表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/47

氷海さん家のお酒事情1

大変お待たせしましたm(_ _)m

番外編投稿し始めたいと思います。

と言っても亀更新なので、これからもお待たせしてしまうと思われます。申し訳ありません‼︎

この話は三話ぐらいで終わると思います。…ええ、続きます。少し長めです。

ゆっくりですが、楽しんでいただければ幸いです。

おまけ 氷海家のお酒事情(和解後、一か月ぐらい)


「碧人さんは、あまりお酒を飲まれませんが…その、お嫌いなのですか?」

 ある晩、夕食を食べながら妻が訊いてきた。…ついに、きかれたか。

「いや。そんなに強くはないけれど、人並みには飲めると思う。……それがどうかしたのか?」

「……実は、お中元で日本酒が届いたんです。」

 そう言って澄歌が出してきたのはある地方の地元酒だった。

「飲まれているのを見たことがなかったので、お嫌いなら、他の方にお譲りしようと思って。……でも、大丈夫なんですね?」

「あ、ああ。」

「それなら……わたし、あんまりお酒を飲んだことがないので、飲んでみたいと思って。碧人さんも一緒に飲んでくださいますか?」

 澄歌はおずおずと、けれど期待の目でこちらを見てくる。

(……あれはそんなに多くなさそうだし、彼女と分けるなら…。)

「分かった。飲みなれてないなら、休みの日の方がいいな。今度の土曜日の夜にのもう飲もうか。」

「はい。」

彼女が嬉しそうに笑った。自分も笑い返すが、心のなかは冷や汗をかいている。

(…大丈夫だ。注意していれば、アレは出てこないはずだ…。)

 ___しかし、現実とは得てして、予想を裏切るものである。

 そして約束の日、俺は夕方まで猛スピードで仕事を片付け、それでも残ったものは、部下達に押し付けて早々に帰宅した。後ろからは、部下の恨み言が追いかけてきたが無視する。

「あ、おかえりなさい!碧人さん!」

 ドアを開けると澄歌がかけよってきて、ギュッと抱きついてきた。

「ただいま。…もう準備できてるのかい?」

 彼女はエプロンをしていたので、そう思い尋ねる。

「いえ、これは夕ごはんを作っていたので…。もう少ししたらできますから、ちょっと早いですけど食べちゃいましょう!」

 そう言うと、澄歌は食卓に俺を引っ張っていった。席に着いて、料理を作る彼女の後ろ姿を見る。

(…そういえば、あまりこんな風に過ごしたことがないな。)

 いつもは、準備を完全に終えてから彼女か、使用人が呼びに来るので、なんだか新鮮だ。

(今度から、少し手伝ってみようか。)

 料理人もいるし、手が足りないことはないだろうと安直に考えていたが、こういう時間を一緒にいるのも楽しいかもしれない。

「お待たせしました!どうぞ、碧人さん。」

「…?この前の酒がないみたいだが?」

 それに、並べられた料理は、彩りも良く美味しそうだが、酒に合うようには見えない。

「あれは食事の後に、ゆっくり二人で飲みたいなと思って。かなり良いものみたいでしたし。」

「そうか。」

「もしかして、もう飲みたかったですか?すいません、何か他のワインでも…。」

「いや、良いよ。」

 必要以上に飲むのは危険だ。いただきます、と言って食べ始める。

「そういえば。」

「はい。」

「今度から、こんな風に時間が空いたら、料理を作るのを手伝おうか?」

 …何気なく言ったことだったが、それを聞いた澄歌の顔が固まった。

「…碧人さん、最後にお料理作られたのは、いつごろですか?」

「確か、高校の調理実習の時かな。それからは料理人に任せっきりだ。」

「何を作りました?」

「親子丼だ。ただ、卵を焼くつもりだったのに、同じ班だった樹に止められてな。何もしなかった気がする。」


「熱しろと言われたから器に入れて、レンジにかけようとしただけなのにな。」

「あの…親子丼の卵はそれだとできないと思います…。」


「あと、米は洗えと言われたから、水が濁らなくなるまで洗ったな。近くにそれ用らしい洗剤があったから、それも使った。」

「……。」

「どの班よりも輝いたごはんだったのに、樹は変な顔してたな。やり方がわからないから他の班員にも訊いたが、誰も知らなくて…何か少し違ったのか。」

「…碧人さん、分かりました。大丈夫です。なので、絶ッ対キッチンに入ってこないでくださいませ。」

 厳しい目をして言う彼女に、嫌な予感がして恐る恐る尋ねる。

「……もしかして、俺は料理が下手なのか?」

「……。」


 ……沈黙が何よりの答えだった。

 お風呂に入って寝る準備をしてから、ゆっくり飲もうということになり、お酒を用意した彼女の部屋に行ったのは、夜の8時頃だった。

「澄歌、いるかい?」

 ドアをノックするが、返事がない。

「澄歌?」

「うわぁぁ!ちょっと待って下さい!」

 ドアを開けようとすると、廊下の向こうから彼女が慌てて走ってきた。湯上がりなので、髪が少し濡れて、頬も赤くなっている。

「なんだ?」

「いえ、ちょっと…。とりあえず、入って下さい。」

 彼女の後ろに付いて部屋にはいる。

「実は…とある方から、碧人さんはお酒がお好きなのに、私に遠慮してあまり家で飲まないようにしていると伺いまして…。」

 …なんだか、本日二度目の嫌な予感がする。

「申し訳なくて、今日ぐらいは思う存分楽しんでもらおうと思ったので…。」

 妻の部屋は安全を考えて、ドアを部屋の中にも置いている。それを彼女は開けた。

「じゃん!お屋敷のみなさん達に頼んで、出来るだけ集めていただきました!」

 _____そう言った彼女の後ろのテーブルには、この前の日本酒だけでなく、ワインや焼酎、ビールは瓶と缶どちらもある。高そうなものだけではなく、チューハイや発泡酒など、そこらへんのコンビニでも売っていそうなものも…とにかく、ありとあらゆる『酒』が並んでいた。

「どうですか⁉︎」

 そういう彼女の顔は、とっておきの宝物を見せる子どものような笑顔だった。

「う、嬉しいよ…。」

(……とある方、覚えておけよ…!)

お読みいただきありがとうございました!

お酒の話ですが、甘い話にしたいです。

ちなみに調理実習の時のごはんは、あの後樹さんが他の班から少しずつもらって集めました。

そして澄歌さんは、それらを全部琴衣さんから聞いてます。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ