転生神と招かざる客3
【第一階位文明】微生物~獣程度の文明
【第二階位文明】1つの星でしか暮らせない文明
「神よ。命を助けてほしい人がいる。その人は皆の希望であり、最後の砦だ」
詳しく聞く前に、右手に持つ見極めの杖で2人の魂を調べさせてもらった。これからの話に矛盾しているところが無いかの確認も必要になってくると思って。
大まかな内容は、2人とも第3階位文明のみからなる星の出身者、どうやら自分達の星がどこかの星から来たやつらに乗っ取られそうだとか。よくある星の奪い合いだ。そこで唯一対抗できる力をもつ者の命が危ないから助けてほしとのこと。
早速困った。その命は運命だから変えられない。死神さんの監視もあるだろうし、仮に助けることができたとしても死神さんの仕事の邪魔することになる。でも、ここで何かしてあげないとたぶん大人しく帰ってくれなさそうだなと。そんな空気を出していた。
「ひとつ、こちらの質問に答えていただけますか?」
ジセンとクロドの2人が同時に見つめてくる。
「あなたたちは、その者の命を助けたいのですか?それとも星が侵略されるのを止めたいのですか?」
助ける対象が命なのか星なのかで話が変わってきてしまう。例えその者の命を救ったからと言って星が侵略されては意味が無い。
「侵略を止めたい。ただそれに対抗できる奴がそいつしかいないんだ」
力のこもったジセン返答、焦りも感じるがそれだけ追い込まれているのだろう。
「侵略を止める方法はありますが、その者の運命を変更することはできません。なので――」
違った方法を伝えようとしたとき、さっきまでくつろいでいたピピが急に話に割って入ってきた。
「まぁまぁ、方法ならあたしが教えるわぁ。あのねぇ、貴方達が侵略を止めればいいのよ」
目を見開き呆気にとられる2人。
しかし、実は方法はそれしかないのだ。詳しく説明すると、同じ世界、同じ文明に転生し、そこで救世主となること。ただ普通の転生だと胎児からのスタートになってしまうので侵略阻止には間に合わない。そこで、元創造神のピピに元いた世界に魂の器となる人物を作ってもらいそこに魂を転生させる作戦だ。そして都合のいい運命札になるようルーにちょこっとお手伝いをしてもらい、最後にコルの最大の付加権限において【救世主】の付加を付けてあげる。
「ねぇねぇ、ここにちょうど2つの魂があるのだから転生する際、1つにまとめてしまえばいいんじゃなぁい?あたしの作った器ならそれくらい平気よぉ。運命札を2つ分そして付加も2つ分、救世主とあと1つ付けてあげれば面白くなりそうよぉ」
急なピピの提案に迷ったが、確実に星を救うなら1人分の魂より2人分の魂の方が確実性が増すのは間違いない。
「待ってくれ!」
止めたのはジセン。まぁ気持ちはわかる。
「2人の魂で2人それぞれではダメなのか?それに2人分の魂を1人にまとめたとき意思はどうなるんだ?」
当然気になると想う。ただ、魂を合わせた場合の強さは、1+1のような単純なものにはならない。お互いがお互いを想う力で何倍にもなり、そこに特殊個性や救世主といった付加があれば更に強靱な魂になるのは間違いない。
しかし、ピピは面白そうだからやってみたいと言う好奇心からでる提案だと思う。
それと、魂を合わせた場合意思がどうなるかだがこればかりはやってみないと分からないのが本音。片方が消える場合もあれば、2人の意思が消え、新しい意思になる場合もあるからだ。
そう伝えると、ジセンの目にに迷いが出てきてしまった。
【第三階位文明】 少数の星又は他の星の文明を奪いそこで暮らす文明