ゾンビと魔女(仮)
背後から、酷く掠れた声が聞こえる。
「ア"ー、ア"、」
ア"ーア"ーア"ーア"ー、うるさいわねぇ。
これだから困るのよ、ゾンビは。
「私に襲いかかろうとしているのは、誰?」
魔女に生まれた私は、まぁいわゆる魔女で。
後ろを振り向いて、ゾンビを溶かすために今まで頑張って作ってきた薬を掲げる。
ゾンビにしか効かない、効果抜群に作ったはず。
「ア"、ア"ア"、」
「襲いに来たら、すぐにこれをぶっかける。」
外では雨が降っているのか、ザアザアと屋根を打ち付ける音がしていた。
「ア"……」
「それでも良いの? 溶けるのよ?」
そう言ったとき自分の近いところで、ポチャンと、一滴、二滴、水と水がぶつかる音がした。
それと同時に薬の色が変わったのは、気のせいかな?
あぁ、雨漏りか。
「………」
え、ちょっと!
何で近づいてくるの!?
「ぶ、ぶっかけるって言ったじゃない!」
「ア"ア"……」
もうやだ、無理‼
_______ブシャッ
「ア"……」
床に崩れるゾンビ。
だけど、何で!?
溶けるどころか、薄皮が剥がれたみたいに、それが光って空に上っていく。
実験と違う‼
「え、何で?」
まさか、さっき雨が入ったから、薬の種類が変わって……!?
そうすると、薬の色が変わった気がするのも……
「え……」
目の前には、薄皮の剥がれきった気持ち悪いゾンビ……ではなく、普通の男性が倒れていた。
「あ………」
「えと……」
男性が起き上がると、視線があう。
「あの、助けてくれたのは、貴女ですか?」
意外にも、広い肩と低音の優しい声にドキリとしてしまう。
「っ……えっ、あ、」
「有難うございます。」
そう言って、フッと笑う。
「………………じゃあ……。」
どこか名残惜しそうに帰っていく背中に、気がつけば声を出していた。
「あのっ!」
「……呼び止めてくれて、良かったです。」
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振り返った彼は、とても嬉しそうな顔だった。
ゾンビと恋をするお話を書こうと思ったのですが、男性に変身してしまったので、次回はしっかりゾンビと恋をさせたいです




