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更新が数日滞り、申し訳ありませんでしたm(_ _)m
今日中に、できれば溜まった分を載せたいと思います!
ただ、パソコンがまたフリーズしてるので…できなかったらすいません。
父が、がっくりと崩れ落ちた。
私はその姿に胸が痛くなった。父にとって私は本当に道具でしかなかったとしても…私にとっては大事なたった一人の家族だった。
「…碧人さん、勝手なのは分かっております。でも、なんとか温情を頂けませんでしょうか。父は、駄目な人ですけれど…私の父なんです!どうかお願いします…私もできることは何でもしますから!」
耐えきれず、彼にすがりついて叫ぶ。彼はこちらをちらっと見ると、ため息をついた。
「…と、言ってもらおうと思ってきたんだよ。」
「え?」
「君は優しいから、父親の為なら例え嫌な相手の所にでも戻ってくるだろう?これは、その為の手札だったんだ。」
少し言い辛そうに彼が言う。
「…でも、さっき声が聞こえたから。」
彼が、私の頬に手を当てて嬉しそうに笑った。…さっきとはいつの事だろう。
「父親に連れて行かれそうになった時、君は私以外を『旦那様』と呼びたくないと、私を愛してくれていると言ってくれただろう?」
「…あ、あれはっ!」
顔が真っ赤になった。確かに聞こえていてもおかしくないが、勢いで言ったことを、改めて言われるとすごく恥ずかしい。
慌てる私を碧人さんは強く抱きしめた。彼の顔も真っ赤だ。
「とても、嬉しかった。あの時の答えを君は最高の形で返してくれたよ。…だから、君の父上を馘首にはしない。まぁ、また経営を失敗されないように、こちらからサポートする人材は派遣させてもらうけど。」
「でも、それだと…。」
ただ、大金を払って他の会社の建て直しをしてしまっただけだ。申し訳なさすぎる。
「いや、実務は関わらないけれど最終的な決定権を握ってるのは、結局氷海だからね。…お分かりですよね?来宮さん。」
父は、馘首にしないという言葉に信じられないという顔をしている。碧人さんは父に笑いかけているが、その笑みはさっきとは違い冷たい。
「次に、こんなことしたらいつでもあなたを社長の座から追放します。もちろん仕事ができなかったら…言うまでもないですよね?」
そういう彼の顔は私が見たことのない顔で、仕事の時の顔なのだと、こんな状況にもかかわらず少しドキドキした。
「…さあ、帰ろうか澄歌。では、失礼いたしました。」
いまだ呆然と立っている父の横を、碧人さんは私の手を掴んですり抜ける。
「…か?」
「え?」
すれ違いざま、父の声が聞こえた気がして振り返る。
「彼を愛しているか?」
一瞬驚き、笑顔で答える。勇気をもらうように、彼の手をぎゅっと握る。
「はい、これまでであった誰よりも…」
「安心してください。例え愛されていないといわれても、手放す気は全くありませんから。」
「もう!かぶせて言わないでください!」
結構頑張って言った言葉を台無しにされて、碧人さんに噛みつく。
「それなら…いい。幸せになれ。」
____信じられない言葉を聞いた。碧人さんが私の肩を抱いて返事をする。
「言われなくても、勝手になります。」
一人庭園に立つ父。どんどん離れるほどに小さくなる背中に寂しさを覚える。
「お父様!…また遊びに来ますね!」
…父は、振り返らなかった
お読みいただきありがとうございました!