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ブックマーク登録して頂いた方、ありがとうございます!とても嬉しく、信じられない気持ちでいっぱいです。
遅くなりましたが、心から御礼申し上げます!
まだまだ拙い文章ではありますが、楽しんでいただければ嬉しいです。
「わあ、すごいです!」
俺が彼女を連れて行ったのは、家から車で三十分ほどの所にある水族館だった。人気のスポットなので、土日ということもありかなり混んでる。
こんなことだろうとチケットは先に買ってあったので、俺達はさほど並ばずに入場することができた。
「実は私、水族館に来たのは初めてなんです!」
「俺も、あんまり来た事はないな。小さい頃に数度くらいだ。」
「そうなんですか…あ、向こうにクラゲの水槽が!はやく行きたいです!」
「こらこら澄歌。順路があるみたいだから、その通りに回ろう。」
二人で並んで話しながら、水槽を眺めていく。友人というには少し近い距離だが、恋人同士というほどには密着していない。…私達は、周りからは一体どんな風に見えているのだろう?
(兄妹とかかな…。)
少し寂しい気持ちになっている俺とは違い、妻は水族館を心から楽しんでいるようで、顔を輝かせながら次の予定を考えている。
「旦那さま!イルカショーがあるみたいです!行ってもいいですか?」
「ああ。何時からだ?」
「えっと…ああ、もうすぐです!早く行きましょう!」
「そんなに急がなくても大丈夫じゃないか?」
走り出そうとする彼女を押さえて、二人で並び合ってイルカプールへと歩いていく。
「しかし、本当に来た事ないんだな。」
「はい。でも、すごい楽しいところなんですね!子どもの頃、もっと来ればよかった!」
「まだ、全然見てないよ?」
「今から楽しみにするのが楽しいってことです!」
「言ってる事が分かりそうで分かりにくいな。…あ、あそこじゃないか?」
話している間にイルカショーの場所に到着した。ベンチはかなりの割合で人がいて、こちらは見込みが甘かったかなと思う。
「そうです!でも、席が…。あ、前の方は空いてますね!」
彼女が嬉しそうに階段を下りていく。俺は慌ててその後を追いかけた。
「澄歌、どうやら前の方は水がかかってくるみたいだよ。ほら書いてあるし。」
「大丈夫ですよ!イルカが、そこまでたくさん水をかけてくるわけないじゃないですか!」
___只今より、イルカショーを始めます!
「あ、旦那様!始まっちゃいますよ。早く早く!」
(やれやれ。)
上機嫌の彼女に腰を下ろす。まあ確かに、イルカがそんなに大量に水しぶきを上げられる訳もない…
___それでは、三匹同時にジャンプします!前方のお客様は注意してくださいね!
ざっっぱんっ!
(やばいっ!思った以上に跳んだ!)
慌てて彼女に覆いかぶさるが、間に合わない。
ばっしゃん!
「…」
「…」
____皆さん、三匹に拍手をお願いします!
イルカたちは悠々とプールの中を泳いでいる。観客からは惜しみない拍手が彼らに向けられていた。そんな中…
「…すいません、イルカさんたちなめてました。」
「いや…こっちこそ庇いきれなくてごめん。」
二人とも頭から思いっきり水をかぶり、びしょびしょになってしまっていた。
呆然としている俺の耳に、ショーのお姉さんの恐ろしい台詞が聞こえてきた。
____もう一回行きますよ!せーのっ!
「だ、旦那さま!後ろ行きましょう!」
「…いや、もうここまでぐしょぐしょになってしまったんだし、下がらなくてもいいよ。前で楽しもう。」
_____結局、俺達は最前列でショーを見続け、3,4回水をかぶり濡れネズミになってイルカプールを後にしたのだった。
お読み頂きありがとうございました