氷海さん家のお酒事情4
ちょっと土日と言えるのか、わからない時間になってしまいました。申し訳ありません!
澄香さんの視点で、短めです。
そして、まだ終わりそうにないです。どんどん間延びしていっていてすいません。
少しでも楽しんでいただければ幸いです。
(ど、どうかしら……?)
ゆっくりと顔を離しながら、さっきから固まったままの夫を見る。
表面上は余裕のあるように取り繕っているが、内心は緊張で冷汗が止まらない。
(やってみるとこれ、すっごく恥ずかしい……!)
いつもはこんなこと、想像しただけで顔から火が出そうになるが、お酒とはすごいものだ。多少抵抗はあったものの、勢いで行けた。
碧人さんは、何も言わない。……もしかして、気に入らなかったのだろうか。
(……やっぱり、他のことにしたほうが良かったかしら?)
けれど、これが”旦那様が喜ぶこと”なのだそうだ。言われたこと思い出し、気持ちを立て直す。
___話は数日前にさかのぼる
*
それは、ある日の夜のことだった。その日彼は、いつもより遅い時間に帰ってきた。
「ただいま。」
「おかえりなさい、碧人さん!」
「すまない、遅くなってしまった。今日は、澄歌のは得意料理だと言っていたのに…。」
「いえ!…それより、この匂い……。」
彼は珍しく、スーツからお酒の香りを漂わせていた。いままでそんなことはなかったのに。
「ああ、取引先の社長が酒好きでな。それに付き合っていたら、移ってしまったようだ。……そんなわけで、悪いんだが先に休んでもいいだろうか。酒臭いし、今日は自室で休んでくれ。」
「はい…。」
「ほんとにすまん。」
残念に思ったのが伝わったのか、彼が頭を下げる。
「い、いえ!疲れたのなら、早く横になってください!……では、おやすみなさいませ。」
「ああ、おやすみ。」
部屋に入っていく彼の後ろ姿が消えたのを見てから、小さくため息をついた。
「私…まだまだ全然、碧人さんのことを知らないな……。」
やっと普通の夫婦のように心が通い合うようになってきたが、プライベートなことに関してはまだそれほど詳しくない。
もちろん、趣味など釣書に書くようなことは知っている。…けれど例えば、どんな風な食べ物が好きなのか、どんな風に時間を過ごすのがといったような、そういったことが、知りたいのだ。
(いままで、お酒を飲まれてるところを見たことがなかったから、てっきりお好きじゃないんだと思ってた。……けれど、本当は家で飲まないようにされていたのかもしれない。)
家でくらいリラックスしてほしいのに、気を使われていたかもしれないと思うと、少し落ち込んだ。
(…明日、屋敷のみなさんに聞いてみよう。)
そう思い、ふらふらと自分の自室へと私は戻った。
お読み頂きありがとうございました!話がなかなか進まないですね……。
追記:総合評価が200を突破しました!信じられないです!!
他の方に比べれば小さな数字ですが、嬉しくてたまらないです( ⸝⸝・໐・⸝⸝ )
読んでいただいている方、本当にありがとうございます…!!