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PAGE.23

やっと久しぶりに碧人さんが登場しました。

二人の間の誤解?も解けたので、ストーリーとしてはあと少しといった感じです。(まあ、話数的にはまだそこそこあるのですが…。)

お約束な展開ではありますが、楽しんで頂ければ幸いです。

「私の妻から離れてください。いくら義父上といっても、我慢の限界なのでね。」

彼がつかつかとこちらに歩み寄ってきて、私を抱きしめた。それだけで、いままで張っていた気もちが、緩んでいくのを感じる。

「…っどうして、いらっしゃるのですか!?私とは……離婚したのではないのですか?」

 自分で言うのはつらかった。腕の中から慌てて碧人さんを見上げると、彼は一瞬訳が分からないといった顔をして、やがてはぁとため息をついた。

 ……この人のこんな顔を見るのは初めてだ。

「…来宮さん、まさか二回もおなじ手を使われるとは思いませんでしたよ。…大丈夫だよ、澄歌。そんなことしてないし、するつもりもないから。」

 碧人さんの優しい声が頭の上から聞こえる。頭絵お優しくなでられて、泣きそうになった。信じられなくて、嬉しくて、ぎゅっとすがりつくと、彼の抱きしめる力も少し強くなった気がした。

「氷海さん、いくらなんでもこれは失礼でしょう?いきなり押しかけて、娘にさわるなと?娘を蔑ろにしていたのは、あなたでしょう!」

 父が、怒りを押し殺した声で碧人さんに詰め寄る。彼は眉をしかめて言った。

「…確かに、最近少しすれ違ってしまい、澄歌を傷つけてしまったことは事実です。」

「そうだ!あなたよりもっと澄歌を幸せにしてくれる方とこの子は結婚させる!既に候補は選んでいるしな。」

「私は、他の人となんて、ぜったい結婚いたしません!」

 鬼の首を取ったようにふんぞり返って言う父に、私は体が震えてしまった。

(お父様!碧人さんが来ても、まだ諦めないなんて!)

 しかし、彼は泰然として、嘲笑の響きさえも感じさせるほど冷静な声で、父と対峙していた。

「そう…例えば、今こちらのお庭にいらっしゃる、羽生グループ総帥のご子息とか?」

「なっ!?」

 父はひどく狼狽している。私も驚いた。

(名前なんて、私も知らなかった事を、どうしてしっているのだろう?)

「少し調べれば分かる事ですよ。個人的な伝手をたどっただけで、色々な事が分かりました。来宮グループが最近、経営が苦しくなってきている事…それにどこのグループが融資しようとしているとかね?」

 父の顔色はすでに真っ青になっている。私もようやく状況が分かった。私が羽生グループに嫁ぐことで、融資を受けられるのだ。

「どこまでもコケにしてくれる…私も、妻も。」

 今度の声には、まぎれもなく侮蔑の念がこめられていた。私を道具扱いした事はもちろん、それはかれをも軽く見ていたという事だ。

「だが、もうその必要はないですよ?……先日来宮グループは買収されました。我が氷海グループにね?こちらがその書類です。」

「なっ!」

 父が碧人さんの手から書類を奪う。読んでいくうちに、もうこれ以上青くならないと思っていた顔色が更に青ざめていく。…しかし、氷海に比べれば小さいが、来宮だって大きなグループだ。こんな事できるのだろうか?

「さすがにうちだけじゃ厳しかったけどね。樹と琴衣に助けてもらった。」

 碧人さんは私が疑問に思ったのが分かったのか答えてくれた。

「樹さまと琴衣さま…皇須グループですか?」

「ああ。いろいろ情報を回してくれたのも二人なんだ。…全く、借りができてしまった。」

 小さくぼやくと、彼は思い出したように私を離した。けれど、私は離れたくなくてあわてて碧人さんの手を握る。

 彼が私の手をぎゅっとにぎりかえす。冷たい声で、父に宣告した。

「…ご理解いただけたようですね?来宮さん。私達はさすがに全てを改変する余裕はないので、ほとんど前のままにするつもりです。…ただ、経営を混乱させた責任は追及しなければなりません。」


「来宮グループ社長、来宮卓は今日付けでその役職を辞して頂きます。」


 

お読み頂きありがとうございました!

碧人さんが若干黒いのですが、これは腹黒になるのでしょうか?


5/1 少しパソコンの調子が悪く、更新できませんでした。すいませんm(_ _)m

直り次第、滞った分投稿します!


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