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天才女優の亡霊〜ある学園で起きた怪異  作者: 浅川
第四章「幻の公演」

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インタビュー⑤

 はい、その年の●●●●●文化祭の演劇発表を亡くなった母が観劇していたのです。



 私は観ておりません。



 卒業生ではなく……母とその高校は……長年、親密な関係性であったとだけ申しておきます。それで招待されたのです。



 この高校はですね一時期、文化祭で演劇をやるのが通例だったんですよ。希望者だけではなく生徒全員が。それで母はその過去の演劇発表もそれなりに観劇しておりまして……。



 ……いえ、ごめんなさい。



 その年は●●●●●に演劇部ができまして、部員達が文化祭で何十年ぶりかに学年全員が協力して行う演劇発表を復活させてくれないか? と申し出て一年生限定で実現に至りました。



 まだ部員が少なかったので、演劇部だけで発表をするのが難しかったんですね。



 その発表は評判を聞く限り大好評だったようです。母も大絶賛でした。観客が総立ちで拍手したくらいです。



 母は足腰が弱く車椅子での観劇で立つことはできなかったのですが、あそこまで感情を爆発させたことはないんじゃないかってくらい子供みたいにえんえん泣いていたと付き添い人が申しておりました。



 そのくらいの完成度だったんです。



 それで、その母がですね……その日、家で奇妙なことを言ったんですよ。



「●●ちゃんと●●君が舞台にいた。よかった、よかったよ……」と。



 ……この二人の名はかつてこの高校に在籍していた生徒と同じ名前なんです。



 いえ、この二人は同期です。私も存じておりました。



 この二人も在籍時に文化祭の演劇発表の舞台に立つ予定だったのですが……●●さんの方が本番前に交通事故で亡くなりまして、その舞台は中止になってしまったのです。



 その●●さんの死に……●●君はどの生徒よりも悲しんでおられまして……私も慰めたくらいです。



 えっ……あっそうですね……私は生徒と接近することができる立場だったのです……。



 それは……私はこの学校で清掃をしたり用務員として働いていたのです。だからできたのです。



 いや、隠していたというか……わざわざ申告しなくても取材には支障がないと思いましたので……。



 そうですね。母は九十代にしてはしっかりしていた方でしたが、年寄りのうわごとだったってこともありますが……驚いたことに●●君の方はどうやら本当にいたみたいなんですよ。



 何やらサプライズ出演とかで卒業生が出演していたことが大きな話題になりまして……その卒業生が●●君だったそうです。



 依頼した生徒がフルネームをきっぱりと答えたみたいなので、じゃあそうなんだろうとなっております。



 ……そこはよくわからんのですが……●●君がサプライズ出演したのはいいのですが、●●君は終演したら忍者みたいにいなくなってしまったようです。



 もうお世話になった先生なんかはいなかったとしても、そりゃあないんじゃないかと思いますよね。母校を訪問すれば職員室へ行き挨拶くらいはするはず。ましてや文化祭の出し物に関わったのであれば。



 ……うーん、どうなんでしょうね。ただ学校に何も被害はなく、誰にしてもその人が名演技をして観客を沸かせたのは確かだそうなので、そこまで問題視はされませんでした。



 そういうことですね。●●君が母校の文化祭で舞台に立ったことで●●さんも嬉しくなって天国から舞い降りた……そういうことでしたらなんて微笑ましい怪談なんだと思いませんかね?



 録画……?



 ……どうだったかな……していないんじゃないかな……。そこまでは分からないですね。



 他の怪談?



 ……いや、この学校に他の怪談なんてあるのですか?



 私は知らないです。



 そちらも隠し事をしていた? 何を。



 ……はぁ。その舞台は録画されていたけど終演後、片付けの最中にその映像が保存されてあるビデオカメラを紛失してしまったのですか。



 どうしてそれを隠していたのです?



 それは、母が勝手に持っていったんじゃないかと言いたいのですか?



 ビデオカメラが置かれた席の隣が母だからってそんな……。付き添い人もいたんですからそんな盗むなんてことはさせませんよ。



 家まで持ってきてしまったとしても私がこれはうちの物じゃないって返却します。学校に雇われていた身ですし。



 そんな無礼な質問してくるならもう帰ってもよろしいですかね? 何を根拠に……。



 ……。



 ……。



 そこまで知っていましたか。




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