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天才女優の亡霊〜ある学園で起きた怪異  作者: 浅川
第二章「もう一人の幽霊?」

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12/26

「これはけっこう手応えあったんじゃないの? 神田先生、俺達の熱意にちょっとばかし後退して、まだ五月なのにお前たちもう文化祭のことが頭にあるのかって目してたし。何よりさ……」



 木曜日の放課後に僕達、演劇部は職員室に赴きこの企画を話してみた。



 ここまで規模が大きくなるとたった五人の意思だけでそう易々と承認されることはないだろうと思っていたが、天は演劇部に味方してくれているかのように助け舟があった。



 この学校の創設者さんはもうご高齢であり九十四歳であった。



 いつお迎えが来てもおかしくない、あの世に行く前にあと一度だけうちの生徒が行う演劇を観てみたい……。



 そう想いを吐露していた。



 そこへ今年の一年生、自ら演劇公演を今年の文化祭でやらせてくださいと申し出てきた。



 これほどベストなタイミングはないんじゃないのかという機運が高まったというわけだ。



「権力者の一声だけで物事は決まることはよくあるし、しかもその権力者が学校の創始者様。その人が冥土の土産にまた観たいって仰っているんだ。これはもう無視できるわけない、ということで確定でございます」



 職員会議のテーマとして取り扱われることは決定した。あとはもう先生達にどれだけやる気がありますか? とボールは投げたと言ってもいいだろう。



 これで却下される公算は演劇部としては低いと読んでいるのが今だ。



 学校側がやると決定すれば生徒は従うしかない。



 なんで演劇なんかやるのかって思う人もいるだろうけど、それは他の学校行事だって同じこと。本音では全員が賛成している学校行事なんてないはずだ。



「あれ、咲ちゃん。戻って来るの早いね。飲み物、買ってこなかったの?」



 保坂さん以外の演劇部員は一年生の教室がある三階、その階段前のトイレ付近に陣取っていた。



 その保坂さんは先生に文化祭の件を認めてもらおうと名スピーチをしたら喉が渇いたので、三階へ行く前に離脱して下の階へ降りていき自販機なりコンビニへ行ったはずなのだが……。



 どうしたんだろう? あの別れ際のやり切ったような充実さはなく一転、力なくフラフラしているような、何かに怯えてソワソワしているような……。



「ねぇこの後、男子達も時間ある?」



 演劇部の部室である視聴覚室隣の、放送室へ連れて来られた。



 明日のお昼休みから始まる演劇部プレゼンツ校内放送の打ち合わせ、予行練習で保坂さんと相川さんは元々、今日はここを借りていたみたいだがなぜかそれには関わらない男子三人も来ることに。



「さっき、リボンの色からして三年生の人から話しかけられたんだけど……」





「あの、ちょっといいかな」


「はい」


「あなた……小耳に挟んだんだけど今年の文化祭で演劇公演をやろうと計画している一年生でしょ。しかも学年全体の出し物として」


「はい、よくご存知ですね。演劇部の誰かから聞いたのですか?」


「演劇部? この学校、演劇部なんてあったっけ?」


「私が今月に入って作りました。そうなるとこの学校のルールで一年生しか入部することはできないので、先輩方にはあまり演劇部が出来たって伝わっていないのかもしれませんね」


「そうなんだ……それなのに、演劇部としてじゃなくて学年の出し物としてやるのはなんでなの?」


「人数が足りないからです。まだ五人しかいなくて。この人数だと今年は公演を企画するのは厳しいんですけど、文化祭でやろうって案が出まして……そんな時代もあったんですよね。

 毎年、各学年が文化祭で演劇公演をしていた時代が。そんな例があるなら頼んでみれば実現できるかもと思って」


「うん、そうそう。三十年前くらいでかなり昔だけど、そんな時代もあったんだよね。それが……なんで今では無くなったのかは知っている?」


「それは……学校行事とはいえ無理矢理やらせるのは良くないからじゃないですか? 大勢の人前で台詞を覚えて演技をするなんてなかなか難易度が高いですからね。音楽と違って学校の義務教育での授業もないですし、体験したこともない人が多いから……」


「あぁーそういうことになっているんだ」


「……なんですか。そういうことになっているって。それは違うってことですか?」


「これ、今やこの学校内よりも世のオカルト好きの間で有名な怪談なんだけどね……」



「……ってなわけだから、この学校でまた学年単位で演劇を文化祭でやるって聞くとこの怪談を知っている者からすると怖気付いてしまう事情があるわけでございますよ……。

 演劇をやったら呪われるってわけではないから、大丈夫だと思うけど……でも演劇の世界ってそういうのあるんでしょ。ある台本を上演するなら神社に行ってお祓いをした方がいいとか、その手の話。だから、万が一のために、ねっ……教えておいた方がいいと思って。

 その日みたいにまた騒ぎになったら苦い思い出になっちゃうし」


「その、亡くなった女子生徒の名前はなんていうのですか?」


「亡くなった女子生徒の名前? ……ちょいとお待ちを。調べてみる。……あった、お待たせ。名前は安西未佐、交通事故で亡くなったのは安西未佐さんっていうそうです。ほら、これ。このサイトが一番詳しく書かれていた」


()西()()()()()()()()()()()()()()()()……」


「えっ、なに?」


「あっいえ、なんでも!」


「……なんか今、怖いこと言わなかった?」






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