表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

魔法世界

自称ヒロインが私のパートナーを奪おうとする。

作者: ゆいらしい

ここは、乙女ゲームの世界です。


ゲームは、国の守り神兼ドラゴンの王を攻略対象キャラと育てつつ最終的には国を救おう!という内容です。


『ヒロインもどきが私のパートナーを倒そうとします。』という同じ世界観の連載を始めました。

 私のクラスにはとっても美人さんがいる。名前は、レイア=サリエル。彼女の性格は……ちょっとアレだけど、頭は良い。(成績的な意味で)その証拠にこの間は、伝統のある『ウィズイン魔法学園』の代表としてこの『アンディリア国』の王宮で魔法を披露した。


 この学園…というよりこの国では、魔法が全て。魔力が高ければ高い程、将来が約束される。じゃあ、私メル=ホリアスのような平凡な魔力しかない人間はどうするか……?

自分のパートナーとなる召喚獣を呼び出すのである。そのパートナーと支え合って生きていく。


 そのパートナー決めを今日これから授業の一環として行うのである!

やり方は簡単、大きな魔方陣の真ん中に立ち呪文を唱えるだけ。パートナーは1人につき1匹だけ。パートナーによって自分の今後が変わるのだから皆浮き足立っている。既に最大の魔力を持っているサリエルさんも例外なく


「やっと・・・長かったわ。でも、これでハーレムを手に入れられる!王子様もカッコよかったなぁ。きっと、王子様も私のことを覚えてる筈だわ!あぁ、まるでシンデレラストーリーね。」


・・・・。また、独り言言ってる。美人なのに勿体無い。ハーレムって何ぞや?あぁ、召喚獣の名前をもう決めているのね。そして、どんだけ凄い魔法を披露したんだ?気になるな…まぁ、サリエルさんの気持ちもわかる。出てくる召喚獣は、自分の能力に見合った召喚獣だ。サリエルさん程の魔力の持ち主ならきっとすごいのが出てくるに違いない。私の場合は、「別に凄いのでなくても良いからとりあえず仲良くなりたいな。」と思う。出来れば可愛い子だと尚更良い。そんな妄想をしていたら、「次、メルの番だよ!」と友達に呼ばれた。



 魔法陣の中に入る。・・・やっぱり皆の前でやるのは緊張する。呪文を間違えでもしたら、召喚獣がこちら召喚される際に怪我をしてしまう可能性があるからだ。ふーっと、息を吐き出して呪文を唱える。最後に・・


「我が召喚獣よ、なんじが我を認めるというのなら、我の目の前に姿を示せ!」


光が魔法陣の中に溢れる。・・・いや、ちょっとコレおかしくない?今までの人でこうなってた人はいないし。どうしよう!?呪文を間違えた?どうしよう、と思ったその時、魔法陣の真ん中の上空つまり私の真上に何か黒い影が見えた。その物体は、私の元に凄いスピードで落ちてきた。

「んぎゃ・・・!」


尻餅はついたが、どうにかその物体をキャッチすることには成功した。

ん、なんだこの形は……そう思って胸に抱いているものを見る。


「リュウッ!」


可愛らしい子供のドラゴンで挨拶ついでに火を吹いた。うんうん、元気なようで嬉しい。


「あなたが私の召喚獣ね!わぁ、綺麗な瞳の色………そうだ、名前をサファイアにしよう。どうかな?」


「リュウ、リュウ‼︎」


どうやら喜んでくれたようだ。

2人で「宜しくね!」と言い合ってると魔方陣の外からざわざわと音が聞こえる。


「大丈夫か、ホリアス⁈」


光が段々と薄れて来た時、

先生が心配して駆け寄って来てくれた。回りの子も心配してくれてる様だ。


「私もこの子も大丈夫です!」


ほら、とサファイアを先生に見せる。すると、他の生徒が「可愛い!」と言ってくれているのに対して先生の顔が険しくなる。またもう1人…


「な、なんであんたがダイアナを持っているのよ⁈」


凄い剣幕でサリエルさんが叫んだ。

ダイアナ…?


「な、なに?」


「私のダイアナを返してよ!」


そう言って、私が胸に抱えているサファイアを無理矢理とろうとする。

「リューー!」とサファイアが嫌がっているのがわかる。


「やめてよ!サファイアが嫌がっているじゃない‼︎」


「サファイア?違うわ、この子はダイアナよ!ダイアナはヒロインである私がふさわしいわ!あんたみたいなモブは引っ込んでなさい!」


 ヒロイン?モブ?なんなのこの人は…私とサリエルさんはこれまでに話したことも無い。


「サリエル、手を放すんだ。この召喚獣は、ホリアスが召喚したものだ。」


「先生!でも、私はこいつよりも魔力があります。このドラゴンを扱うなんてこいつには無理です。ダイアナに相応しいのは私です!」


「何故君は……いや、いいかサリエル。事実呼び出したのはホリアスだ。君では無い。」


 なんなんだろう、ドラゴンなんて当たり前にいるでは無いか。何故、サファイアを指して……


「ホリアス、放課後学長室に来なさい。」


先生はそれを言うと話は終わりだとばかりに去って行った。


先生が止めてくれたことで少しは大人しくなったレイアさんは、それでも私を睨みながら「よくも私のハーレムを邪魔しやがって……」と呟いた。







放課後、言われた通り学長室へ向かう。「リュー」と心配してくれるサファイアに「大丈夫だよ、サファイアは私が守るから。」と返す。サファイアは私のパートナーだ。誰にも渡すつもりは無い。



「失礼します。」と学長室に入ると、先生に理事長、更にはこのアンディリア国の王子様であるセリル=アンディリアがいた。


「まぁ、座りなさい。」と理事長が椅子を勧めてくれた、がとてもリラックス出来る状態じゃない。いくら私が馬鹿でも何か異常事態が起きたということだけはわかる。


「メル=ホリアス。率直に言わせて貰う。そのドラゴンを王子に引き渡せ。」


「⁈何でですか?先生だってさっきサファイアは私のものだって言ったじゃないですか!」


サファイアは私にぎゅっとしがみついている。こんなにも私に懐いてくれている子を「はい、わかりました。」なんて簡単に言う筈がない。


「君は……そのドラゴン、サファイアがどのような存在か知っているかい?」


理事長が優しく話かけた。私は、首を横に降る。今までの様子からしてサファイアが普通のドラゴンで無い事はわかる。すると、理事長はにっこりと微笑んだ。


「サファイアはね、この国の守り神であるドラゴンの種族なんだよ。つまりは、ドラゴンの中の王。


君は、先生が君からサファイアを奪おうとしてる様に見えるかもしれないけど違うんだ。サファイアを育成する為に魔力をたくさん消費する。それは、きっと君の負担になるだろう。」



……そっか、先生は私のことを心配してくれたのか。だから、魔力の強いサリエルさんは「自分に相応しい」と言ったのか…



「君は、それでもサファイアを育てると言うかい?」


これで確認は最後だ、とばかりに威圧感を込めて理事長が言う。ぞくっとして、正直怖い。胸にいるサファイアを盗み見る。サファイアは、「リゥ。」と私に縋る目をしている。私はこの目を見て、改めて決心する。


「はい。サファイアのパートナーは私ですから。……でも、お願いします。どうか、サファイアを育てる協力をして下さい。」


「それは、君1人ではサファイアを育てられないと言うことかい?」


「はい。……私1人でも育ててはあげられるでしょう。でも、サファイアはドラゴンの王なのでしょう?きっと、サファイアを狙う奴が現れる。その時に、サファイアに怪我を負わせない様にしたいのです。」



「……君は、馬鹿なのか賢いのかよくわからないね。」


 馬鹿、というのはサファイアをドラゴンの王と知っていても育てると言い切ったこと。賢い、というのはその為に国の力を使おうとしてることだろう。サファイアがドラゴンの王と言うならば、国はサファイアを無下に扱え無い筈だ。



「ふぅ……わかったよ。どちらにしても、僕は国の代表として守り神であるサファイアの意思に従うつもりでいたんだ。」


今までずっと喋らなかった王子様が口を開いた。その言葉に、「いいのですか?」と先生が言う。


「彼女は、守り神が選んだ人だ。それに、完全な馬鹿でも無さそうだ。……協力するよ、メル=ホリアス。」




 それから、私とサファイアの生活は始まった。何かと私からサファイアを奪おうとサリエルさんが色々やってくるが、多くの人達の助けもありどうにか楽しく生活してる。


「サファイア、大好きだよ!」


「リュウ!」


私とサファイアのドタバタな生活はこれからも続く。


















ヒロインのくせに普段の行いのせいで

皆(攻略対象キャラ)に嫌われるという…

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] とても面白かったです。これからもガンバって下さい(*´∀`)♪応援してますm(__)m
[一言] それは恐らく⁈が特殊文字だからじゃないかと。 パソコンによっては見えないらしいので、使わない方が多分いいんじゃないかな?
[一言] 「大丈夫か、ホリアス⁈」 「な、なんであんたがダイアナを持っているのよ⁈」 「⁈何でですか?先生だってさっきサファイアは私のものだって言ったじゃないですか!」 の⁈が□表記になっていてビック…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ