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あるタクシードライバーの話  作者: 臣 桜


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 あっはっはっはっは……!


 どうでした? なかなかでしょう。


 Aの様子がおかしいと思っていたんですよね。


 妙に青白い顔をして、生気がなくて、ベテランドライバーのBさんに心配されてたんです。


 勤務態度も悪くて、どうやら人気のない所にずっと車を停めているらしくて、オペレーターから営業所長に話がいったらしく、叱られてましたね。


 今はGPSがありますし、現在位置や走行履歴、停車時間とかがオペレーターに筒抜けなんですよ。


 売り上げも振るわないし、オペレーターから指示を受けても無視するわで、散々です。


 このままじゃクビだ! と営業所長は言っていたんですが、なにせドライバー不足でしょう?


 Aも、それまでは普通に稼いでいたまじめな社員なので、Bさんは何かがあったに違いないって思って、休日に飲みがてら話を聞いたらしいんです。


 そうしたらですよ?


 次第にAはいつもの感じに戻っていって、代わりにBさんの様子がおかしくなっていったんです。


 それにはオペレーターも所長も困っちまいましてねぇ。


 二人ともどこに停車していたかというと、件の貯水池なんですよ。


 何かに取り憑かれたんじゃないかって、車ごとお祓いに行かせたんですが、それでもBさんは戻らない。


 私はね、Bさんの事を尊敬していたんですよ。


 だから何が起こったのか話を聞いたんです。


 ちょうど、BさんがAにしたように、休日に飲みに誘ってね。


 そうしたら、すっかりやつれてしまったBさんが言うんです。


「……貯水池が見える。寝ていても夢の中にあの貯水池が見えるんだ」


 そこで初めて、私はBさんからAが体験した事、Bさんが今まさに体験している話を聞いたんです。


 そうしたらですよ?


 私にも起こってしまったんです。


 気がついたら私は、山奥の貯水池にいました。


 昼間なのに不気味なぐらい暗くて、車内にいるのに空気がじっとりと湿気を孕んで重たいのが分かるんです。


 そして、人の気配がするのが分かるんですよね。


 サイドミラーを見たら、ずぶ濡れの女がいて、後部座席のドアの前につっ立っているんです。


 タクシードライバーなら、ドアを開けてあげて乗せてあげるべきでしょう。


 でもそれをしちゃいけないと、本能が訴えてくるんです。


 冷や汗をかいて山から下りるんですが、また次の日、気がついたら貯水池にいるんです。


 仕事を終えても、頭の中にあの貯水池と女の姿が蘇ります。


 どうしてこうなったんだ? と思って、気づいたんです。


 AからBさんへ、そして私へ、話を聞いたドライバーがそうなってるって。


 私は別のドライバーに話して、こうやって普通に生活できています。




 ……お客さんの場合、どうなんでしょうね?





 完

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