうとすると


「なんか、歩くん冷たくない?」


頬を膨らませて、後ろから抱きついてきて僕を引き止めてきた。


「最近私のこと避けてるでしょ」


日向さんー?あの、後ろから抱きつかれますと。柔らかいものがガッツリ当たるんですけど……。


必死に僕の棍棒が大きくなりそうなのを抑えて、日向にこれ以上はやめての意味も込めて理由を伝えた。


「ごめん、今からトレーニングしようと思っていてね。避けたくて避けてるんじゃないよ。僕も仲良くしたいけど日向と僕なんかじゃ釣り合わないよ……」


「歩くんは自分を過小評価しすぎだよ?」


「歩くんは、もっと自信を持っていいんだよ?」


「ありがとう、そろそろトレーニングに行ってくるね」


日向が向ける、まっすぐな目が余計に僕の心を締め付けて苦しい。

思わず、トレーニングと言って日向から逃げてしまった。


「頑張ってね〜」


 自分に自信を持てか……。


 悩んでも仕方ない、トレーニングしなきゃ!!


 腹筋、スクワット!!


「ちょっと張り切りすぎたな……」


僕の筋繊維がぶちぶち言ってる。

これだけでも、ステータスには変化はあるのかな?


『ステータス』


 ーーーーーーーーーーーーーー

 ・攻撃力G

 ・防御力F

 ・敏捷力G

 ・魔力A

 ーーーーーーーーーーーーーー


 お!少し防御力が上がってる。まぁ僕の初期ステータスが弱すぎるだけだからかもだけど。

おそらく、あと少しでFに上がるってところだったのかな?


じゃないと、少しキツイ筋トレしたくらいで上がらないよね。


 今日は、お風呂に入って寝ようかな全身バキバキで悲鳴あげてるよ。



疲れた身体を、お風呂でケアした後僕は早く生まれてきてくれの願いを込めて卵を磨き始めた。


「ふ〜んふ〜ん、卵の中に何がいるのかな? 早くでてきてくれよ!」


 「よし! こんなもんだろ」



僕は磨き終わった卵を枕の横に置き異世界で初めて卵と添い寝した。



「明日からも頑張るぞ……」


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