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昨日は一話しか投稿できず、申し訳ありません。
基本毎日二話ずつ投稿できるように頑張りたいと思います!
迷子センターに行き事情を説明すると、母親も弟も来てまだ着ていなかった。
駄目で元々と思い、探すために連れて歩いてもいいかというと、名前と住所を聞かれただけで意外にもあっさりと認められた。…いいのだろうか。
ともかくも認められたのだからと、合流するため先ほど彼女達が行くと言っていた方に向かって戻っていった。すると、……
「きみ可愛いね?何その子。親戚の子とか?」
「ちょっとだけ俺達と遊ばない?…子ども?そんなんテキトーに水族館みせてりゃいいからさ。」
彼女は男達に絡まれていた。幼い顔立ちなので、女子大生ぐらいに見えたのだろう。うまくあしらえない様子が余計に男達をつけあがらせている。
「いえ、その…!」
「大丈夫大丈夫。ほっといても心配ねーよ。」
彼女はどうしていいのか分からずに不安そうな顔をしている。もうひと押しだと思った男の一人が、手を掴もうとすることに苛立ちがつのる。
「ほら、いこいこ……。」
「…君達、それは私の妻だが、何か用があるのかな?」
彼女を掴もうとしていた男の手を振り払い、彼女と男達の間に割り込んだ。彼女を背中にまわしながら、男達をねめつける。彼女が服をギュッとつかむのが分かった。
「げ!い、いえ…ただ困ってそうだなあって思って…。」
「それはありがたいな。ただその前に、女性にあんなに近づいては失礼だと思わないかい?」
にっこりと笑いながらそう問いかける。部下達の間で『氷百パーセント』といわれている口調で。
「は、はいぃ!」
「す、すいませんでした!おい、いこうぜ!」
男達は、真っ青な顔になって逃げて行った。舌打ちしたい気持ちになっていると、後ろで安心したように息をつく音が聞こえた。
「まったく…無防備なんだから。気をつけなさい、ああいう輩もいる。」
「はい…すいませんでした。」
本気で落ち込み始めている彼女の頭にポンと手を載せる。
「もう、あんなに心臓に悪い光景は見せるな。不安で仕方なかったぞ。」
「…え、その、それってどういう…!」
「おじさん!おかあさんたちいた?」
しまった、この子がいるのを忘れていた。彼女も、すっかり忘れて二人の世界に入っていたことに気づき、顔を赤らめている。
「ああ、まだ来てないようだ。もし来たらこちらに連絡をくれるようだから、一緒に回っていようか。」
「うん!」
こうたはそういうと彼女の左手と、俺の右手を掴んでどんどん歩きだした。二人とも引っ張られるように進んでいく。
そこからは、こうたが勝手にうろちょろするのを抑えつつ、家族を捜しながら、彼女と水族館を楽しんだ。
そして、そろそろ入口が近くなってきたところで、やっとこうたが母親を発見した。
「おかあさん!」
こうたが一人の女性に抱きつく。良く見ると、その女性の目元は赤い。
「虹太!?もうどこ行ってたのよ!心配したんだから!…あら、そちらの方は?」
「いっしょにおかあさんとさいきをさがしてくれた、おねえさんとおじさん!」
こうたが笑顔で答える。…無邪気に言われた言葉が刺さる。
確かに二十三歳の彼女と比べて、三十三歳の俺はおっさんに見えるかもしれないが。母親が、おずおずとこちらに近づいてくる。
「あの、ありがとうございました。ご迷惑をおかけしまして…。」
「いえ大丈夫ですよ。それよりさいきくんはだいじょうぶですか?」
「はい。もともとはぐれたのはこの子だけで、彩樹は一緒だったので。もう!そんなことまで言ったんですね!…ほら、いくわよ。」
「うん!あ!」
こうたは母親と手をつなぎながらこちらを振り向いた。
「ありがとー!おねーさんとおじさん!」
「ううん!会えてよかったね!もうはぐれちゃだめよ!」
妻がそう言うと、こうたはこちらに手を振りながら、母親と一緒に人込みに消えていった。
お読みいただきありがとうございました。
本当に連れまわしてたら犯罪ですね。私もこの水族館が心配です…。