花は桜木 世は血潮
街灯のあかりは、
夜目に厳しく、
それでも隣の君、
眩し過ぎる
頬を膨らませ、
唇を尖らせる、
その前に全く無力、
せつないね
ああ世界は糞山満漢全席、
目に入れても痛くなく、
全くつまらないが、
夜桜と君を並べると、
星よりも眩しく、
月よりも欠けがたい、
絶望を味わえるはずで
つまらなくないけど、
認めた現実と、
期待の乖離に、
万象への失望をみる
外套が血に塗れ、
俯き顔に陰が射し、
目の据わった君をみて、
やるせないね
ああ世界は血だらけ焼野原、
人が互いに殴りあって、
全く疲れるが、
夜桜と君を並べると、
血風吹く荒野にあって尚、
燦々と輝いて、
血飛沫で汚れないのに
血塗れの世界にあって、
本当に君は綺麗だ。
イスラエルの戦車が、
アメリカの戦闘機が、
人の拳が言葉が、
血を噴き上げさせて、
それを浴びた君は真っ赤になる。
それでもほんとうに君は綺麗だ、
去りたかったら去りなさい、
こんなろくでもない世界に、
何時までもいる必要はありません、
後ろ髪はつかまない、
振り向かないで行け。
ああ世界は糞山満漢全席
(私のことはぜんぶ忘れても、)
ああ世界は血だらけ焼野原
(いつか見た桜は忘れないで、)
ああ世界は……
(仕合わせになって。)