転生神と招かざる客4
「俺の魂だけじゃダメか?どうしても無理なら弟クロドの意思が残るように何とかできないだろか?」
星も助けたいが、弟も助けたい。弟想いのいいあんちゃんだが、星を救うのだからそれくらいのリスクは背負ってもらわないと。
「あんちゃん!みんなのためなら、おいら怖くないよ!」
弟の方が覚悟が決まるのが早かったようだ。真っ直ぐジセンを見る目には死の恐怖よりも兄を想う気持ちが優っていた。
ジセンは膝をつき、クロドを抱きしめた。クロドは、涙を必死に堪えていたがジセンに包まれるともう堪えることはできなかった。
「ありがとうクロド…お前は、最高の弟だ…。神よ。頼む。俺達を転生してくれ」
兄の覚悟も決まり、早速転生の準備に入った。
まずは、器創りから。ピピは腕を上げると脇をもぞもぞとまさぐっている。
「うんうん、久々に人を創ったわぁ。ボッンキュッボンにしてあげたのはおまけよぉ。私に似て綺麗でしょぉ。」
ポンと出てきた女の体。ピピのセンスに任せたので構わないのだが…。
「んッじゃッ次はルーの番!」
2人の前に出てきた運命札はそれぞれ2枚づつ。
ジセンには
【最高の演奏をすることができるが、超絶我儘な女性ピアニスト】
【生涯独身だが、部族をまとめる長になる男狩人】
クロドには
【部下から尊敬されゆくゆくは社長になるが、女癖のひどい男会社員】
【難病に苦しめられるが、唯一の特技がギャンブルで勘の鋭い女ギャンブラー】
ここに来て、パッとしない運命札が揃ってしまった。
どれも星を救うには程遠い、特にギャンブラーとかは運要素が強すぎる。
ルーも流石に悩んでいたが、パッと笑顔になり運命札をやすやすと破り始めた。
「これとッ、これ、これも!!あとこれ!!」
「あらあら、ルー先輩普段から慣れてるだけあるのねぇ」
「本当、でも今回は助かったわ、私はできないから。ありがとうね、ルー」
残った文字は4文字のみ。
「並びかえてッとッ!へへへん!」
【唯】【我】【独】【尊】
まさかの四字熟語。
「これなら付けるおまけは、【救世主】と【天上天下】がいいかな」
「とっても、とっても、素敵だわぁ。あたし達の愛の結晶ねぇ」
救世主であり、天上天下唯我独尊であれば困難から人々を救い、そして導く、伝説的な存在になるのは間違いない。
「じゃあ、おふたりさん。心の準備はいいかしら?1000年に一度あるかないかの、レア転生いきますよ!」
体の転送そして魂の転生は転生神3人の力を合わせて無事を終えることができた。
【救世主】…困難から人々を救う者。世界を変える一人になる。